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レビュアーとして使い分けたい3つの人物像
書籍の執筆であれ、社内ドキュメントであれ、ブラッシュアップに欠かせないのがレビュアー(レビュワー)という存在。
次のように、それぞれ異なる3つの方向性(資質)を持った3人を揃えておくとレビューの精度を高められます。
タイプA:その分野に詳しい人
タイプB:表現や表記に厳しい人
タイプC:その分野の知識がない人
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この記事での「レビュー」は、いわゆる校正・校閲のことです。自分の感覚ではタイプAの専門家チェックは「校正・校閲」や「フォードバック」ではしっくり来ません。そこで、総称して「レビュー」。レビューを行う人を「レビュアー」と定義しています。
タイプA:その分野に詳しい人
まずは、書かれている分野に精通している人です。
その道のプロ、専門家
熟練者
そもそも正確さが欠けていてはドキュメントの価値は下がってしまいます。次のような視点から精査する人です。
正確性:用語や操作方法が正確かどうか
効率性:回り道や無駄な説明がないか
網羅性:重要な情報の抜けや漏れがないか
過去は〜だったが、現在は異なるなど、情報が正しいかについてもチェックしましょう。
タイプB:表現や表記に厳しい人
次のような項目についてレビューします。いわゆる校正ですね。
用語の使い方:専門用語や一般用語が正しく使われているか
用語の揺れ:同じ用語が一貫して使われているか
表記の統一:閉じ開き(漢字・ひらがな・カタカナ)の使い方が一貫しているか
カタカナ語と日本語の使い分け:カタカナ語と日本語が適切に使い分けられているか(主にカタカナ語が多くないか)
冗長表現の排除:冗長な表現がなく、簡潔に書かれているか
丁寧さ:文体の丁寧度の統一
音引き:音引きの使い方
句読法:句読点の使い方が正しいか
タイプC:その分野の知識がない人
タイプAとは真逆に、その分野の知識がない人です。
熟練すればするほど見落としがちな視点から次のような項目についてレビューします。
用語の理解:専門用語や略語が理解できるか(読み方がわかるか)
説明の有無:必要な説明が欠けていないか
説明の明確さ:説明がわかりやすく、意味不明な部分がないか
他分野との関連性:他の分野に例えると理解しやすいか
理由の説明:なぜその操作や手順が必要か説明があるか、なぜ、その結果が望ましいかの説明があるか
適切なレベルの視点:技術的な内容が初心者にも理解できるレベルで書かれているか
特に技術書系のテクニカルライティングでは、「指示どおりに操作して進められるか」をクリアできるかが分かれ道。タイプCのレビュアーは技術書においては不可欠です。
おかんチェック
「自分の母親だったら、こういうツッコミが来るよね」や「小学5年生の甥が読んだら…」という視点も有効です。
共通:空気(や行間)を読んでくれない人
3つの方向性を挙げてきましたが、共通して重要なのは、空気(や行間)を読むことなく、指摘をするという考え方。
次のようなマインドは御法度です。
おそらく(伝えたいのは)〜だろう
なんとなく引っかかるけど、自分だけかも…
レビューが採用されるかどうかではなく、重要なのは問題を提起することです。「念のため、レビューしておきますけれど…」の感覚で、少しでも“引っかかり”があればレビューとして残します。
特定のコミュニティ、性別、年代だけで通じることがある(ことに注意)
その会社、またはコミュニティでは当然だけれど、ほかでは通じないことがあります。身近な人にレビューをお願いしがちなため、見落とされがちです。
たとえば、メイク用語の「締め色」は多くの男性には理解できません。「著者、編集者ともに女性」の場合、校正に引っかかりません。同様に、その年代にしか伝わらない語句があることを想定しましょう。
“なりきり”で乗り切る
「校正・校閲」の専門の方にお願いするのが厳しいケースでは「今回はタイプAのレビュアーとして原稿を見る」のようになりきって原稿を見るとよいでしょう。
タイプA、B、Cは同時に同じ人格になれませんので、ひとつに絞って、その視点からチェックを行います。
ChatGPT(など)を利用する
今ならChatGPTなどの生成AI系ツールを活用もオススメです。
校正に使えるChatGPTのプロンプト
次のプロンプトをよく使っています。
Before and After
あなたはプロの校正者です。
# 文章の校正を依頼します。
全体でなく、変更すべき箇所を抜き出してBefore and Afterの形式でお願いします。また、変更した箇所は太字にしてください。
# チェックして欲しい項目
- 明らかな誤字/脱字
- 変更した方がよい表現
# 対象となる文章
関西弁でのツッコミ
次の文章について、読者が感じるであろうネガティブな反応を「関西弁」でセリフ調で教えてください。
教えていただく際は、どの文に対して、どんなネガティブな反応が返ってくる可能性があるかを細かく教えてください。
統一感と整合性
たとえば「レビュアー」と「レビュワー」が揺れている、といった場合、原稿すべてに目を光らせるのはナンセンスです。
単純な検索機能、または正規表現を使って検索機能を使って、モレなく探しましょう。
参考記事
お知らせ
『テクニカルライティングの教科書(技術書編)』を2025年にリリース予定です。
タイプD/E/F/G/H
ChatGPTに聞いてみたところ、さらに以下のような人物像を加えるとドキュメントレビューの質をさらに向上させることができると提案されました。
タイプD:ユーザーエクスペリエンス重視の人
このタイプは、実際にドキュメントを使用するユーザーの立場に立ち、次のような点をレビューします。
使いやすさ:ナビゲーションやインデックス、検索機能が充実しているか
視覚的なわかりやすさ:レイアウトや図表が見やすく、直感的に理解できるか
アクセスビリティ:色覚異常の人でも読みやすい色使いか、スクリーンリーダー対応か
タイプE:コンプライアンスと法規制に詳しい人
このタイプは、法規制や業界のガイドラインに適合しているかをチェックします。
法的な適合性:著作権、プライバシー規制などに違反していないか
業界基準:業界のガイドラインや標準に準拠しているか
タイプF:マーケティング視点の人
このタイプは、ドキュメントがターゲットユーザーに対して適切にアピールできているかを見ます。
訴求力:内容が魅力的で、興味を引く表現が使われているか
ブランド一致:企業や製品のブランドイメージに合致しているか
タイプG:編集プロセスに精通した人
このタイプは、編集の視点からドキュメント全体を見渡し、次の点をレビューします。
一貫性:スタイルやトーンがドキュメント全体で一貫しているか
リファレンスチェック:参照文献や引用が正確で適切に記載されているか
タイプH:国際化(グローバリゼーション)視点の人
このタイプは、国際的に通用するかどうかをチェックします。
文化的適合性:異文化の読者に対して誤解を招く表現がないか
多言語対応:他言語に翻訳しやすい構造になっているか