【感想18】シー・ハルク
シビルウォーからMCUを呑気に見続けて、計6年もたった今では10代20代で大人気だし洋画好きでMCUを挙げると一気に胡散臭くなるほど代名詞化した。これも全部エンドゲームが悪い。
そんなMCUがここ最近展開しているドラマシリーズの一つで、シーハルクでようやく全編通してコメディ調を保った作品が出てきたし割とオススメしやすい部類だし、そろそろ映画以外も書きたいな…ていう気持ちが出てきたから肩慣らしみたいな感じで。
全部の映画を観ようとすると20本越えの映画を観るというとんでもない敷居の高さでドラマはそれに加えて計5時間強の視聴時間が必要だから進めるのはかなり難しい。ただシーハルクは全9話で長めだけれど、1話30分弱とアニメ1話見る感覚で行けるし1クール未満の話数だからそう思えばたぶん行ける。必要な知識もハルクが関係していることさえわかってれば十分だし入り口の敷居はかなり低いと思う。
いろいろとゲストキャラは出てくるけれど、今回は特段これまでのストーリーにかかわる様な要素がないのでこういうのがヒーローでいるんでヤンスねぇ~~ぐらいの見方で十分。
全体的にはコメディ色が強い。エンドゲームまでが世界を救っているんだから多少の被害はやむを得ない、という認識だったのがフェーズ4から特に被害者サイドにクローズアップされているけれど、今作はトニースタークに拾われる前にピーターみたいな細々したヒーロー活動をしている人たちを小ネタとして大量に拾いつつ、世界観を築いてきたうえで出てきただろう法令に関する疑問とかに目を向けながら展開される。
シビルウォーでのソコヴィア協定みたいにキーワードや一要素としてのネタ出しではなくちゃんと法廷や起訴前の相談とか、法廷コメディの名に恥じない内容になってる。こういうのは週ごとに配信されるドラマシリーズで扱うのは相性良いので、追ってるときは結構楽しみにしながら見てました。
シーハルクになるジェニファーウォルターズ。性格自体は婚活アプリにいそうなアラサーの面倒な女性そのもので、なんなら本当に婚活アプリをやってるし比喩でもなんでもなく想像してる通りの婚活女性像だと思う。弁護士としては実績があるっぽいので猶更性格はめんどくさいより。
合わない人は全編通して腹立つだろうけれど、ここはもうしょうがない気はする。初期アベンジャーズの面々をかなり悪く言ってる(この辺りはヒーローとして好きな人は本当に受け付けない文言)けれど、まあ冷静になればMCUの4割はトニースタークのせいで事件が起きてるようなもんだしスティーブロジャースは面倒な奴だから「いや、それはそうなんだけどさ...」となだめるような気持ちになる。たまにいる、正論は言うけれど…てタイプの人のソレ。
法廷コメディを歌いつつ、ハルクになったジェンの血を狙う集団が襲ってきたり、8話のラストではミソジニー集団による暴露でエンディングを迎えたりといつも通りシリアスなバトル展開に持ち込まれる…と思いきや、絶賛賛否両論で大盛り上がりを迎えている9話でちゃぶ台返しを食らいます。
ここは個人的には賛寄りで、実際オリジンを描いた1話を除く2話以降では法廷コメディだと主張し続けるジェン、9話のあまりにも詰め込みまくった超展開、シリアスシーンは申し訳程度の差し込み程度で済む、と伏線をすべて投げ捨てたとは解釈しづらい程度の散りばめ方はされていたので割と納得しやすいです。
MCUで恒例になっていた流れを第4の壁を破るキャラで外しに来たのは結構オーソドックスな流れだとは思います。「シーハルクがいればこういうオチで全部解決できちゃうじゃん」とか8話までの積み重ねでジェンが納得できずに我慢の限界が来たから動いたわけだし、「VFXは処理面倒だから元に戻れ」てセリフとかは時期が悪いけれどあるあるネタだし、これで憤慨しているのはちょっと創作物を見てなさすぎるとしか言えないんで…。
本当に昨今のMCUブームっぽい何かは「エンドゲームで得たカタルシス」に起因していて、シーハルクみたいな正統ヒーローとはかけ離れたスタイルの話は受け付けないっていうのが大きいと思います。けれど単品のドラマシリーズとしては敷居の低さとしても人に薦めやすい作りではあるし、コメディで肩に力入れずに見れるからいい作品だなと思ってます。
フェーズ3まではしっかりヒーローものだったけれど、フェーズ4からはいろんな意味で強固になった土台の細部を作り込んでいる、ワンピでいうワノ国編までの新世界でボロクソ言われてる段階だと思うのでこれからも気楽に見ていくと思います。ちなみに今のところ一番楽しみなのはサンダーボルツです。どう考えてもあのメンツの会話は面白くなるから。ホラー以外でフローレンスピューを観れるのも楽しみです。
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