「20210627のこと」 (成田舞)
集まり始めた時にはほんの少しだけ雨が降り始めていた。
この日は高瀬川の中に落ちている陶片を拾った。集合場所の公園から川に続く階段を降りて、そこで小一時間拾い続ける。拾った陶片の行方は、いい感じのものは亀岡に送られ、陶芸家の方に焼いてもらうらしい。制服のボタンや碍子、青や緑の茶碗や皿を拾ってはバケツに入れていく。「ヒルに吸われんように」とタイムキーパー役のまさとさんが川の上から声をかける。そういえば子供の頃家の前の側溝で遊んでいた時にいとこも同じことを言っていた。ヒルにとっては、こんなにたくさんの食糧(足)が突然現れて心躍る瞬間だろうか。拾っても拾っても陶片は無くならない。全部拾ったら川底が今よりちょっと深くなるんじゃないだろうか。陶器のボタンは一体何年前から川の中にいるんだろう。
あらかた拾い終わったら集合写真を撮らせてもらい、櫻本さんと沼田さんと一緒にお昼ご飯に行く。最初に行こうとしていたお好み焼き屋さんはいっぱいで入れなかった。沼田さんはお店にいた子供に、「朝いつも一緒のバスに乗っている人だ!」と顔バレしていた。こんなことあるんや。
午後からは団地の集会所に集まって、地元に長らく住まれている方から、かつての話を聞く会。
川沿いの家に住んでいた「やっほーい」と誰にでも声をかけるおじさん。毛皮と肉にされた小さな動物たち。おじさんの声は空気中に混ざって今でも何かを動かしているのか、犬や猫の血はまだ地面に染み込んで川の流れの中にあるのか。そんなことをふと考える。
話の最後の方で「今の方が幸せ」と頷き合っておられた。えー、そうか。そうなのか。。便利だし安全だし整っている、けど、、毎年異常気象だし、解決していないことだらけだし、圧迫されることだって増えている気がするけれど、、そうか、そうだなあ。。
会が終わってからヤンさんとした話の中で、「お別れの仕方」という言葉がヤンさんから出た。新しい人や物が現れて、土地も代謝するときにはやっぱりこれまでの何かとお別れすることになる。それはわかっているけれど、そのやり方を探してこれからにつなげるという事。
2021年7月14日
成田舞