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アートの敷居を下げるアート会長

ついつい物事を深く考え過ぎてしまう癖があります。深く考えること自体はそれほど悪いことではないのでしょう。でもやっぱり何事も「過ぎる」のは良くない。それは「度を越している」ということだから、体にも心にも悪い。

けれどこれはもう性分みたいなものだし、今のところ考えて考えて考え過ぎると、そのうちアホらしくなって「もうどうだっていいや!」と開き直って諦めてしまうので、だいじょうぶかなって思えています。これがなくなってしまうと行き詰まって病んでしまうのかもしれない。あ、それに僕がどんな状況で、何を考えていようと、黒猫のルルは「遊んでにゃ」とか「もっと煮干しくれにゃ」と、とっても猫猫しく安定しているので、そうした姿にもとても助けられています。

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特にお風呂で深く考えがちで、お湯がぬるくぬるくなっても湯船から上がれないことがある。こないだは『まち美化戦隊ゴミコロレンジャー』のダサいOPテーマ曲を考えるのに夢中になってしまっていると、ルルが脱衣所で「ニャー!!(ええ加減早よ上がりなはれ!!)」とひと声鳴いてくれたお陰で我に返ることができました。

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そうそう『まち美化戦隊ゴミコロレンジャー』と言えば、一昨年8月にスウィングにやって来たニューカマー、その名も「アート会長」がオリジナル漫画の制作を進めているのです。『まち美化戦隊ゴミコロレンジャー』を主人公にして!! 

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アート会長には昨年スタートしたラジオ、『Swing鼻クソRADIO』(第3回/2020年12月31日配信)でもこの漫画について語ってもらったのですが、先日ついに第1話のネーム(漫画の下書きのようなもの)が完成して、一番最初に読ませてもらいました。自分が漫画に登場するのって不思議なものです。そしてまさか『まち美化戦隊ゴミコロレンジャー』が漫画化されるなんて、そんなチャレンジをする人が現われるなんて、誰ひとり想像すらできなかったことです。

漫画が形になれば、もちろん何らかの形で発表します。

乞うご期待です!!

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ところでアート会長は、僕の「考え過ぎ」にもとてつもなく優しく柔らかいビンタをぺチンとかましてくれました。

僕は「アート」というものに対しても考え過ぎるところがあって、「アートはありとあらゆる規定値に縛られることのない自由なものだからこそアートなんだ。そこにこそ意味があり救いがあり価値があるんだ。だとしたら『アート』なんて言葉で規定してしまった時点でそれは死んじゃうんじゃないか?」とか、「本来アートは普遍的なもののはずなのに、今の社会ではたとえば政治と同じようになんだか特権化されてしまっている。そして特権的な人たちが特権的にそれを語ったり扱ったりし続ければ、ますますどんどん一般性や大衆性や普遍性からは遠ざかる。それでいいんだろうか?」とか。

自分なりの切実さを持った考えなので大事にしたいなあとは思いつつ、でもどこかで「カタいな! おい! とりあえず走れ!!」と、自分自身を突き放したくもなるのもしょっちゅうなのです。

そんな僕には、アート会長のデスクがまず衝撃でした。

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「アート 芸術 美術 最高!!!」

「アートの世界の頂点 最高!!!」

「NPO法人スウィングの自由最高!!!」

四角い紙にポップな文字で書かれた、力みのない言葉の数々。それらがペタペタと貼られ、キラキラ~とデスクを彩りまくっている。

すんげー伝わる。こんな手放しで言ってもいいのか。「頂点」とか言い切ってしまうのも最高!!!

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そしてなんてったって「アート会長」という、何かを完全に振り切ったその名前!!

スウィングではメディア掲載名や作家名を自由に決める風習(?)があるのですが(もちろん本名の人も多いです)、彼はそれを決める作業もとても楽しかったようで、ものすんごい数の候補をリスト化し、最終的にはスウィング内で「どれがいいか?」投票を自ら実施し、「アート会長」に決定しました。アート会長の他にも、「アート皇帝」とか「アート王」とか「アート理事長」とか、とにかくヒエラルキーの頂点的な名前がたくさんあったのを覚えています。

スゲーよ、そのガンガンに攻めてる感じ!!!

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彼はみんなから「会長」とか「アート会長」と呼ばれているのですが、ともかく特筆すべきはその親しみやすさ。

会長なのに不思議です。彼のキャラクターによるところも大きいんでしょうが、なんの気負いもなく自然と呼べてしまいます。

それにスウィングの15年の歴史の中で、こんなに「アート」という言葉が日常的に頻繁に、ポップに使われることってありませんでした。つまりアート会長が、アートの敷居をグングン下げているのです。

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音楽や漫画や文学って、なぜかアートと切り離されることが少なくないと思うんですが、アート会長が漫画を描くんだから、もちろん漫画もアートです。ずっとそう思ってきましたが、これでもう迷わずにすみます。

今一度彼のデスクに目をやってみると、こんな言葉も堂々と踊っています。

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「漫画 アニメ ゲーム 映画 最高!!!」

「ドラマ 小説 フィクション メディア 最高!!!」

射程がもう全然広い!!

メディアて!! メディアて!!

そうそう何がアートかなんて、そもそもひとりひとり違う、個人の感性に委ねられているもの。うっかり考え過ぎてしまったらアート会長のデスクを見る。2021年、新たな自分自身のルールにしたいと思います。

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