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南蛮文化館へ
大阪にある南蛮文化館へ行きました。こちらは、5月と11月の2カ月間しか開館していない美術館で、以前から見に行きたいと思っていたのですが開館期間中にタイミング良く思い出すことがなくて機会を逃していました。この11月こそ行くぞ、とカレンダーにも書き込み、念願かなって行くことができました。何故5月と11月しか開けないのかというと、館の外気が良い季節なので作品の受けるダメージが少ないだろうという、館を開いた故北村芳郎氏の考えがあったからだそうです。
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阪急の中津駅の西側出口から歩いてすぐ、住宅地の中にありました。こじんまりとした建物ですが、分かりやすく看板が出ているので迷うことはありませんでした。
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南蛮美術とは、桃山時代から江戸時代初期にかけて南蛮貿易の様子を描いたり、西洋の美術の影響を受けて描かれた絵画、工芸などのことを言います。南蛮貿易を描いた屏風は「南蛮屏風」と呼ばれて、有名なところでは神戸市立博物館の狩野内膳の描いたものがあり重要文化財に指定されています。こちらの南蛮文化館にも重要文化財に指定された南蛮屏風があり、見るのを楽しみにしていました。神戸の屏風はこちらにリンクを貼っておきますね。
南蛮文化館の南蛮屏風は、神戸のものとは少し違っていて黒船は左隻の方についていて、そこから小舟で積み荷を運んでいる構図になっています。受付の方の話によると、こちらの南蛮屏風は長く「狩野派」の誰かの筆だろうと言われてきたのですが、近年の研究で狩野派とは岩や波の描き方が違うのではないか、長谷川派(等伯か息子か)ではないかとの指摘を受けているそうです。
ひと回り小さな南蛮屏風も近くに展示があり、そちらは神戸市博物館の狩野内膳のものと描写がほぼ同じで、そちらは内膳の弟子や狩野派の誰かが模写をしたのではないかということでした。
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屏風のある2階の展示室には、洋風画や世界地図屏風、陶磁や漆芸などの工芸品が所狭しと並んでおり、原城址より発掘されたという黄金の十字架も見ることができました。1階にはキリシタン関係の遺品が並び、福井の旧家の壁に竹筒に入った状態で塗りこめられていたという「悲しみのマリア画像」は、痛々しい縦横の折り目の跡が当時のキリシタン迫害の悲しみを訴えるような胸を衝く絵画でした。こちらは神戸の池長孟氏が所蔵していたものだったそうです。
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ひと回り見終えて図録を購入した時に、受付の方に声をかけられて色々な詳しい説明をお聞きし、楽しい気持ちで帰ってきました。
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