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京都の嵐山に舞い降りた奇跡!! 伊藤若冲の激レアな巻物が世界初公開されるってマジ?!

決してふざけているわけではありません。こういう長いタイトルの展覧会が京都は嵐山にある福田美術館で開催されています。

「激レアな巻物」とはヨーロッパの個人が所蔵していたものを昨年福田美術館が手に入れたもので、70代の伊藤若冲が描いた《果蔬図巻》です。この作品が初公開されるということで話題になり、多くの美術ファンが福田美術館を訪れています。

托鉢図 伊藤若冲

この若冲の「托鉢図」、これと似たようなものをどこかで見たぞ…もっと可愛らしいやつ…頭が丸くてお人形みたいな托鉢の行列…。と、これを見てからずっと気になっており自宅へ戻ってから調べたところ、何年か前に京都の龍谷ミュージアムで行われた「日本の素朴絵」で見た「雲水托鉢図」(南天棒)でした。↓このPDFファイルの下の方に図版があります。

https://museum.ryukoku.ac.jp/exhibition/2019/sobokue/images/flyer.pdf

美術館の1階の展示室には伊藤若冲の作品のほか、若冲が影響を受けたと言われる沈南蘋や白隠慧鶴などの作品も展示されていました。若冲の可愛い霊亀図や仔犬図、伏見人形図もあれば雲中阿弥陀如来像のような珍しい仏教の作品もありました。
そして2階の展示室は、いよいよ激レアな巻物です。

激レアの前に、まずは「乗興舟」です。こちらは若冲が仲良しの大典顕常と一緒に舟で京都から大坂へ下った時の風景と、大典顕常の短い詩を版画にしたものです。版画は拓本をとるときのような方法で制作されていて(普通の木版画と凹凸が逆になってる)、黒地に白の文字や描線で描かれたようになっていて、これがまたとてもロマンチックに映り、2人の舟の旅がとても思い出に残るものだったことが分かるような素敵な作品でした。
実は乗興舟は大阪の久保惣記念美術館でも見てまして(版画なので所蔵館が複数あるのです)、福田美術館の所蔵品は一部欠落している部分があるため久保惣さんの図版を参考として解説図に掲載していました。

乗興舟 伊藤若冲下絵 梅荘顕常短辞

この乗興舟の解説図がとても詳しく分かりやすく、学芸員さんの熱意が伝わってくるものでもありました。また、この作品を全部通して見せていただけて感激しました(以前見たものは前後期で巻き替えていたので)。

さあ、次はいよいよ激レア巻物「果蔬図巻」です。

果蔬図巻 伊藤若冲画 梅荘顕常跋

伊藤若冲の実家は青物問屋で、若冲自身もそこを継いでいたことがあり、野菜や果物にはとても詳しかったと思われます。この図巻だけではなく、野菜や果物を描いたものは多くあり、とてもリアルに描いているのが印象的なのです。こちらの図巻には52種類の野菜が描かれており、巻末には大典顕常の跋文が添えてあり、若冲の画技はすごいぞ(超要約)というようなことが長々と書かれていました。

跋文の部分

3つある展示室を全て見終えて、12時半くらいにカフェへ行ったところ非常に混雑していて、並んで待っていましたがパニーニは全種類売り切れてしまっていました。仕方なくチーズケーキを食べてみました(美味しかった)。

食べ終えてからもう一度2階の展示室に戻って乗興舟と果蔬図巻を再度見て、美術館を出て嵯峨嵐山文華館へ向かいました。
「HaikuとHaiga ― 芭蕉と蕪村、2人のカリスマ ―」という特別展をやっています。蕪村LOVEな私ですので、とても楽しみにしていました。

中村芳中の描いた松尾芭蕉
与謝蕪村の描いた松尾芭蕉

芳中の描いた芭蕉はなんとなくほわんと可愛らしく、蕪村の描いた芭蕉はリスペクトが感じられます。蕪村にとって芭蕉は憧れの存在であり、偉大な先達だったと思います。

与謝蕪村 「はかま着て」自画賛

こういうのが蕪村らしくて良いんですよー。センスあるー。

嵐山文華館2階より大堰川をのぞむ

紅葉はちょっとピークを過ぎた感じでしょうか。
展示を全部見て、お腹が空いたので嵯峨嵐山文華館のカフェでチーズトーストをいただきました。席から庭の紅葉が見えてなかなかのロケーションです。

福田美術館のカフェと違い、こちらのカフェは入場ゲートの外にあり入館料を支払わない人もカフェだけ利用できます。庭に面した屋外テラスにも席があり、今日は寒くて外に出る気にはなれませんでしたが気候の良い時期にはお庭で食べるのも良いと思います。

Omokageテラス

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綾小路
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