法華経絵巻と千年の祈り
大阪中之島にある中之島香雪美術館で開催されている特別展「法華経絵巻と千年の祈り」を見に行きました。
10月も半ば近いのに日傘をさして中之島を歩きます。今日も夏日で、カラッとして朝晩涼しくなったとはいえ昼間の暑さは例年とは違いますね。今年は紅葉を楽しむことができるのか心配になってしまいます。
さて、中之島香雪美術館は中ノ島フェスティバルタワー・ウエストという背の高いビルの4階にある都会の中の美術館です。ビルの入り口にもエスカレーターを上がった先にも、迷子にならないように分かりやすく案内が設置されています。
今回の特別展は香雪美術館所蔵の「法華経絵巻」が3年に及ぶ修理を終えたことを記念したもので、釈迦如来の教えである「法華経」には何が書かれているのか、そして法華経の教えをどう描いてきたか、法華経に関連する仏教絵画を中心に系統立てて見せてくれるような内容でした。
展示室の中は撮影は禁止なのでフライヤーの画像を参考画像としてお借りして感想を書いていこうと思います。
会場は第一章から第六章まで分かれていて、最初の第一章は「法華経につづられた物語」として海住山寺に伝わる「法華経曼荼羅」(重要文化財)の展示でした。それ以降のコーナーでも、たとえば平家納経などの経本の見返しに描かれた絵、経箱に描かれた絵など、法華経の教えをどう絵に描いてきたか、という展示が続き丁寧な解説のパネルもたくさんありました。
第四章が「法華経絵巻」の展示でした。
法華経絵巻は和訳の法華経を詞書として、それに対応する絵によって教えを分かりやすくした絵解きのような絵巻物です。現存する法華経絵巻は1系統のみで、こちらの美術館にあるものと、荏原畠山美術館にあるもの、京博にあるものを繋ぎ合わせるとどういう構成になるか(繋ぎ合わせても法華経の中の一部分しかないわけですが)の解説があったり、今回の修理がどのようなものだったのかの解説もありました。
こちらの香雪美術館では、今回のような修理の解説がとても詳しくて、文化財の修理について関心を持つようになったのは香雪美術館さんのおかげでもあります。
最後のコーナーには昭和荘厳経のうち法華一品経に関する展示があり(四天王寺のもの)、外箱の絵を生田花朝が描いていて、とても美しかったです。見られて良かったです。
今回の特別展は夜間特別開館やトーク、絵解きなどのイベントがたくさん予定されていて、後期展示を見に行くついでにイベントにも参加しようかなと思っています。
そして大阪城の近くにある大阪歴史博物館へ行き、特別展「川瀬巴水」も見てきました。
巴水の新版画が時代順に、シリーズごとに見られるようになっていて彼の画業を一望できるような内容でした。
こちらも写真撮影はできない展覧会でした。巴水の版画をこんなにたくさんまとめて見るのは初めてで、初期の作品は広重を彷彿とするものもあり、またそれが巴水への批判にもなっていたようで、その批判が新しい版画表現への意欲に繋がっていたようです。
大阪歴史博物館は常設も面白いのですが、今日は特別展だけを見て帰りました。前に来た時と、1階のレストランの名前が違っていました。新しいお店が入ったようですね。観光客で賑わっていました。大阪観光の際に、博物館にも立ち寄ってみて下さいね。