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響きあう絵画
世の中は3連休でしたが私自身は土日は自宅で通常の仕事(プチ繁忙期)があり、ようやく4日の月曜日がフリーになりましたので、神戸は六甲アイランドにある神戸ゆかりの美術館で行われている特別展「響きあう絵画」を見に行きました。
東北地方で初めての公立美術館として1981年に開館した宮城県美術館は、現在改修工事のため長期休館中だそうで、7千点を超えるコレクションの中から74点の名品を神戸ゆかりの美術館で展示しています。宮城県や東北地方にゆかりがある作家の作品、カンディンスキーやクレーなどの海外作家の作品も見ることができました。
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私は実家が宮城県の沿岸部にあり、仙台市にある宮城県美術館には数回行ったことがありますが何を見たのか殆ど覚えていません。おそらく特別展か企画展を見て、コレクションは見ていなかったような気がします。ですので、今回のコレクションは「へー!こんなものを持ってるんだ!」という少しの驚きなどがありつつの鑑賞でした。
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1881
展覧会の冒頭には高橋由一の作品が2点並んでいました。由一といえば、重要文化財の「鮭」をまず思い出してしまいますが、その由一が山形県令の委嘱を受けて山形県の新道開発の記録画を描くために東北地方を訪れた時に、宮城県からも依頼されて宮城県を代表する風景を記録画として描いたのだそうです。「宮城県庁門前図」「松島五大堂図」の2点を見ました。松島五大堂は自分が高校生くらいの頃に家族や友達と何度も訪れた場所ですし、由一がとても正確に風景を記録したことが良く分かります。
東北にゆかりのある作家として岩手県花巻出身の萬鉄五郎、吉井忠なども作品も並んでいました。同時代の作家として梅原龍三郎、岸田劉生、東郷青児、明治から大正、そして昭和へと時代をたどっていくように見進めていきます。
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1941
そして今日一番胸打たれた作品が松本俊介「画家の像」です。松本は東京生まれですが幼少期を岩手で過ごしたそうです。この作品は162.4×112.7cmと、かなり大きいサイズの作品で、二科展に出品されました。中心に立つのは松本本人で、その家族も描かれています。雑誌「みづゑ」の記事「国防国家と美術」に対する反論「生きている画家」を寄稿し、翼賛体制に芸術を組み込もうとする戦時下において、何によって自分は自分であるのかを問うた大作を描きました。松本本人の表情には固い決意が見え、見ている私たちの胸を打ちます。
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1966
そして癒される猫ちゃんです。北海道生まれの長谷川は探偵小説家でもあり、絵を描くのはとても遅かったそうです。こちらの猫ちゃんに髭が片方にしかないのは、遅筆で実物を目の前にしないと描けなかった作者が、これを描くのに何年もかかってしまい、その間に猫が死んでしまったから。そんな逸話で、人気になった作品だそうです。
先日見に行った横尾忠則現代美術館で愛猫タマのコーナーを見た時にも感じたのですが、人は猫を描くと、その絵からは愛情があふれ出てくるのだなあと。
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1953
そして今日2番目に心ひかれた作品が「婦人の日」です。描かれた女性は明るく元気な表情で左手を上に上げています。右手にはホウキを持ち、おそらく家庭で家事に従事する女性なのでしょうか。腰につけたエプロンのあたりは縄に縛られています。何かに縛られている暗喩でしょうか。明るい表情と、彼女を縛る縄の対比が少し怖くもあり、とても印象に残りました。
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1964
「具体」の方々の作品もあり、白髪一雄は何を見てもカッコいいなあと思いました。こちらもすごくカッコよくて、右下の「白髪」の文字さえもカッコいいと思えてしまいました。
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1964
会場は田中敦子の作品のみ撮影禁止で、あとは撮影が可能でした。
1月26日まで開催されています。
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