いわゆるLGBT法にかかる衆議院候補者アンケートの報告
2021.10.23 女性スペースを守る会
⭕️第1 : アンケートの方法
本年10月7日、10月31日投票の衆議院議員選挙の候補予定者あて、送付書、質問・回答書をもっぱらファックスにておくる方法により、実施しました。当会の趣意書及び会則、賛同者の意見及びQ&A16などは、問い合わせのあった候補者らにメール添付で送りました。
10月19日に立候補したのは小選挙区857、比例代表が重複候補を除いた単独で194の計1051人ですが、送信したのは予定候補の707人となります。
⭕️第2 : 送付先 (敬称略)と回答者数
回答者は121名でした。極めて忙しい中での回答につき、深く感謝申し上げます。その党派別は下記になります。
・立憲民主党:33
・日本共産党:32
・自由民主党:24
・日本維新の会:20
・国民民主党:5
・社会民主党:2
・無所属:2
・日本第一党:1
・れいわ新選組:1
・愛地球党:1(不出馬)
⭕️第3 : アンケートの目的
10月31日投票の衆議院議員選挙にあたり、有権者がその投票先を定めるための資料に供する。女性スペースの問題を各議員候補者に問うことによって、各議員候補に問題の所在を伝え、各政党からのアンケート回答と比較することにより各党内議論の状況を知り、当会として対処する。
⭕️第4 : 質問内容
質問1:「性自認」が女性であり身体が男性である人が、公衆の女性トイレに入ることについてどう思いますか?
ア:良い/イ:良くない/ウ:わからない/エ:その他( )
質問2:「性自認」が女性であり身体が男性である人が、公衆浴場や温泉の女性風呂に入ることについてどう思いますか?
ア:良い/イ:良くない/ウ:わからない/エ:その他( )
質問3:以上のような女性スペースの問題について議論すべきだと思いますか?
ア:議論すべき/イ:議論しなくてよい/ウ:議論すべきでない
エ:わからない/オ:その他( )
質問4:LGBTのうち「T」すなわちトランスジェンダー「性自認」については、身体違和のある性同一性障害者はもちろん、身体違和のない類型、さらに国連人権委員会の定義では異性装(「トランスヴェスタイト」と呼ばれることもある)を含んでいるのですが、これは認識されておられますか。
ア:知っていた /イ:知らなかった/ウ:その他( )
質問5:LGBT法案で「許されない」とされる「性自認を理由とする差別」には、具体的にどのようなことが該当すると思われますか?(自由記述)
質問6:LGBT法案や「性自認」に関してお考えがあればお聞かせください。(自由記述)
⭕️第5:回答の概要と分析
昨今、立場や主義思想と関係なく、「性自認」や「LGBT法案」について少しでも言及するだけで、急進的な批判・非難をこうむるこの世情で、自らの回答を送って下さった各立候補者の勇気と誠実さに、まず深く御礼申し上げます。
以下の回答をお読みになる有権者の皆様方にも、中傷や罵倒は遠く距離を置いて、しっかりとした議論や批評を頂けますよう、よろしくお願い申し上げます。
まず、各議員の回答のすべては、エクセル表にした整理表、また各議員の回答それ自体を見て下さい。政党別の回答数、回答内容の違いの数それ自体についても、一覧表を参照してください。以下、順不同です。
📍1 立憲民主党
枝野幸男党首からの回答はありませんでした。政党へのアンケートでも、野党第1党である立憲民主党からは回答がなく、実に不可解なことです。枝野党首は、同党ジェンダー平等推進本部長で、LGBT法にかわる動画を数回、配信しています。そして2018年12月に国民民主、日本共産党及び社会民主党とともに「LGBT差別解消法案」を提出し、今それを公約としています。
しかし、ことこの「女性スペース」の問題については、政党からも党首からも回答がなかったことになります。その問題性の認識がないか、明確な答えもまだ持っていない、政党としてはまだ決めていないということとなりましょう。
実際、その議員・候補者33人の回答からは、公衆の女性トイレをトランス女性が利用することにつき、検討中などのほか、「良い」が3人、「良くない」が10人でした。女湯については良いが1人、良くないが16人でした。トイレの種別や構造についての意見も見られます。議論はまだまだなされていないことが明白です。同党にあってこそ、政権をとると言うならば、またとった後に、様々な意見をしっかりと聞き、議論を重ねることが期待されます。
📍2 自由民主党
自民党の政党アンケートにあっては「東京高裁(注;2021.5.27経産省トイレ高裁判決の趣旨)の指摘のように、この議論は女性自認者の法益と一般的な女性の法益が衝突する場面であり、どのように解決が図られるべきか議論が必要です。当然ながら、公共の福祉に反し、女性の安心・安全な生活を脅かすような犯罪行為は決して許されません。皆様がご指摘の『女性スペース』に関する懸念に真摯に向き合いしっかりと議論をしてまいります。」と、相応に検討する姿勢を示しているものでした。
その議員・候補者24人の回答からは、公衆の女性トイレをトランス女性が利用することにつき、検討中などのほか、「良い」が0人、「良くない」が10人でした。女湯については良いが0人、良くないが11人でした。女湯についてまで検討中の方がいるのは驚くところですが、回答にてそれぞれの見識を示された方もありました。同党は、政権与党であり、政権を握り続けるのであるならば一層、様々な意見をしっかりと聞き、議論を重ねることが期待されます。
📍3 日本共産党
その政党回答では「なお、共産党各地の衆院ブロック事務所や各議員にも同じ質問をいただいておりますが、各議員の回答についてもこれをもって回答とさせていただきます。」とあり、同党において十分に議論し、既にこの女性スペースの課題についても党内の意見が一致しているというが如きものでした。
しかし、その議員・候補者32人の回答からは、公衆の女性トイレをトランス女性が利用することにつき、「良い」ではなく「無回答」が23人で、「良くない」が1人でした。女湯については「良くない」が14人、無回答が17人でした。
すなわち、個別回答として、共産党候補者の中から、女性トイレにつき「良くない」と明言した方、多目的トイレの利用とした方、「自認の問題を抱える人か否か、外見から判断できず、単に好奇心から女性トイレや浴場に立ち入る人を防げない危険性を感じる」とした方が、出ています。自らの考えを開陳されており、深く敬服します。
同党にあっても、党内及び議員間において、様々な意見をしっかりと聞いたうえで、議論を重ねることが期待されます。
📍4 公明党
同党からは党としての回答が来ていなかったのですが、同党の議員・候補者からも、1つも回答がありませんでした。なお、山口那津男代表は参議院議員でアンケートの対象ではありません。
不可思議です。女性スペースの課題の問題認識がないか、明確な答えもまだ持っていない、政党としてはもちろん、議員らもまだ決めていないとみられます。今後、様々な意見をしっかりと聞き、議論を重ねることが期待されます。
📍5 日本維新の会
その議員・候補者20人の回答からは、公衆の女性トイレをトランス女性が利用することにつき、「良い」が1人、「良くない」が3人、無回答14人でした。女湯についても同じ人数の回答でした。「性自認」だけで全て平等として、女性スペースを脅かすのは問題であると認識しているといった本質をついた回答もありました。。
同党は、政党アンケートにおいて「議論の際は、女性や子どもなどの権利が守られることにも十分な配慮をもって進めます。」とし「今後も幅広くご意見を賜りながら、多様性社会の実現に向けて政策提言を重ねて参ります。」ということだが、引き続き、女性たちの権利法益を考慮するための様々な意見をしっかりと聞き、議論を重ねることが期待されます。
📍6 国民民主党
同党からは党としての回答が来ていませんでしたが、玉木雄一郎代表からも回答がありませんでした。その議員・候補者5人の回答からは、公衆の女性トイレをトランス女性が利用することにつき、「良い」が1人、「良くない」が1人、その他が3人でした。
トイレにつき、男女共用トイレの設置や構造上の工夫を指摘する声もあり、様々な意見をしっかりと聞きつつ、議論を重ねることが期待されます。
📍7 社会民主党
その議員・候補者2人の回答では、公衆の女性トイレをトランス女性が利用することにつき、いずれも「その他」であり、女湯についても同じ「良くない」が1人で、2人とも議論すべきとしました。なお、福島瑞穂党首は参議院議員で、アンケートの対象ではありません。
同党からの回答では、女性トイレ、女湯のみならず、議論すべきかにつき「無回答」で、性自認に関する「差別」の内容については、「範囲は幅広く具体例をここで取り上げることは差し控えたい」「理念法を成立させて議論を深め実効性のある法律を改正していくことが重要」という姿勢でしたが、上記からして、様々な意見をしっかりと聞きつつ議論を重ねることが期待されます。
📍8 れいわ新選組
同党からは党としての回答はありませんでした。今回、東京ブロックの比例代表に立候補されている山本太郎代表からの回答はありませんでした。1候補から回答があり、公衆の女性トイレをトランス女性が利用することにつき「良くない」、女湯についても「良くない」そして議論すべきとしました。
同党は「国際的な人権基準に基づいた「LGBTQ+差別解消」を目的にする法律を速やかに法制化します。」としていますが、様々な意見をしっかりと聞きつつ議論を重ねることが期待されます。
⭕️第6 : おわりに
当会では、10月12日締め切りの政党へのアンケートの加え、今回この衆議院議員の候補予定者への10月19日締め切りの同様のアンケートを実施したので、ここに報告しました。
今回、当会と別の団体が、いわゆるLGBT法につき例年同様にそれなりに細かく政党また議員・候補者あてにアンケートを認めて回答を得た模様ですが、LGBTのうちT「性自認」とくに女性を自認する人の女性スペース利用をどう考えるか、については問うていない不可思議なアンケートでした。
これこそが、まさに女性を中心とした国民的な関心事であると思われるのに、不可思議です。
そして今回、判明したことは、決して「議論を後退させてはならない。」という課題ではなく、様々な観点からする十分な情報、例えば2021年5月27日の東京高裁判決の内容と趣旨の研究、更に諸外国のその後の状況、様々な当事者の声といった情報が確保しつつ、国民のそれぞれと、各議員及び各党にあって「議論がこれからすべき課題」だと言う外はないことです。
当会は、このことにつき少しでも言及すると急進的な批判・非難をこうむる異様な世情だと認識しております。
ここに、自らの回答を送って下さった各立候補者の勇気と誠実さにつき、深甚なる御礼を申し上げます。ありがとうございました。
どなた様にあっても、中傷や罵倒は遠く距離を置いて、しっかりとした多面的な議論をして頂けますよう、よろしくお願い申し上げます。
ここに、お答え頂いた各候補者の皆様には、深く感謝申し上げます。
以 上
🟢女性スペースを守る会より