「女性スペースを守る会」設立趣意書
2021年9月18日
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「女性スペースを守る会」の設立趣意書
2021年9月18日
「女性スペースを守る会 ― LGBT法案における『性自認』に対し慎重な議論を求める会 ― 」の設立趣意は、次の通りです。
🟢1
今、国会では「性的指向又は性自認を理由とする差別の解消等の推進に関する法律案」(第197回衆第12号)が閉会中審査とされ、自民党においてもLGBT理解増進法の策定が議論されています。
私たちは、誰もが幸福追求権・人格権を持ち、その権利は尊重されるべきものであると考えています。しかし、LGBTのうちの「T」であるトランスジェンダーにかかる『性自認』に関しては、十分な議論が必要だと考えます。
特に女性トイレなど女性スペースが守られるのかが心配で、ここに、私たちはこの会を発足させました。
🟢2
私たちは今、この新法がこのまま成立すれば、不特定多数が利用する女性トイレを、身体が男性のままである女性を自認する者が、当然に利用できる権利が認められるかのような言説を各所で見かけ、不安と恐怖を感じています。女性自認者は法的には男性であり、身体違和感があることを条件としません。
法案の記者への説明では「男の格好をしたままの人が入ってくることはないから安心してほしい」とも言われますが、それは逆に言えば「女の格好をすれば実質、どの男も入れるようになる」ということになります。
そもそも、「女の格好だから女」というのは、「性の多様性」を尊重する法律であるのにこれを否定する説明であり、明らかに自己矛盾しています。女性の中にもいわゆる男らしい態度と体格を持つ人もいる、男性の中にもいわゆる女らしい仕草や体形を持つ人がいる、それをそのままに尊重し、差別しないことが「性の多様性」を承認することであると私たちは考えます。
🟢3
わが国には2003年成立の「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法」があり、既に約1万人の方々が性別変更を果たしています。それぞれの幸福追求権を保障するものとして、貴重な法律です。
しかし、性自認の問題はこれとまったく異なります。中には未成年や手術が健康上できないということなどから性別変更できず「トランスジェンダー」になっている方もいるでしょう。ですが、「トランスジェンダー」の中には、自らの身体に違和を感じず、手術を考えてもいない人も多くいます。
冒頭の法案では「性自認=自己の性別についての認識をいう」と定義されているだけであり、身体違和ある人とは限定されていません。
すなわち、冒頭法案のうち性自認に関わる部分は、しばしば「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」の延長のごとく誤解されてしまいますが、その観点とはまったく異なった新しい「性自認」という概念・主張に基づく法案なのです。
🟢4
どうかお考えください。
たとえ理念法であったとしても影響力は大きく、身体的に男性である「女性自認者」は、女性スペースの利用を公認されたと解釈して女性用スペースに入ってくるでしょう。そして、女性自認者と女性らしい装いの男性、更に良からぬ目的で入ってくる男性とは、外見からは区別できません。男性の中の一部に危うい人がいるのと同様に、女性自認者と女性らしい装いの男性の中にも危うい人はいるでしょう。この指摘は差別でもなんでもありません。その結果、危うい人が女性スペースに入ることがより容易になります。
もとより、女性自認者かどうか、また身体女性なのかどうか、更にその性的指向は男性なのか、女性なのかなどは入り口で確認などできませんし、人権上確認して良い筈もありません。不信を感じたとしても、入ることを公認された「女性自認者」かもしれないと躊躇し、従前より通報しにくくなります。警察もひるまない筈はありません。
いわゆる経産省トイレ裁判での、東京高裁の2021.5.27判決では、女性自認者の権利・法益と、女性らの権利・法益とが衝突する場面なのだと正しく指摘し、原告の請求を認めませんでした。その第一審2019.12.12の東京地裁判決では原告の主張を認めましたが、手術はしていないものの性同一性障害の特定人(原告)の勤務先である経産省内の特定トイレの使用という限定的な状況であったので認めたものです。すなわち、高裁判決によればもちろん、この地裁判決によったとしても、不特定多数が使う公衆の女性トイレを女性自認者が使えていい筈だ、ということにまったくなりません。
それが、今回の新法により、実質的には女性の装いをする男性の誰もが、不特定多数が利用する女性スペースに入れるようになって良いのでしょうか。
さらに「女性自認者」と装いとは関係ないのですから、男性が自由に入れるようになる恐れがあります。海外ではそのようなトラブルも既に起こっています。
🟢5
女性トイレなどの女性スペースは、女性が長年かけて獲得してきたものです。性犯罪のほとんどが男性によるものであることから、多くの悲惨な被害を重ねながらも、先人の女性達が血と涙を流して闘い、勝ち取ってきたスペースです。
女性スペースでの女性は、より無防備であることから身体男性への恐怖感があります。女性トイレがもし身体男性にも開かれるのであれば、個室に引きずりこまれての性暴力被害、個室の盗撮被害の増加や盗聴さらに使用済みの生理用品を見られたり、持ち出されることも増えるでしょう。警戒心が薄く抵抗する力のない女児や、障害のある女性が性暴力被害に遭いやすくなるのでは、という懸念もあります。
他方、女性自認者からは、男性トイレでは他の男性に違和感を持たれて入りにくい、女性と自認しているのに男性と分かってしまうのが辛いということから、女性トイレの使用を求めるとしています。
この両者の法益の重さを比較して下さい。女性の法益の方がより保護されるべきなのは、明らかではないでしょうか。
まして、女性自認者の法益尊重は、別の方法でほとんど解決できます。「女」「男」の他に「オールジェンダートイレ」を作る、様々な多様性ある男性の課題として当面、男性トイレを「男女」などと変更することによって可能です。男性からは女性自認者に対して違和感はあっても恐怖感はなく、女性自認者も「男女」などとすることにより入りやすくなります。女性自認者の法益は、このように別の方法にて確保できるのです。
冒頭の法案では、女性という性自認が「尊重」されることから、女性自認者が女性トイレに入れると解釈されやすいので、見直しが必要なのは当然ではないでしょうか。
🟢6
また「性自認」をめぐっては、女性トイレの他にも様々な課題があります。
女性用公衆浴場・温泉での問題、DVシェルターの問題、女子スポーツでの公平性、女子大、政党におけるパリテ(男女同数制)、各所のいわゆる「女性枠」の問題や、男性自認者(身体・法的には女性)を含めて刑務所等、自衛隊での扱い、統計の問題など多岐にわたります。医療現場での混乱も予想されます。
その一部は、理念法とは別に個別に議論され決められていくかもしれませんが、課題が山積していることは間違いがなく、国会で十分に議論されるべきものだと考えます。「理念法だから」と軽視して、議論も不十分なままに進めるは国会の責務に反し、後の混乱を招来するだけです。
🟢7
これまで、「女性らしい装いの男性」が女性トイレを時に利用していることを知っておりながら、それを甘受してきた女性もいます。それはその方を傷つけたくなかったこと、トラブルを避けたかったからですが、時に不安を覚えることもありました。
しかし今、冒頭の法案が審議されるうえで、私たちは、女性自認者や「女性らしい」装いの男性が女性トイレ等を使用することを公に認めるべきでないことを、明確にするほかないと考えます。
あわせて、諸々の課題がある「性自認」については、ここで立ち止まり、広く国民の議論を喚起しつつ、十分な国会審議をされるよう求めます。
ここに本会の趣意書とします。
以 上
事務局 〒242-0021 神奈川県大和市中央2-1-15
パークロード大和ビル5階 大和法律事務所内
弁護士 滝本太郎
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