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お見舞いの必要

4月25日。今日はQちゃんの誕生日だ。「永遠の16歳」らしいから49回目の16歳になるのかな。

コンビニが上手いことやってる好きなキャラクター物(プリキュアが主)のケーキの、そのおまけが「どうしても欲しい欲しい欲しい」という彼の欲望を中心とした誕生日パーティーが今年はできない。
ウソなく言えば「助かった感」が強いが、もちろん申し訳なさもある。ま、またクリスマスにもやるんだろうけど来年は必ず。

数日前。消毒を待つ処置室の前で、僕の次の順番の、背筋のすっと伸びた上品そうな女性と話をした。もちろんここで患者同士でする話はお互いのケガについてからはじまる。

1年前に右鎖骨を骨折、折れた骨を固定するために設置したプレートを取り出す手術をしたのだそう。ネジが普通のネジだったことに驚いたと笑うが、見た目はまだ痛々しい。

すぐにQちゃんとシンクロする。

外見的には恐らく真逆に位置するが、まるでQちゃんのようだ。しかも彼が右鎖骨を折ったのは1年半前だから半年ほど先輩になるわけだ。縦社会の日本においてこの差は大きい。
Q先輩の話も交えながら続きを聞くと、プレートは残しておいてもいいのだが、体の中に異物があるのは嫌だし常々「重く」感じる。車のシートベルトをするのも辛く疎ましくいこともあり、だから手術をすることにしたと。

転んで鎖骨を折る数年前には肋骨を6本折る事故に遭い、「ほら、まだ指が」と一緒に折れてしまった右手の小指を見せてくれる。曲がってしまっている。僕も3ヶ所の骨折をはじめ人生を通してケガばかりしているが、こりゃ完敗だ。

「おっちょこちょいなんでしょうねえ。焦ってるわけじゃないんだけど」と涼やかに微笑む。

そうか、なるほど。おっちょこちょいか。
ケガは嫌だが可愛いらしい響きに少し和む。

意図せずケガを多発してしまうおっちょこちょい仲間を見つけたようで嬉しかったが、後輩はその日のうちに退院してしまった。残念だった(何が?)。

あるWEBサイトによると全国の骨折患者数は年間67万7,000人。鎖骨骨折は全骨折中約10%を占めるほど多いのだそうだ。ちなみに骨折が少ない地域ではビタミンKが豊富な「納豆をよく食べる」という説があるらしい。
なるほど。常識的によく知られていることだが、ビタミンKには骨に存在するオステオカルシンというたんぱく質を活性化し、カルシウムを骨に沈着させて骨の形成を促す作用があるものな。

ところでQ先輩が後輩と同じ内容の手術をするのは5月はじめのはずだ。(病院は違うが)僕と入れ替わるように入院するわけか。

今回生まれてはじめての入院・手術をして、これまでもっともっと友人たちのお見舞いに行けば良かったなあと痛感、後悔した。

話すことさえ辛い状況もあるかもしれないが、顔だけ見せてさっと帰ればいい。むしろ怖いのは過剰な遠慮による行動抑制だと思う。


孤独にならざるを得ない時に、誰かが自分を思ってくれることを〈具体的に〉知ることは何より力になる。
コロナ禍の影響で面会、お見舞いがままならないのが歯がゆいが、何かしら気持ちを届ける方法はあるはずだ。僕がそうしてもらったように。

いち早く手紙をくれ、(自宅に突然、早朝だったけど)お見舞いにも来てくれたQちゃんだ。彼は糖尿病だから、餡たっぷりのお饅頭でも差し入れしようか。

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