風邪は毒ガス、鎖骨骨折はETC
先週1週間ほど、風邪をひいちゃったQさんはスウィングを休んだ。
彼には糖尿病という持病もあるし、ついつい無理をしてこじらせて長引かせやすい。
けれどズルズルの鼻声で、咳をコンコンしていてもスウィングに来たがり、「休む」という選択をしづらい彼は、今回も自分で判断して休んだというより、周りに言われてしぶしぶ納得……といった様子だった。
「少々の風邪でも頑張って仕事しましょう」なんて雰囲気は皆無。調子が悪ければ「休もう、休もう」の大合唱が聞こえてくるのがスウィングの文化だ。
いい感じなんじゃないかなあと思うのだが、以前の職場では仕事をサボるために「大原」だとか「原谷」だとか、京都市営バスで行ける範囲の、かなり遠方まで切ない逃避行を繰り返していた男が、この「休もう文化」とミスマッチを起こしていることは誠に興味深い。
ともあれQさんは休み、そして元気になって復帰した。
けれど「風邪をひいた」という事実には受け入れ難さがあるようで(しつこい!)、今回生じた身体的異変について冷静かつ客観的かつ個人的にこう振り返っていた。
「クサい屁をして、それを匂いだら咳が出たんや。たぶんそれやと思う」
解説しよう。
彼は1週間ばかり鼻水をズルズルし、咳をコンコンして苦しそうだった。
一般的には、いや素人判断的には「風邪だろうな」とついつい早合点してしまう。
でもそうじゃなかったらしいのだ。彼は彼自身が発したクサい屁を匂うことによって、自他ともに認める身体的不調を生じていたらしいのだ。
風邪と決めつけたことは謝る。
でも、それって風邪より断然ヤバくない??
屁というより毒ガス、つまり自家製の化学兵器によってアンタやられてたんだよ??
ていうかナチュラルに化学兵器作り出しちゃうって、どこかしらにバレたらもう軍事利用されちゃうよ??
とにかくあなたと共に日々を過ごす僕たちは、コロナ以上に警戒する必要があるよね。
あなたのその、恐ろしい化学兵器を。
(残念ながら)話はまだ続く。
自家製毒ガス被害から生還したQさんであるが、先日29日(木)、(段差も何もない自宅近くで)運悪くつまずいて転んでしまった。
いつも大量に物を入れて持ち歩く、自分自身のリュックサックの何かしらに引っかかって。
そして右鎖骨を骨折してしまい、今現在右腕を吊り下げ、不自由な生活を送っている。
まったく。同情を禁じ得ない。だって毒ガスに続き、この数日前には彼の近しい肉親の死の知らされたばかりなのだから。
続く。そういうことは、本当に次から次に続く。
翌金曜日にスウィングへと現れた彼に聞く。今どういう具合なの? お医者さんはなんて言ってた?
「月曜日にETC検査受けないと分からないって」
転んだ後、(ワケあってすぐそばにいた障害者地域生活支援センター「らくとう」、Y氏の判断によって)即座に総合病院に駆け込んだのだが、整形外科の担当医が不在で、詳しい検査は明日2日に行うことになっているらしい。
場合によっては入院もあるそうだが、片腕が不自由な生活はQさんにとってはきっとかなりのストレス……しばらくは入院したほうがむしろいいのかもしれない。
「まあETC検査の結果次第やな」
いや、ちょっと。ちょっと待っていただいてもよろしいか?
さっきからその、「ETC検査」って言ってはるんですが、それ言われ続けると不謹慎ながら、笑ってしまいそうになるんすよね。
ETCって高速とか有料道路走るためのアレだから、じゃなくってCT、「CT検査」やと思うんす。
確かに似てるけど、できれば、できればCT検査でお願いしたいんす。
これからそれ言われる人たちが、不謹慎な笑いをこらえずに済むためにも。
「ああそうか、CTか。難しいな」
腕吊り下げながら、Qさんが笑ってこう言ってくれてホッとした。
ではちょっと、これまでこらえたぶん、気持ち控えめに笑わせてくれ。
ETCて! ETC検査て! あんた『カーズ』の住人ちゃうんやから!!
人生こういうときもある。XLも大腸ガンの手術から復帰したばかりだ。
踏んだり蹴ったりの日々を超えて、また元気に3人そろって人力交通案内に出かけよう。
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