年末の大阪中之島美術館
年の瀬ですね。今日は私以外の家族が2人とも遊びに出かけてしまい夜まで帰らないということで、一人で自宅の大掃除というのも癪に障るので私も遊びに行っちゃえと考えて、今日まで開館している大阪中之島美術館へ行ってきました。こちらでは、5階で「テート美術館展」、4階で「決定版!女性画家たちの大阪」をやっていますので両方を見ました。午前中は5階です。
テート美術館は英国にあるのですが、TATEという組織が美術品等を管理しておりロンドンのテート・ブリテン、テート・モダンと、テート・リバプール、テート・セント・アイヴスの4つの国立美術館を運営しているそうです。なんと7万7千点を超えるアートを有しているのだそうです。
それらの中から、今回は「光」をテーマに厳選された作品、18世紀から現代までのアーティストの作品が展示されています。
前半展示のメインは「光の画家」と称されるターナーで、輪郭線のない光を風景に溶け込むように描いています。それに対してコンスタブルはくっきりとした描写で、空や雲、海の、光が当たることによる色の変化を鮮明に描き出していました。
展示作品は非常に幅広くて(時代的にも地域的にも)、モネやピサロもあり、草間彌生もあり(写真撮影禁止でしたが中を覗くといくつか開けられた穴が反射して無数に見え、彼女のトレードマークの水玉っぽかったし面白いと思いました)、ハマスホイやローゼンスタインもあり、カンディンスキーやライリー、リヒターもあり。絵画だけではなく写真表現やインスタレーションもありました。
中之島の多くの企業は年末年始休業に入っており、飲食店なども閉まっている中、美術館の中は多くの人で賑わっていて少し驚きました。こちらの5階の展示が目的の方が多かった気がします。
こちらのエリアソンの作品は撮影可でしたので、多くの方が立ち止まって色々な角度から撮影をされていました。球体様の物体は回転して光を出していて、天井や壁、見ている私たちにも影や光が当たって作品の一部にしてしまいます。
テート美術館展を見終えて、(中之島の多くの飲食店が閉まっていましたので)美術館の1階のミュゼ・カラトでランチをいただき、4階へ上がって「決定版!女性画家たちの大阪」です。こちらは、今年のはじめに「大阪の日本画」を見た時からとても楽しみにしていたものです。
約100年ほど昔の大阪では裕福な商家や富豪の娘たちは教養や「たしなみ」として稽古事、習い事に通うことが多かったそうです。そういった風土の中で、稽古事として絵画を始めて画家になった女性や最初から職業画家を目指して絵画を学ぶ女性が多く登場しました。
島成園は20歳の時に文部省美術展覧会に入選して注目を集め、彼女を目標に多くの女性たちが後に続く形で世の中に出始めました。
この展覧会では、なんと50名を超える女性画家の約150点の作品を展示しているそうです。近年の調査によって次々に作品が見つかり、いまだに生年や死没年、本名などの分からない女性画家が多数いるそうで、やはり女性の仕事は男性とは違い、軽視されて研究の対象にもならず捨て置かれてきた期間が長かったのだと思いました。
注目を集めた島成園でさえ、親に結婚するように言われて銀行員の男性と結婚をし、転勤についていく家庭生活の中で創作が以前のようにはできなくなり苦しんだそうです。
女性画家は活動期間の短い人が多く(結婚してやめてしまうから)、作品数が少なかったり戦争で失われた作品があったりで、なかなか全容が分からないということもあるようです。
島成園の自画像は32歳の時のもので、目の下のクマや髪の乱れ、顔色の悪さなどから彼女の苦悩が滲み出てくるような作品です。
ただ、この展覧会ではこうした女性の不遇を嘆くような内容では決してなくて、そんな時代であっても世に出ようと努力をし、教養や技術を身に付けて職業画家となった女性たちがこんなに大勢いたんだということ、彼女たちの作品が素晴らしいこと、現代の私たちにも希望をくれることを感じられる展示でした。
近代の女性画家については、(地域や国を問わず)取り上げられるようになったのは本当に最近のことであり今後の研究を楽しみにしたいと思います。
この展覧会は前期と後期で相当数の作品の入れ替えがあるそうで、私は美術館のメンバーになっているので特典で1回は見られるので、もう1回分の前売りを別に買っていて後期も見たいと思っています。
また、音声ガイドは最近までドラマ「セクシー田中さん」に主演していらした木南晴夏さんでした。とても良かったです。
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