京都国立博物館〜京都市京セラ美術館
京都国立博物館の特別展「東福寺」と、京都市京セラ美術館の「竹内栖鳳 破壊と創生のエネルギー」を閉幕間際に見ることができました。前売りを買って持っていたのですが、先月から急な不幸があったり趣味の楽器演奏で思いがけないことがあったり、機会を逃し続けていました。今日ようやく行くことができて良かったです。
東福寺は京都の東山にある大きなお寺で、紅葉の名所としても有名です。南宋禅宗界の重鎮である無準師範のもとで修業をして帰国した円爾が開山したと伝えられます。
無準師範や円爾、その後継者たちの肖像画や書跡、法具。そして東福寺を拠点として活躍した絵仏師吉山明兆の仏画の数々を見ました。
つい先日、西宮市大谷記念美術館にて、この明兆の三十三観音図を手本として描いたと言われる原在中と勝部如春斎の三十三観音図を見たところでしたので、「これが…」という気持ちでありがたく見ることができました。
勝部如春斎を見た時の記事はこちらです。
今回の展覧会では、この明兆の「五百羅漢図」修理後の一挙公開ということで、全50幅(後世の摸本も含む)を4期に分けて公開していました。今日は第4期の公開分を見ることができました。
羅漢とは釈迦の高弟や最高位の修行僧のことで、五百羅漢図は明兆がまだ30代の頃に描いた記念碑的作品と言われているそうです。初めて見たのですが、羅漢の皆さんがとにかく明るく陽気に描かれていて、見ているだけで楽しくなる作品でした。仏画で「楽しくなる」ってすごいことだと思うのです。まず、そのことに驚き感動しました。
会場の1階にはフォトスポットが設けられており、東福寺にかつてあった巨大なご本尊、明治時代に焼失したご本尊の焼け残った仏手、蓮弁、光背の化仏(化仏だけど大仏の化仏なので、それだけでも結構大きい)の3点が撮影可能になっていました。こちらは仏手の写真です。手だけで高さ2メートル以上だそうです。
京博を出て、京都市京セラ美術館へ。楽しみにしていた「竹内栖鳳」です。
勉強熱心だった若き日の栖鳳が描いた芸阿弥や雪舟などの模写の展示もあり、高い技術を磨いていった過程が少しだけ見えた気がしました。伝統的な日本画の技法だけではなく、海外へ行って目にした本場の西洋画の写実的な絵画の技法も自分の中に取り込んでいき、また海外で動物園に行って目にした動く動物たちを研究したり。そうして描かれた虎・獅子図、藤田美術館でも見た大獅子図の美しいライオンの姿や、日本画として描かれた海外の風景の素晴らしさ。
こちらは有名な「絵になる最初」(撮影可能でした)ですが、下絵や彼女の着ている着物の同柄の着物や帯の展示もありました。
こちらも撮影可能な作品です。ガラスケース内ですので影が写ってしまっていますが…。かなり晩年に描かれたもので、若い頃の虎や獅子とはタッチが異なるものの、私はこれは不思議な透明感があり魅力的だと思いました。
あー、竹内栖鳳、好きだなあ。面白かったなあとしみじみ噛み締めながら帰ってきました。福田美術館にも必ず行かなくちゃいけませんね。
東福寺の「花供御(はなくそ)」、裏面に「古来よりこの御供を年々受くる人は長病をせざると伝へらる」と書かれています。中身は米菓(おかき)です。東福寺では、大涅槃図の公開をしているそうです。明兆が、猫ちゃんを書き足したと言われる涅槃図です。
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