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特別展 生誕270年 長沢芦雪

大阪中之島美術館で「特別展 生誕270年 長沢芦雪 ー奇想の旅、天才絵師の全貌ー」を見ました。

会場入口近くの撮影可能エリアにて

芦雪は江戸時代中期に京都で活躍した画家で、写生画の祖、円山応挙の高弟です。展覧会では、師である応挙の美人画と芦雪の美人画を並べて展示をし、応挙譲りの写実性を継承しつつも滲み出てくる芦雪の個性が分かりやすく感じられました。

撮影可能エリアにて

今回は滅多に見ることのない芦雪の障壁画が前後期合わせて8作品が展示されるということで、それを見るだけでも本当に価値のある展覧会だと思いました。和歌山無量寺の龍図襖と虎図襖は、本来ならば迫力と同時に怖さなどを感じるはずの龍も虎も、どこか飄々として可愛げがあり、特に虎は猫のような可愛らしさがあって芦雪の生きとし生けるものへの愛溢れる視線を感じることができました。

撮影可能エリアにて

襖絵や屏風絵などの大型作品だけではなく、3センチ四方の中に500人もの羅漢を描いた「方寸五百羅漢図」も見ることができました。まず大きく拡大されたものを見て、大体どのへんに何が描かれているのかを確認し、実物を見ました。肉眼ではほぼ見ることができないくらいの小さな作品で、持参した単眼鏡でじっくり見ましたが本当に細かく描き込んであり驚きました。

寒山拾得図 絵ハガキより

こちらの寒山拾得図は和歌山の高山寺さんのもので、どちらが寒山でどちらが拾得なのか分からない(ふつうは持ち物で区別をするけど、描かれていないので)絵なのですが、表情があまりにも良くて印象に残りました。

布袋・雀・犬図 (絵ハガキより)

芦雪といえば可愛らしいワンコちゃんの絵が有名ですよね。今回は、犬はもちろん鳥や魚、そして猿、虎や子供たちの登場する作品をたくさん見ることができました。変わり者であったことが言われる芦雪ではありますが、描かれた小さい生き物たちを見ると彼の温かいまなざしを感じる気がして、愛情深い人だったのではないかなと思いました。
また、同時代の絵師との比較として曽我蕭白と伊藤若冲の作品が何枚か見ることができました。伊藤若冲は年齢がかなり違っていても長生きした人で、芦雪とは本当に近所に住んでいたことが分かっており、すれ違ったり会話をしたり、ということがあったかもしれません。
こちらの展覧会は前期と後期でがらりと作品の入れ替えがあります。後期は11月7日からです。後期には逸翁美術館さんの可愛らしいワンコの絵が見られますし、また見に行きたいと思っています。

大阪大学中之島センター
カフェテリア・アゴラにてランチ

芦雪を楽しんだ後はお隣の阪大中之島センター2階のアゴラさんでランチです。こちらのお店に置いてあるチラシに「京・大坂 日本絵画の精華 花鳥画の名品から俳画の珍品まで」というのがあり、え、これ今やってるの?見たい!と思ったのですが明日からでした…。残念。出直します。

中之島香雪美術館入口

ランチ後は中之島香雪美術館で「茶の湯の茶碗」を見ました。

美濃 志野茶碗 銘 朝日影
桃山時代(16-17世紀)

茶の湯の茶碗の歴史が分かるような内容になっており、村山コレクションだけではなく重要文化財の茶碗の特別出品も何点かありました(特別出品のものは撮影禁止になっていました)。こちらの美術館はいつも解説が分かりやすく勉強になります。
また、関西の茶道具を所蔵する美術館・博物館9館が緩やかに連携をして入館料の相互割引をされているそうです。↓詳細

https://www.kosetsu-museum.or.jp/nakanoshima/wp/wp-content/uploads/2023/09/09.01_9kanrenkei.pdf

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