命と餃子
あちゃみちゃん、家族と外食に行く予定と重なったので持病治療のための通院日を変更するらしい。
「自分の命と外食を天秤にかけて、外食とるんや」
……極端やな、おい。
揚げ足取りの政治家みたいなことを言うのは沼田君である。
ホラホラあちゃみちゃん、「いや、そういうわけではないんですが……」って困ってるやんか。
そういうわけなあるはずないやんか。
「どうしたん??」
うわあ、さすがの天才的嗅覚で事態をややこしくすべくやって来たのはミサさんだ。
さあ、どっちの方向でいかれるのですか?
あちゃみちゃんか沼田君を加勢するのか。それとも大谷翔平級の剛腕で一気に話題を「自分の話」に引っくり返すのか。
……おおっと!??
意外にも普段は難しい危機管理意識を発動し、すかさず先手を打ったのは沼田君ではないですか。
「ミサさんは自分の命と餃子とどっちが大事?」
なるほど。
外食をあまり健康的とは言いにくい「餃子」に特定・矮小化することによって、命の価値を高めようという狙いですね。
いやあ、実に気持ちの悪いテクニックですね。
そんな面倒なことしなくたって答えは分かりきってますよね。
ねえ、ミサさん。
「ううううううん……ええええええっと……ううううううん……」
我々は奇跡を目にしているのか。
命と餃子を全く公平に見つめ、それゆえにもがき苦しむ人がいる。
やはりあなたは神なのですか。
あなたが苦しんでいるとき、無力な我々にはただ祈ることしかできないのですか。
アーメン。いや、ラーメン。
ちゃうわ、ギョーザか。