レクイエム 猫と肖像と一人の画家
3連休、といっても我が家は土曜日はオットが出勤、私自身は普段通り土日は自宅で仕事をし、昨夜からようやく涼しくなってきて今日も外出日和と思い、神戸にある横尾忠則現代美術館へ行きました。
こちらの美術館は王子動物園の向かいにあり、道路の向こう側に動物園の門を見ると大勢の親子連れが並んで入場するのが見えました。連休の最終日、楽しんでほしいですね。
横尾忠則現代美術館では、今月から12月まで企画展「レクイエム 猫と肖像と一人の画家」を開催しています。
横尾忠則は現在88歳。今は画家ですが、グラフィックデザイナーとして活躍していた60年代以降から仕事を通して様々なジャンルの著名人と関わり交流し、そして見送ってきたそうです。
美術館2階の展示室Aでは、ご家族や友人、横尾の生き方や創作に影響を与えた人々の肖像画や関連資料を紹介するとともに、横尾さん自身の言葉でその交流を振り返る部屋になっていました。
最初に登場したのはご家族を描いた作品、そして三島由紀夫、柴田錬三郎などの文学者、ジョン・レノン(とオノ・ヨーコ)、寺山修司などなど。横尾さんが彼らの著書の装幀を手掛けたり、ポスターのデザインをすることで親交を深めた人たちとの写真や肖像画、仕事の数々です。こちらのお部屋は写真撮影は禁止で、入口にある写真を並べたコーナーのみ全体像であれば撮影してもOKと言われて、そこだけ撮影させていただきました。
そして3階の猫のお部屋では、2014年に病気で亡くなった愛猫タマを偲んで描いた「タマ、帰っておいで」などの作品が並んでおり、このお部屋は自由に撮影できました。
有名な横尾さんのY字路シリーズに、タマが描かれています。ちょっとこれを見てウルっときて…
横尾さんが書かれたタマの日記と、「タマ、帰っておいで」のタイトルを見た瞬間、もうダメでした。目と鼻に大量の水分が湧いてきて、たまらなくなってしまいました。
全部の作品を見終えて美術館のロビーに戻ったら、窓際のベンチのところに瀬戸内寂聴さんと横尾さんの手紙のやり取りを掲載した著作が自由に読めるようになっていて(瀬戸内寂聴さんは2階の肖像のコーナーに登場する方です)、寂聴さんは犬も猫も本来はあまりお好きではなかったのに、タマを病気で亡くした横尾さんがあまりにも悲しまれているので、ご自分の寺に戻った時に長いお経を読んで供養されたというお手紙が掲載されていて、それを読んでまたウルっとしてしまったのでした。
横尾さんのタマの連作からは、大事なタマを亡くした心の痛みが(穏やかな表現でタマを描いた連作であるのに)伝わってくるものだったのだと思います。あらためて、横尾さんの画家としての凄さを感じたのでした。
4階のコレクションギャラリーでは、「YOKOO TADANORI COLLECTION GALLERY」というアンディ・ウォーホルの特集でした。2階と同様に横尾さんの言葉でウォーホルとの出会いと関係性について説明してあり、彼の作品と横尾さんのウォーホル関係の作品が展示されていました。
12月15日まで開催されています。動物園のついでに立ち寄ってみてはいかがでしょうか。