京都教育大学附属小中学校「特別支援学級 廃止案」に関する意見書
京都教育大学附属小中学校から特別支援学級が廃止される案が(大学から)出されているという。
知らなかった。
附属に関わる情報は、これまでもとにかく入って来にくくって、他と比しても断絶している感がある。
国立なのに。つまり公金で運営されとるっちゅーのに。
とにかく今回の特別支援学級廃止案は、まさしく時代に逆行するもの。
僕など一瞬、特別支援学級をなくして普通学級と一緒にして、当たり前のインクルーシブ教育がはじまるのか? いいやん! それのどこが悪いの!? なんて前向きな思い違いをしてしまった。
でもそうではなく、同じ学び舎にある普通学級、特別支援学級、そのうち特別支援学級だけをなくそうというのだ。
少子化、学生確保の難しさ等々大学にも、あるいは大学を管轄する文科省にも、何らか事情や考えがあってのことだとは思う。
でも、子どもたちから大切な環境を奪ってしまってはダメだ。
意見書を作成し、既に提出した。
以下に転載します。
京都教育大学附属小中学校「特別支援学級 廃止案」に関する意見書
NPO法人スウィング 理事長 木ノ戸昌幸
高校卒業以降の障害ある人たちに関わる現場に携わり、15年超になります。
兼ねてより公の教育機関である京都教育大学及び大学に附属する小中学校等に関する情報、とりわけ特別支援学級や特別支援学校という、私たちにとって非常に近い領域からの情報すらほとんど耳に入ってこないという状況があり、一市民として非常に残念に……というより不思議に思っておりました。
今回、組織全体の改組にあたり、その案に「特別支援学級の廃止」が含まれていることを知り、非常に大きなショックを受けております。私だけではなく、同僚、諸先輩を含め、誰もこのことを知っている人は周囲にはおらず、それゆえ皆一様に動揺を表しています。
同じ学校内に、普通学級と特別支援学級が共に在ることは数字や成績では測り得ない、目には見えない大きな意味を持つものです。そうした環境の中で子どもたちは迷い、惑い、時には途方に暮れてしまうこともあるでしょう。しかしながら教育の場は優秀な人材を作り上げるためにあるのではなく、子どもたちが多様な、豊かな、決して綺麗事ばかりでは済まない人間環境の中で学び合いながら、他者や自分自身を思いやり、優しくあれる心を育てるためにあるのではないでしょうか。それは学校でも保護者でもなく、子どもたちそれぞれが侵し難く持つ権利です。
私自身の過去を振り返ったとき、小学生の頃には当たり前のように傍にいた障害ある友人たちが、中学生になった途端に、ふいにいなくなるという経験をしました。まさに「いるはずの人たちがいなくなった」という感覚でした。私の通う中学校には普通学級しかなく、障害ある友人たちは(恐らく仕方なく)他の学校に移ってしまったのです。当時の違和感は今でも私の中にはっきりと残っています。
誰もが過ごしやすく、安心して生きられる社会づくりの出発点は「いちばん弱い立場にある人に心を寄せること」だと考えます。その学びは学習能力以上に、心あるひとりの人間として生きる上で最も大切なものです。言い換えれば特別支援学級がなくなるということは、普通学級で学ぶ子どもたちにとっても取り返しのつかないくらい、大きな損失になってしまうのではないでしょうか。
少子化、それに伴う生徒、学生確保の難しさ等々……。このような社会情勢に伴う組織再編そのものは避けられないものだろうと想像しています。しかしながら「公」を旨とした教育機関であるからこそ、公に資する教育を全うする矜持を持ち続けていただきたい。
厳しい世の中です。合理化や効率化も時には必要なことかもしれません。でもそれ以上に、子どもたちの、人としての豊かな人間環境と学びの場を何より大切にしていただきたいと切に願います。
以上
正直に言うと、怒りを抑えて書くのが大変でした。でも伝えなければいけないことを何とか自分なりにまとめたつもりです。
意見書は現在も「附属京都小中学校支援学級廃止撤回を求める会 事務局」が募集をされており、皆さまからも是非、意見を届けていただければと思っています。宛先は下記となります。
★MAIL:kyoto.shien.haishi.tekkai@gmail.com
ご提出いただく際は……
①お名前…フルネームでお願いいたします。
②簡単なプロフィール……200 文字以内でご記入ください。
③連絡先…メールアドレス、お電話番号、LINE IDなどご都合のいい連絡先を教えてください。
なお、この件の関連資料を希望される場合は木ノ戸、もしくは上記事務局までお問い合わせください。
★MAIL:swing.npo@gaia.eonet.ne.jp(木ノ戸)
どうぞよろしくお願いいたします。
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