鉄斎の九十歳落款
宝塚市にある清荒神清澄寺へ行ってきました。阪急宝塚から一駅先の清荒神駅で降りて、北へ伸びる参道を歩きました。今日は天気が良くて気温は20度より少し低いくらいで過ごしやすい春の陽気、お散歩するにはちょうど良い天気でした。参道の桜は5分咲きくらいでしょうか、春を感じながらゆっくりと歩いて登っていきました。
今年は富岡鉄斎の没後100年ということで、京都国立近代美術館で大きな富岡鉄斎展が開催されています。もちろん見に行こうと思っていますが、その前に富岡鉄斎美術館のある清荒神清澄寺へ行っておこうと考えたのです。富岡鉄斎美術館は、清荒神清澄寺第37世法主光浄和上の理想とその意志を継承して、半世紀以上にわたって蒐集されてきた画聖、富岡鉄斎の作品を広く公開展示するために第38世法主光聰和上が昭和50年(1975)4月、清荒神清澄寺の境内に開館したものだそうです。
ただ、美術館は資料整理のため長期休館になっており、別館として整備された史料館にて小規模な企画展をやっています。4月4日から「鉄斎の九十歳落款」前期展が始まっています。
お寺の境内は山の上ということもあって少し参道の桜よりは開花状況は遅めのようです。山門を入って少し歩いた左側に史料館がありました(すぐに分かるような掲示もしてありました)。まずは本堂でお参りをし、戻ってきて史料館を拝見しました。上のリンク内のページに写真がありますが、展示室は1室だけの小規模な展示です。
館内は撮影禁止ですので、上の図は日経アートさんの図版をお借りしています。
鉄斎は数え89歳で没しましたが、亡くなる年の夏くらいからは作品に「九十翁」あるいは「九十叟(そう)」などと自署したそうです。そうした最晩年の、熟練とも言える時期の作品を集めた展示でした。
「聖者舟遊図」は釈迦、観音、孔子、老子が一船に同乗し、達磨がその楫をとる図ということです。生き生きとした表情や勢いのある描線が素晴らしいと思いました。
「昇天龍図」は鉄斎が清荒神清澄寺のために描いて贈ったものだそうです。参道を龍に見立てたと言われています。そういえば、葛飾北斎も九十歳の落款のある肉筆の龍図(富士越龍図)があったなあ、などと思い出しながら眺めました。
史料館を出て山門に歩いて行く途中に売店がありましたので、そこで絵ハガキのセットと富岡鉄斎没後百年記念荒神ばあむ(イチゴのバームクーヘン)をお土産に買って帰りました。売店には富岡鉄斎美術館の館蔵品の図録と並んで、京都国立近代美術館で開催されている鉄斎展の図録も売られていました(多くの館蔵品を出品しているようですね)。
帰りに西宮ガーデンズに寄り、大学院生(院生になりました)の息子と待ち合わせをしてランチを食べたり、無印でお洋服を買ったりして帰りました。
おやつにお土産のバームクーヘンをいただきました。しっとりと柔らかく、イチゴの香りがして美味でした。
MOMAKの富岡鉄斎展も楽しみにしています。