第193回ゴミコロリ
ゴミもゴミブルーもまだまだ捨てたもんじゃない。ゴミだけにね。
絶好のゴミコロ日和に恵まれた11月20日水曜日、僕はそんなことを思った。
2010年10月に京都・上賀茂の清掃活動「ゴミコロリ」がスタートして丸14年。
かつては大量すぎて泣く泣く見すごすことも多かったくらいなのに、コロナ禍によって一層育まれた清潔志向の影響か、上賀茂における深刻なゴミ不足を感じはじめたのはいつ頃からだろうか?
それはま、だんだんだから知らんけど、そんな状況もあり、参加者を「内」(=上賀茂のこと)と「外」(=上賀茂外エリアのこと)とに分け、外グループが激減したゴミの収穫量を補う出稼ぎ体制を築いたのは今年4月のことだ。
11月20日(水)、第193回ゴミコロリ。
僕は外グループで出稼ぎばかりしていたので内グループに入るのは久しぶり。「こどもの日」や視察・見学の参加者たちと一緒に過ごすのもまた久しぶりだったので、なんだか新鮮な心持ちだった。
出たり入ったりってやっぱり大事でんな。
ゴミ不足問題を秒速で解決したのは子どもたち。 出発早々に落ち葉を拾い始めたのだ。
かつての上賀茂ゴミ全盛期は落ち葉になんかかまっちゃいられない状況だったので、いつしか「落ち葉は拾わない」というルールができた。
そのルールが体の奥まで染みついてしまった僕たちは「落ち葉もゴミかもしれない」という、まあまあ普通の認識を持てなくなっていたのだろう。ルール設定以前はチリトリとホウキを持ち歩いた時期もあったというのに。
季節は限られるかもしれないが落ち葉もゴミ認定すれば「ゴミがないない」という焦りや不安、「あれ? なんのためにやってるんだろう……」という根源的疑問も解消されるかもしれない。
「ゴミコロリ」じゃなくって「落葉拾い」に名前を変えたっていい。名画『落穂拾い』みたいでカッコいいと言えなくもないこともないこともない。
要は物事の見方なのであって、現状を変えるヒントは目の前の風景から掴み取るしかないのだ。
ルールは守るためにあり、同時に変えるためにある。
忘れがちだが忘れたらあきまへんな
地元の小学校、幼稚園、児童館のすぐそばにある烏帽子(えぼし)公園に行くと、子どもたちがワンサカいた。
そして「ゴミブルー! ゴミブルー!」と叫びながら、ものすごい勢いで群がってきた。
僕らゴミブルーはゴミに群がり、子どもたちはゴミブルーに群がる。
そして「みんな、ゴミはないかな? あったら拾ってきて!」と先生っぽく言うと、ワー! と散らばってゴミを集めてきてくれる。すんごいちっちゃいゴミがほとんどだけど、あらためてものすんごい好循環じゃないか。ほぼ忘れ去られたSDGsにも入ってるんじゃないの?
しかし去り際に「ゴミブルー! バイバーイ!」って子どもたちが言ってるのに「バイバイじゃないでしょ、ありがとうでしょ!」って先生らしき人が注意してたのにはまいっちゃったよね。
でも子どもたちは思い切り聞き流して「バイバーイ!」をやめなかったからそれを最低二十歳になるまで続けよう!
しかししかし、10月9日(土)、同じ場所で寸劇「まち美化戦隊ゴミコロレンジャー登場!!」を上演したとき(*)にも感じたことだが、ゴミブルー人気と根づき方はすごい。ゴミコロリより知られているんじゃないかと思う。
こういうのを本末転倒と言ってしまうのはつまらない。
たとえゴミがなくともゴミブルーはゴミブルーなんだし、「たとえ離れ離れになっても愛しているのはあなただけ」と大体いっしょだ。
あるいは「ゴミの激減に落ち込むことによって我々は本当のゴミブルーになれたのかもしれない」としみじみポジティブに考えることもできる(ブルー、ブルー! ブルーになるっていうこと! そことかかってんの!)。
それにしても、子どもたちにカッコいいとこ見せようと張り切って1年ぶりくらいにやった「アンドリュー・ベニンテンディ取り!」では、「落ちるかも/ヤバいかも」がはじめて脳裏をよぎり、終わった後には頭がクラクラした。体力の衰えをモロに感じた。
それにおじさんの意図に反して子どもたちはなんっにも見てなかったっぽいし、沼田ブルーが拾い上げたゴミ収集のためにうっかり僕の真下に入ってしまっていたらしく、もしもそのまま立ち上がっていたらテコの原理で僕の体をグン! と持ち上げ、川に突き落としてしまっていたらしい。
この状況がよくわからないという方は075-712-7930(イイネ ゴミゴミ)まで【FAXにて】お問い合わせください。
担当、沼田君または西君がわかりやすいイラストでお返事します。
ゴミコロリ後、参加者の方からある図書館の興味深い話を聞いた。
その図書館のところどころには絵が隠されていて、子どもたちがスタンプラリー的に絵を探し回るという、本を探すとか読むとか借りるとか図書館の一般的ルールを度外視した、すごく楽しい仕組みになっているのだそうだ。
なんて素晴らしい。
スウィングはスウィング公共図書館だし絵はくさるほ……いや、売るほどたっくさんあるし、いつでも真似することができる。
ゴミが激減してしまったゴミコロリにも応用できるかもしれない。
事前にエリア内のゴミ数個にリボンかなんかをつけておいて、その「選ばれしゴミ」を探し回るゲームにしてしまうのだ……というのをマジで一度やってみたいと思う。いいか悪いか、続けるかやめるか、その他モロモロを考えるのはその後のことだ。
ちなみに今回の外グループは「百万遍」(京都外から来た人がこの地名によく驚く)に出向いており、結構な収穫があったらしい。
そして、そうだ。忘れちゃいけないことがある。もう古株になるこまりんだが、今回が2度目のゴミコロリ参加だったんだそうだ。
しかも前回は第100回。ということは参加率およそ1%。
11月だというのに暖かいしなんか縁起がいいなあ、とうっすら感じていたのはそういうことだったのか。
ゴミもゴミブルーもまだまだ捨てたもんじゃない。ゴミだけにね。
町に溢るるゴミある限り、我らの戦い終わりなし。
拾うはゴミでも心は錦、見た目は青でも心は真っ赤。
嗚呼、さすらいのゴミ野郎、嗚呼、我らゴミコロレンジャー!