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Back to Modern

多くの美術館は月曜日が定休日になっており、月曜日が祝日などの場合には開館して翌日の火曜日を代休にするところが多いのです。今日、1月14日(火)はまさに前日が祝日だった火曜日で、休館の美術館が多い日です。
西宮市大谷記念美術館は水曜日が定休日なので今日のような火曜日は普通に開館しています。時々そういう他とは休みの違う美術館があるんですよね。というわけで、今日は西宮大谷記念美術館へ行ってきました。いま、「Back to Modern 戦後西ドイツのグラフィックデザイン展 モダニズム再発見」という展覧会をやっています。10月26日から2月24日という、かなり長い会期です。

どういう展覧会かというと、デュッセルドルフのグラフィックデザイナーであり大学教授でもあるイェンス・ミュラー氏が設立した「A5コレクション デュッセルドルフ」を紹介するものであり、戦後西ドイツのグラフィックデザイン資料を中心に収集されたコレクションなのだそうです。

ミヒャエル・エンゲルマン T2

展覧会は全体を4部に分けていて、「幾何学的抽象」「イラストレーション」「写真」「タイポグラフィ」のそれぞれに該当するデザイン作品を展示していました。
上のエンゲルマンの作品はT2というメンズ向けシェービングローションの宣伝ポスターとして製作されたもので、人物の顔周りにはシェービングローションに見立てたT2のブランドロゴが配されているというもので、私はこれが気に入りました(写真にどうしてもライトの光が映り込んでしまい綺麗に撮れませんでした)。

ハンス・ヒルマン 映画「七人の侍」

映画のポスターの中には日本の映画が結構たくさんありました。これはその中のひとつで、西ドイツの人が日本の映画をどのように見て、どの部分を強調したいのか、やはり日本人である私たちと少し視点が違う気がしました。

セレスティーノ・ピアッティ dtv 20周年

dtvはペーパーバックの書籍を発行する出版社で、セレスティーノ・ピアッティは書籍の表紙デザインだけでなくタイポグラフィや印章、レターヘッド、広告、ポスターなどのグラフィックデザインを担当していたそうです。このフクロウのポスターはフクロウの目が印象的ですよね。

フリッツ・フィシャー=ノスビッシュ 映画「野火」

この野火のデザインもすごいと思いませんか。

ヴォルフ・D・ツィマーマン
コンサート「第9回ドイツ・アマチュア・ジャズ・フェスティバル デュッセルドルフ '63」

上のジャズのポスターはタイポグラフィのところに展示してあり、JAZZの文字が楽器を演奏している人のようだったり、音楽の躍動感みたいだったりで面白いと思いました。

常設展示の部屋では神戸で生まれて関西で活躍したグラフィックデザイナーの今竹七郎の企画展示をしていて、西ドイツのグラフィックデザインと同時代の日本のデザインを見られてとても面白かったです。この方、私は名前を存じ上げなかったのですがかなり活躍した方だったようです。

今竹七郎がデザインしたロゴマーク、社章など

見慣れたものもありますよね。

今竹七郎 パッケージ「オーバンド」

我が家のキッチンの引き出しの中に、このオーバンドの箱が入っています(皆さんのキッチンにもあるのでは?)。

オーバンドのサイトにも、今竹七郎の名前が出てきていました。

美術館の2階の階段脇の部屋ではイェンス・ミュラー氏のインタビューが上映されており、その中で日本のグラフィックデザインとは共通点もあり、異なる点ももちろんあるというようなことを言っていて、それを体感する意味でも今竹七郎の展示があったのは良かったです。

同展は3月から東京都庭園美術館に巡回するようです。

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綾小路
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