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いわゆるLGBT法にかかる政党アンケートの報告

🟢第1 : アンケートの方法

本年9月22日、国政8党の各本部に、送付書、質問・回答書のほか、当会の趣意書及び会則賛同者の意見(2021/9/18~9/22 11:00までのもの)Q&A16及び返送用封筒を郵送し、10月12日必着にての回答を求めた。


🟣第2 : 送付先 (敬称略)

・自由民主党総裁 菅義偉
・立憲民主党 枝野幸男代表
・公明党代表 山口那津男
・日本維新の会代表 松井一郎
・日本共産党中央委員会 志位和夫委員長
・国民民主党 玉木雄一郎代表
・れいわ新選組党本部 山本太郎代表
・社会民主党 福島瑞穂党首


🟢第3 : その目的

女性スペースの問題を各党に提起することによって、各党でどの程度の議論がなされてきたのかを判別しつつ、その政策を知り、当会として対処する。あわせて10月31日投票の衆議院議員選挙にあたり、有権者がその投票先を定めるための資料に供する。


🟣第4 : 質問内容

質問1:「性自認」が女性であり身体が男性である人が、公衆の女性トイレに入ることについてどう思いますか?
:良い/:良くない/:わからない/:その他( )

質問2:「性自認」が女性であり身体が男性である人が、公衆浴場や温泉の女性風呂に入ることについてどう思いますか?
:良い/:良くない/:わからない/:その他( )

質問3:以上のような女性スペースの問題について議論すべきだと思いますか?
:議論すべき/:議論しなくてよい/:議論すべきでない
:わからない/:その他( )

質問4:
LGBTのうち「T」すなわちトランスジェンダー「性自認」については、身体違和のある性同一性障害者はもちろん、身体違和のない類型、さらに国連人権委員会の定義では異性装(「トランスヴェスタイト」と呼ばれることもある)を含んでいるのですが、これは認識されておられますか。
:知っていた /:知らなかった/:その他(  )

質問5:
LGBT法案で「許されない」とされる「性自認を理由とする差別」には、具体的にどのようなことが該当すると思われますか?
自由記述(     )

質問6:
LGBT法案や「性自認」に関してお考えがあればお聞かせください。
自由記述(     )


🟢第5:回答の状況

別紙のエクセル表での整理、及び各政党の回答書のとおり、4つの政党から回答があった。詳細は、ここに記載のとおりであり、各人の分析を願います。
立憲民主党、公明党、国民民主党及びれいわ新選組からは回答がなく、締め切り日の後も回答を求めたが、なんらの返答もなかった。

📍掲載は到着順

⭕️日本維新の会

⭕️自由民主党

⭕️日本共産党

⭕️社会民主党


🟣第6 : その分析

❶ 回答のなかった政党

野党第1党である立憲民主党から、ついに回答がなかったことが注目される。枝野党首は、同党ジェンダー平等推進本部長でもあり、LGBT法にかわる動画を数回配信している。同党は2018年12月に国民民主、日本共産党及び社会民主党とともに提出してものであり、今回の衆議院解散まで閉会審査扱いだった「LGBT差別解消法案」につき公約とする。しかし、女性スペースについての問題性の認識も明確な答えも示されないままだったと言う外ない。

公明党からも回答がなかった。同党は、自民党が調整中の理解増進法につき、国会に提出すべきだったとし、LGBT法連合会からの要請を議連として受けたことなど報告してきたが、女性スペースについての問題性の認識も明確な答えも示されないままと言う外ない。

国民民主党からも回答がなかった。先の「LGBT差別解消法案」の共同提出者で、「LGBT差別解消法案」につき公約とするが、女性スペースについての問題性の認識も明確な答えも示されないままと言う外ない。

れいわ新選組からも回答がなかった。同党は、この政策として「国際的な人権基準に基づいた「LGBTQ+差別解消」を目的にする法律を速やかに法制化します。」としており、女性スペースの課題についての言及は見あたらず、問題性の認識も明確な答えも示されないままと言う外ない。


❷ 日本維新の会と社会民主党

・日本維新の会からは、全体文章のみの回答があった。「政府内に専門的に議論をする会議体を設置します、議論の際は、女性や子どもなどの権利が守られることにも十分な配慮をもって進めます。」とし「今後も幅広くご意見を賜りながら、多様性社会の実現に向けて政策提言を重ねて参ります。」ということであり、女性トイレ・女湯での個別の答えはなかったが、女性たちの権利法益を考慮して進めるという趣旨だとも読める。

・社会民主党からは、問1の女性トイレ、問2の女湯のみならず問3の議論すべきかにつき、いずれも何らチェックのない「無回答」であった。問5の、性自認に関する「差別」の内容については、「範囲は幅広く具体例をここで取り上げることは差し控えたい」とし、また「何を差別と定義し、相談・紛争解決等の仕組みをどうするのかについて議論が必要」としつつ、「理念法を成立させて議論を深め実効性のある法律を改正していくことが重要」という姿勢を示した。ともかく理念法であるから議論は既に不要とし、早期に法の成立を図りたい趣旨とも読める。


❸ 自由民主党と日本共産党

⚫︎ 自民党は、問1の女性トイレ、問2の女湯ともに「エ:その他」とした一方、共産党は、女性トイレにつき「エ:その他」とし、女湯につき「イ:良くない」とした。

・しかし、自民党は女性トイレ、女湯ともども、「性自認」の言葉の定義や女性・男性を含めた社会的な合意形成が必要な課題としており、議論の対象としてる。

・一方で、共産党は「性自認も身体も男性である者が、女性を偽装してスペースに入ってくるのではないか」との不安だけが女性らの権利法益のごとくとし、「まったく別の次元」「犯罪には取り締まりを強化すべき」として、女性トイレ利用については「公認」する姿勢とみられる。そして当会が指摘しているような諸々の発言につき、恐怖心や偏見に基づく差別感情を煽るものと評価する姿勢を示している。

⚫︎ 問3の女性スペースの議論については、両党とも「ア:議論すべき」としている。

・うち自民党は、「東京高裁(注;2021.5.27経産省トイレ高裁判決の趣旨)の指摘のように、この議論は女性自認者の法益と一般的な女性の法益が衝突する場面であり、どのように解決が図られるべきか議論が必要です。当然ながら、公共の福祉に反し、女性の安心・安全な生活を脅かすような犯罪行為は決して許されません。皆様がご指摘の『女性スペース』に関する懸念に真摯に向き合いしっかりと議論をしてまいります。」と、相応に検討する姿勢を示している。

・これに対し、共産党は、「自己の性同一性についての性自認とは個人の尊厳にかかわる問題であることと、それがお互いに尊重される社会のあり方はどうあるべきなのかが据えられる必要があると考えます。」と一般論を述べた。また先に述べた通り、問題の指摘は、恐怖心や偏見に基づく差別感情を煽るものともなりえるとの姿勢を示している。

⚫︎ 問5の、性自認に関する「差別」の内容については、共産党は様々な差別内容を例示した。その中で突如「誰でもトイレ」との文言が見られる。

・自民党は、理解増進法案につき「差別は許されないとの認識」は立法動機であり、何が差別に該当するかは現時点では明確ではない、具体的な措置を定めることは社会の混乱や分断を招くおそれがあるとしている。

⚫︎ 問6のLGBT法案や性自認の考え方について、自民党は性自認を「自己の属する性別についての認識に関する性同一性の有無又は程度に係る意識」と定義して、性同一性の定義に一致させて拡大解釈や誤用を防ぐことが必要としている。

・これに対し、共産党は、問1の答えの中で、性自認のありようを「病理モデル」から、本人の性自認のあり方を重視する「人権モデル」への移行がすすんでいるとし性自認をこそ強調している。2003年性別取扱い特例法についても手術要件の変更を了解とし、今後、法的にも男性器を備えたままの性自認女性という存在が認められて良いとしている。

🟢第7 : おわりに

当会では、10月19日締め切りにて、今回の衆議院議員の候補予定者についても同様のアンケートを実施し、それを集約中である。女性スペースの問題につき認識していなかった、貴重な情報に感謝するなどの記載も見られ、例えば、上記共産党の回答では「なお、共産党各地の衆院ブロック事務所や各議員にも同じ質問をいただいておりますが、各議員の回答についてもこれをもって回答とさせていただきます。」としていたが、自らの考えで回答されてきた議員もあった。

「議論を後退させてはならない。」などと言う団体もあるが、いわゆるLGBTとくにT「性自認」に関しては、女性スペースの課題など様々な観点からする十分な情報、例えば2021年5月27日の東京高裁判決の内容と趣旨の研究、更に諸外国のその後の状況、様々な当事者の声といった情報が提供されておらず、各議員及び各党において「議論がまだまだされていない」と言う外はない。


以 上

・政党回答一覧

・分析全文

・関連ニュース

・性的指向又は性自認を理由とする差別の解消等の推進に関する法律案

・性的指向及び性自認の多様性に関する国民の理解増進に関する法律案要綱


🟢「女性スペースを守る会」より


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