要請書-議論を封殺して学会としての自殺行為をしないよう求める-
🟢追記 2024.7.30
要請書の3の冒頭「トランス女性は女性であると思う人はいるか」と指摘した方との連絡が取れ、その正確な発言内容と前後関係が分かりましたので、下記の部分を前後関係を含め、修正いたします。追加郵送も致します。
指摘は、女性スペースの問題などに関連して、「トランス女性は女性であると思う人はいるか」という趣旨の質問が会場からあったことなどの模様だが、その場で誰かに対して「あなたは男だ」と殊更に言ったわけではない。あくまで課題を議論する中で出てきた言葉であって、その本意は「トランス女性はトランス女性であり、その性自認による差別は許されない。しかし、生得的には男性であり、陰茎を持つ場合もあるため、女性スペースの利用が無制限であるべきではない」という趣旨だと見られる。
[修正後]
指摘は、長く性犯罪被害者を支援してきた方からの質問に関係する。質問は、第1に森田氏に経産省トイレ裁判でみられる最高裁の姿勢のことを質問し、第2にキャロライン氏にイギリス・オーストラリアなどの外国情報を聞きたい、「トランス女性は女性だと思っている人は何人いるんですか」「アライの人たちは本当に思っているんでしょうか」と質問している。東京都港区の行政が「トランス女性は女性だ」とこちらに言わせようとしたことを背景とした質問だとのこと。第3に中里見氏にポルノ問題について聞いている。
第2の質問は、決して会場の人に聞いたのでもなく、まして特定のトランス女性に対して「あなたは男だ」などと殊更に言ったわけではない。あくまで課題を議論する中で、性自認主義に立つ人を含め生得的性別を無視して真実「トランス女性は女性だ」と考えているのかを、キャロライン氏に対して質問したのである。第2の質問中に「差別集会しているんですか」「差別集会じゃないですか」「それトランスの活動家に言ったらどうですか、あと男、ここにいる女にいうことではない」「こんなの学問でも何でもない」「笑っている人がいる」などの不規則発言がいくつかあり、その上で退席した方がいた。キャロライン氏は、この回答として、イギリスでの定期的な調査の中で「トランス女性はあらゆる場所で女性として取り扱われるべきか」という質問もあり、そこでは2年前は対象の約60%が同意していたが、先週の調査では約30%となっているなどの回答があった。
⭕️要請書-議論を封殺して学会としての自殺行為をしないよう求める-
2024年7月26日
日 本 女 性 学 会 御中
代表幹事 佐藤文香 殿
女 性 ス ペ ー ス を 守 る 会
共同代表山田響子、同野神和音、同森谷みのり
1 日本女性学会では、2024年6月9日に開催された同学会シンポジウム「女性学を継承する」の分科会H「フェミニズムと表現・出版・学問の自由」に関連し、発言や運営に問題があったとし、対応を協議している模様である。
万が一にも、発表者が処分される等があってはならず、また学問の自由を守るためにも、慎重かつ丁寧な協議を望みたい。
2 そのシラバスは左記のとおりであり、要するに「トランス女性は女性だ、だからどこでも女性として遇せよ」という性自認主義とこれに関係しての表現・言論の自由などに関係する分科会である。
当会や「女性スペースを守る諸団体と有志の連絡会」からは何人もが聴講し質問もした。充実した内容であり、フェミニズムを考え「女性学を継承する」ために極めて有益な分科会だった。ために当会からも学会入会の申込み手続きをした者もいる。
ところが、この分科会につき、差別的な発言があったなどと言う苦情が参加者から後にあり、貴学会22期・23期幹事会名義による「対応を検討している」旨が同学会のホームページに2024年7月14日付で表明されるに至っている。
3 驚くばかりの事態である。指摘は、女性スペースの問題などに関連して、「トランス女性は女性であると思う人はいるか」という趣旨の質問が会場からあったことなどの模様だが、その場で誰かに対して「あなたは男だ」と殊更に言ったわけではない。あくまで課題を議論する中で出てきた言葉であって、その本意は「トランス女性はトランス女性であり、その性自認による差別は許されない。しかし、生得的には男性であり、陰茎を持つ場合もあるため、女性スペースの利用が無制限であるべきではない」という趣旨だと見られる。
指摘は、長く性犯罪被害者を支援してきた方からの質問に関係する。質問は、第1に森田氏に経産省トイレ裁判でみられる最高裁の姿勢のことを質問し、第2にキャロライン氏にイギリス・オーストラリアなどの外国情報を聞きたい、「トランス女性は女性だと思っている人は何人いるんですか」「アライの人たちは本当に思っているんでしょうか」と質問している。東京都港区の行政が「トランス女性は女性だ」とこちらに言わせようとしたことを背景とした質問だとのこと。第3に中里見氏にポルノ問題について聞いている。
第2の質問は、決して会場の人に聞いたのでもなく、まして特定のトランス女性に対して「あなたは男だ」などと殊更に言ったわけではない。あくまで課題を議論する中で、性自認主義に立つ人を含め生得的性別を無視して真実「トランス女性は女性だ」と考えているのかを、キャロライン氏に対して質問したのである。第2の質問中に「差別集会しているんですか」「差別集会じゃないですか」「それトランスの活動家に言ったらどうですか、あと男、ここにいる女にいうことではない」「こんなの学問でも何でもない」「笑っている人がいる」などの不規則発言がいくつかあり、その上で退席した方がいた。キャロライン氏は、この回答として、イギリスでの定期的な調査の中で「トランス女性はあらゆる場所で女性として取り扱われるべきか」という質問もあり、そこでは2年前は対象の約60%が同意していたが、先週の調査では約30%となっているなどの回答があった。
したがって、貴学会の2006年6月10日付宣言の1項にある「性自認」による差別にもあたらない。「性自認による差別」とは、トランス女性が男子トイレを利用する際に受ける揶揄や侮辱、男子トイレから排除しようとするのが典型的な差別例である。文脈を無視してその本意を捻じ曲げることがあってはならない。
本会は、生得的性別と食い違った性自認があること、それは尊重されるべきであることを否定するものではない。ただ、女性と子どもの安心安全・公平性という権利法益を確保する観点から、トランス女性が生得的には男性であることを考慮せざるを得ない場面が生じるという問題提起をしている。女性スペースや女子スポーツ、そして子どもへの医療措置の問題においては、生得的性別から生じる問題が存在する。個々のトランス女性に対して嫌がらせで「あなたは男だ」という場合とは異なり、これらの議論の場でトランス女性は生得的には男性であるなどと述べる必要があるが、それは法的にも倫理的にも問題はない。かかる発言が討論において抑制されるならば、学会でも学問でもなくなってしまう。
4 そもそも「トランスジェンダー」の定義さえも2024年2月9日の政府答弁にある通り確定していない。性表現での食い違いだけの場合まで含む考えもある。性自認と生得的性別の食い違いの趣旨であるとしたならば、その15.8%のみが性同一性障害であり(令和元年度厚生労働省委託事業-職場におけるダイバーシティ推進事業報告書の105ページ)、その定義もまた議論していかなければならない事柄なのである。
当会は、この問題をめぐり、性自認主義を唱導する方々との議論、各界の専門家・学者間でも議論されることを求めてきた。その観点から、今回貴学会においてこのような分科会が実現したことは喜ばしく、これを契機に女性の権利法益を決して忘れない筈のフェミニズムを旨とする方々の間においてこそ、建設的な議論がなされることを期待した。しかるに、参加者からの上記のような苦情を契機に、「対応を検討している」という事態になっているのは、驚くほかはない。
5 この動きは、東京大学教養学部の英文学教授清水晶子氏の主張と一致しているように思える。同氏は、性自認主義・クイア思想を唱導する代表格であるが、「討議や対話はそれ自体が抹消のテクニックになる。討議や対話を拒絶することこそが生き残る戦術になる」、「学問の自由や言論の自由の利用は、洗練された権力のメカニズムとしても使われるのだ。」としている。議論を拒絶し、学問の自由、言論の自由を一部制約していってでも、その主張する性自認主義やセックスワークイズワークの思想を「ポリティカル・コレクトネス」として強要しようとしているのである。
日本女性学会が、討論の拒絶、言論の自由・学問の自由の一部の制約もあって良いとする驚くべき考えと軌を一にしてしまうならば、学会としての自殺行為である。
6 貴学会は、「人間としての女性尊重の立場から、学際的に女性およびその関連の諸問題を研究する学問であり、女性の視点(立場)をもって既成の諸学問を洗い直す」ことを1979年6月18日の設立趣意としている。
近時、フェミニズムにあって男女平等を実現するため、男女の生得的な性差はないというような隘路にはまった考えがあるが、男女は体格、身長、筋肉のみならず、性交の形態、妊娠可能性もとより月経のあるなしと言う点で明らかに生得的な性差がある。女性の社会参加のためにはこの生得的性差が考慮されなければならない場面がある。それを無視した考えは、大前提である自然科学を軽視するものではないか、とさえ考える。
女性スペースは性犯罪が圧倒的に男性の女性に対するものである等から導入されたのであり、女子スポーツは一般的にはもとよりアスリート間では男女間に明白な生得的性差があるからこそ確立されたのである。それらは「人間としての女性」を尊重するために、長い年数をかけて先人の女性たちが求め、血と涙を流して獲得してきたものであった。
貴学会は、その経過の上で「女性の社会参加を進め、女性の社会的状況を変革することに尽力したいと考え」「女性学の対象は、日常性そのものの中にあり、したがって本学会には既成の学会の慣習にとらわれぬさまざまな立場の人の参加を期待」するとし、「民主的、主体的な運営によって、女性学研究者の交流の場」として成立した。
7 性自認主義は、女性学・フェミニズムの課題として事実に基づいて深く議論すべきものである。そのこと自体を貴学会において否定することはないと信じたい。そして今回、上記の通り、発言や運営に問題があったという事実はない。
よって、学問の自由を守ることを第一に念頭に置いて対処し、万が一にも発表者が処分されることがないようにしていただきたい。むしろ、女性学の継承として、この分科会を契機に学会全体で様々な考えの方々が事実に基づいて議論を展開することを望む。
今、試されているのは貴日本女性学会である。
以 上
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