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ただ 生きてることを確認し合うような
とにかく西川君の前に現れたQさんは、とにかくいきなりこう言ったそうだ。
「……て、いうことなんやって」
もちろん西川君には何のことだかさっぱり分からなかったが、綺麗さっぱり興味もなかったし、とりあえずQさんは生きていたのでこう答えたそうだ。
「そういうことやったんや」
もちろんQさんにも何のことだかさっぱり分からなかったが、特に気のきいた返しを期待したわけでもなかったし、とりあえず西川君は生きていたのでこう答えたそうだ。
「うん、そういうことらしいわ」
ただ 生きてることを確認し合うような
そんな無意味な バカバカしくも優しい言葉の交換が
<信頼>という名の 目に見えないモノを
ゆっくりとゆっくりと 心の奥底に
育むとか 育まないとか
静かに落ちる一滴一滴の水が やがて深く石を穿つように