完全なるドライブスルー
アッキーは、マクドナルドに「直」で行くのは好きじゃないんだそうだ。
普通に店に行き、まずは自動ドアを抜けて店内に入り、「今日も混んでるなあ」とか「意外とすいてるなあ」とか周囲の状況を感じ取りながら、基本的にはカウンターまでの最短距離を歩き、偽のスマイルさえオーダーできなくなったカウンターで、どこにバリューがあるのかよく分からないバリューセットを注文する。
つまり、このごく当たり前のプロセスを踏むのが好きではないのだという。
その理由は実にシンプルで女子高生がいっぱいる! 女子高生がうるさい! 店の外でもうるさい!
苦虫を噛みつぶしたような表情を浮かべながらの、徹底した女子高生批判。ともかくアッキーは「女子高生の集団」が苦手なのだろう。
アッキーの意見に全く同意できないわけでもない。
けれど失礼ながら普段からアッキーの声が大きすぎる、遠慮なく言わせてもらえば「うるさい」と感じている僕としては納得しがたい言い分でもある。流れで「女子高生と化したアッキーの集団」を思い浮かべる。
最悪だ。でも遠くからなら眺めてみたい気もする。
じゃあアッキーがマクドナルドに一切行かないのかといえばそうではなく、家族と車で出かけるときには京都・北白川店(京都市)、滋賀・柳ヶ崎店(滋賀県大津市)などをよく利用するのだそうだ。
でもやっぱり「直」で店内には入らず、いつもドライブスルー。
「知ってる? ドライブスルー??」
もちろん世界中が知っている。
このシステムを最初に知ったときには「そんなことができるのか」と僕も驚いたものだが、2022年の今、そんなドヤ顔でグイグイ迫られても困ってしまう。ちなみにマクドナルドが最初にドライブスルーを導入したのは1977年らしい。45年前。僕が生まれた年の出来事だ。
「へー、いつもドライブスルーなんやあ」と何気なく、努めて静かにこの話題をスルーしようと試みる。
が、アッキーはこの返答が気に入ってしまったようで、ますます前のめりになり、そして自爆する。
「うん! いつも! ノンストップで!!」
ただスルーしているだけらしい。