優しさと食材の向こう側
福祉施設では給料のことを「工賃」と呼ぶことが多い。
なんだか妙な感じがするが、一般的な雇用契約にもとづかないから給料ではなく工賃なんだそうだ。
「やったあ! お金ゲット! お母さんに食材買ってあげる!」
理屈はともかく毎月一度の工賃を受け取ったゴルゴが声を上げて喜んでいる。
うれしそうだし優しい感じがする。と~ってもお母さん思いな感じがする。
それは間違いないと思うんだけど、思うんだけど……食材? お母さんに食材買ってあげる?
ちょっと聞いたことがない、な。
「お母さんに美味しいもの買ってあげる!」とか「ご馳走してあげる!」とかなら分かる。
その場合「食」は、「直」で、お母さんの体内へとゴルゴの優しさと共に取り込まれるはずだ。
でも食材ってそのままは食べられないし、食材を使って料理するのはたぶんお母さんで、その結果できた「食」を、「直」で、しかも体内に取り込む主要人物は、結局ゴルゴなんじゃないだろうか?
だとしたらゴルゴの優しさはどっちの方向に向いているのか?
お母さん? ゴルゴ自身? 食材? 肉? ポーク? ビーフ?
アカン。唾出てきた。
さすがはゴルゴ。言葉ひとつで想像力をかく乱させるその腕は、やはり超一流だ。