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丹田を操る
▌『どうする家康』のメイキング映像から
2023年のNHK大河ドラマは、徳川家康が主役の『どうする家康』です。年が明け、1回目の放送前に、徳川家康役の松本潤さんと織田信長役の岡田准一さん2人による番宣も兼ねた対談番組が放送されました。
皆さん御存知の通り、織田信長は大の相撲好きで、ドラマでも相撲の格闘シーンがあるそうです。信長を演じる岡田さんは武術をたしなみ、馬も巧みに操るアクション俳優でもあります。そのシーンでは立ち回りの振り付けも担当し、ドラマのメイキング映像として稽古風景も流されたのです。
私が驚いたのはウォームアップのワンシーン。たった30秒ほどの映像でしたが、私が野球の現場で指導していることとほぼほぼ同じだったため、そうそうこれこれ!と思わず感嘆の声を上げたのです。もちろん、岡田さんが使っていた言葉は武術特有の言い回しで、「丹田(たんでん)」という東洋医学の用語でしたが、下腹、つまり骨盤に他なりません。
正確には「臍下丹田(せいかたんでん)」。へそ下3寸のところにあるツボの名前です。武道の世界では頻繁に登場する体の一部で、意識を集中させる重要な部位になります。日本の慣用句には「腹」を使った表現が多々見られますが(腹が据わる、腹を決めるなど)、この臍下丹田を指すことが多いです。
では、その映像を御覧下さい(※音声が出ます)。
▌今風に解説すると…
この映像を今風に解説すると、やっていることは伸脚の動的ストレッチになるわけですが、岡田さんの言う「丹田を押し込む」は「ドローインして下腹を凹ます」ことであり、そうすることで「骨盤を立てる」動きにつながるのです。
そのあとに続く「クラウチング」は、まさに「アスレティックポジション」からの「構えの体勢」で、それがすべての動作の起点になります。丹田を押し込むことで動作の起点を作るという、極めて重要な身体操法です。
さらに、「丹田のまま」というのは「丹田を押し込んだまま」つまり「骨盤を立てたまま」。「丹田を押して右に移動」は、まさに「右への重心移動」であり、骨盤主導で体を操ることを意味します。
なお、私が現場で指導している動きの順番は下記の通りです。
腹式呼吸
↓
ドローイン
↓
アスレティックポジション(クラウチング)
↓
足と足の間隔を広げる(スタートポジション)
↓
足の内側を地面に付けたまま片方を伸脚(重心移動)
↓
上半身を伸脚側に捻る
↓
上半身を屈脚側に捻る
↓
スタートポジション
↓
反対側の脚も同様におこなう
↓
スタートポジション
↓
かかとを地面に付けつま先を上げて片方を伸脚(重心移動)
↓
上半身を伸脚側に捻る
↓
上半身を屈脚側に捻る
↓
スタートポジション
↓
反対側の脚も同様におこなう
↓
スタートポジション
いかがでしょうか?「丹田を操る」ことができれば、武術でも一人前です。『軍師官兵衛』に続き、またこれで岡田准一さんを見る目が変わったのは、間違いありません。