コロナ共存生活〜お父ちゃんの日記〜【3日目】
3日目
真夜中に子供がゴソゴソしているのに気がついて目が覚めた。泣く事はなく、ぱっちり目が開いている。そして僕の方を見て微笑んでいる。鼻は相変わらず詰まっていて苦しそうだ。寝るかなと思ってやり過ごしていたけど呼吸が浅い。医療従事者の癖か呼吸数を数える…やっぱり鼻吸いをしよう。
鼻を吸い終わると、しばらく抱っこして寝てくれた。鼻を吸って正解だった。そして僕も眠りについた。
久しぶりに夢を見た。
何故か舞台はアメリカ。父親と兄と3人レンタカーで縦断している。全く訪れた事も無い地で不安そうにしている僕に、ガソリンスタンドで給油しながら兄は「なんとかなるって」と相変わらず適当な事を呟いている。そこで目が覚めた。
今日はきっと保健センターから連絡が来るだろう。そして、子供の症状が悪化も回復もしないので保健センターの連絡を待たずにPCR検査を受ける事にした。慢性肺疾患もあるので重症化すると入院する事になるだろう。
【今日の新たなタスク】
・子供のpcr検査
昼食を終えて子供を寝かしつけると13時20分。小児科の電話受付は13時30分から。この子は生まれてから空気を読む力がすごい。
小児科に電話をして16時に検査を受ける事になった。それまでに概ねの家事を終了させておかないと、後のスケジュールが大変な事になる。
夜はカレイの煮付けに決めた。
YouTubeでカレイの煮付けについての段取りを耳で聞きながら、家事を概ね完了させた。ついでに料理の下準備も済ませておいた。
今、この生活になってから生活に関係のない情報や時間は無くなり、外界やsnsなどほぼシャットダウンしている。定期的に仕事のメールを確認する程度だ。それ位集中している。ひょっとしたら僕は、専業主婦に向いているのかもしれない。自分達、家族だけの世界に没頭している。
15時30分になり、支度を始め15時45分には家を出た。車が無いので福祉用具のバギーに子供を乗せて小児科まで歩いた。徒歩7分だろうか。
入り口で受付を済ませると、質問に対して淡々と答えた。発熱者は外で待機しなければならず分厚めの毛布が支給された。防寒してきたがとても有難い。
しばらくすると検査キットを手にした看護師さんがやってきた。素早く子供の鼻から粘液を取ると案の定大泣きが始まった。
携帯電話をもってくるのを忘れた事に気づき、いつもはYouTubeの動画でご機嫌とりしているのだが、人力でやらざるを得なかった。
ワンワンのモノマネから始まり、手遊び、お歌、顔芸を一通り披露した所で泣き止んだ。その間、同じ建物の学習塾の子供達が横を通り過ぎていったが全く気にすることはない。こっちは必死なのだ。
30分程度待機すると、看護師さんが再びやって来てその後すぐに医師が診察に来た。
結果は陰性
鼻水と咳のことを言うと、「まだ油断はしないて下さいね。症状が悪化したらいつでも検査しますから」と伝えられた。今回のコロナウィルスとは関係ないようだ。とりあえずの安心感で帰り道はどっと疲労感に襲われた。思ったより街には人が歩いている。行きは全然気づかなかった。それ位周りが見えていなかったんだろう。
帰宅すると陰性の事を妻に告げた。外出中に保健センターから連絡があった事もこの時分かり、今後の事を色々とビデオ通話越しに話をした。
子供に遅めのおやつを食べさせ、僕は冷蔵庫にあったリンゴを食べた。その後はいつも通りの内容だ。
淡々と作業の様に家事をこなす。感染対策は間違っていなかった。と、うんうんしながらカレイの煮付けを作る。
トロトロに煮込んだカレイは格別だった。ご飯は少なめにした。いつもならビールと一緒に流し込んでいただろう。
子供との風呂の後、最後のルーティンの鼻吸いを実施した。ズズーっと一通り吸い終わり子供にOK?と確認すると、「はいっ」と返事があった。満更でもないようだ。
子供が寝た後に台所へ椅子を運んで、この日記を書くのが日課となっている。最悪の事態は免れた。子供の咳も妻の咳もほぼ無くなった。この時間に全てを確認してから寝るのが家長の務めだ。この期間はそう思っている。
早くビールが飲みたい。そんな事をぼんやりと考えて一日を終えた。
最終体温36.2℃