【高校数学で計算】優勝マジックの計算式を求めてみた【プロ野球】
毎年9月ごろになると、プロ野球界隈では「優勝マジックが点灯した/消滅した」みたいな会話が飛び交うようになりますよね。
優勝マジックとは、「他の全チームに自力優勝の可能性がなくなった時点で,チームがあと何勝すれば優勝できるかを示す数字」(出典:コトバンク・ブリタニカ国際大百科事典)を表します。
ではこの優勝マジック、いったいどのようにして算出しているのでしょうか?高校1年生で習う一次不等式を用いて説明します。
①まず日本語で式を立ててみる
優勝マジックの定義に沿って、まず日本語で式を表すと以下のようになります。
(日本のプロ野球は勝率で順位を決定するので、勝率同士で比較する。)
このX勝こそが、優勝マジックの値になり、今回算出しようとしているものになります。
また、参考までに勝率の計算式を書いておくと、
勝率=勝利数/(勝利数+敗戦数) となります。
②文字を定義する
架空の順位表を用いながら、使用する文字を以下のように定義します。
また、
東京vs沖縄の残り試合数(直接対決数)・・・L
1位の東京は、残り試合をX勝Y敗で終えると仮定。
以上、計13個の文字を使用します(多い・・・・・・)。
③不等式を立てる
①で書いた日本語の式を文字で表してみると以下のようになります。
①より2位の沖縄は残り試合を全勝するので、2位の沖縄は(G+K)勝H敗でシーズンを終え、1位の東京は(B+X)勝(C+Y)敗でシーズンを終えます。それをもとに勝率を算出するので、上記のような分数の不等式になります。
なお、東京は残りE試合をX勝Y敗するということなので、
E=X+Y
という関係が成り立ち、これをYについて解くと
Y=E-X
になります。Yを残しておくと後々の計算が面倒なので、Yを消去して
とします。
あとは地道にこの不等式をXについて解いていきます。
④優勝マジック算出式の導出
Xについて解いた不等式がこちらになります。
文字が多くて複雑ですね・・・・・・
「あとX勝すれば優勝決定」という意味ですので、この不等式を満たす最小の整数Xが優勝マジックとなります。
これで優勝マジックが完璧に算出・・・・・・と思ったかもしれませんが、ちょっと待ってください!
Xが取りうる値には、上限があります。
まず、残り試合数であるEより大きくなることは絶対にあり得ません。また、2位の沖縄は残り試合を全て勝利する、という仮定で計算をしています。ということは、1位の東京と2位の沖縄の直接対決のL試合は、1位の東京の負けが確定しているということになります。
つまり1位の東京は、最大でも残りの試合数Eから、直接対決数Lを引いたEーL試合しか勝つことができないということになるので、これを式で表して
X≦E-L
となります。2本の不等式を整理すると、最終的にXの取りうる値は
を満たす最小の整数、ということになります。これが、優勝マジック算出式の最終形態です。
⑤実際に数字をあてはめてみる
算出した式が正しく機能するのか、架空の数字をあてはめたパリーグの順位表を用いて計算してみたいと思います(実例を持ってこれませんでした・・・・・・)。
○架空の順位表(アルファベットは式の文字に対応)
日本ハムvsソフトバンクの残り試合数(直接対決数)・・・4(L)
※1シーズン試合数を120試合に設定しました(特に意味はないです)。
○式
式に数字をバコバコはめていきます。すると・・・・・・
1.891......<X≦3
これを満たす最小の整数は2なので、日本ハムに点灯するマジックはM2ということになります。
⑥終わりに
優勝マジックの導出方法をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
今回は1位と2位の数字しか用いていないのですが、1位と3位、1位と4位、1位と5位、1位と6位の数字でも同様に、
の式に当てはめて5つのXの値を算出し、算出した5つの整数の値の中で最も大きい値を優勝マジックとするのが、より正確な算出方法かと思います。
(理由は、例えば1位チーム、2位チームが残り1試合しかないのに、3位チームが残り15試合あるような場合、3位が15連勝して逆転優勝!みたいな可能性も出てくるからです。なので残り試合数が偏っている場合などは、1位と3位、1位と4位、など、下位チームの数字でも念のため検証するのが良いと思われます。)
さらに優勝マジックは2位以下のチームに点灯することも(たまに)ありますので、2位と1位、2位と3位・・・・・・という組で計算すると、もっともっと正確な優勝マジックの計算ができると思います。
自分の備忘も兼ねてこの記事を書きましたが、何かの役に立てば幸いです。