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海の家のバイトでコミュ力が養われなかった話⑥

 ギャルとひと夏の思い出でも作ってやろう

 盆が明けると、お客さんの数は減る
 お客さんは常連か、ちょっとおかしな人がメインになる。
 毎回違う女の子を連れてくる外国人とそのお供
 VIP席でシャンパン開けまくるおじさん
 バーベキュー大好きタトゥーお兄さん達
 ゲイバーの店長 
 などの個性豊かなお客さんで退屈はしないが、そういうのではない、なんか違う。
 海なし県の僕には、海の民と心から通じ合うことは難しい。9月になれば家族は解散する。
 正直早く終わってくれとしか思えなくなっていた。
 いつも通り普通に忙しいある日、毎回違う女の子を連れてくる外国人がいつも通り女の子を連れて来ていた、そこにドリンクとフードを運ぶと
 「今日はミスコンを3人も連れてきたんだよ、この娘が〇〇大学のミスコンでこの娘は〇〇大学のー...」と説明をしてくれた。とりあえず相槌を打って皿を下げ持ち場に戻った。
 もしかしたら暗い顔をして働いていた僕を元気付けようとしてくれていたのかもしれない。
 
 次のドリンク持って外国人のところへ行くと
「君はこの女の子の中で誰が一番可愛いと思う?」
 
と一番困る質問を投げかけてくる、返答に困り少しだけ間が生まれる。
 
 「み、みんな可愛くて選べないですよ」

この言葉出て来なかった。海の家のバイトも終盤に差し掛かろうとしていたのにも関わらず一切の成長がみられない、思い出して恥ずかしくなるような無難すぎる答え。
 もっと盛り上がるような返しでもできれば一緒の卓に座って仲良くなれたかもしれない
 
 ギャルとひと夏の思い出でも作ってやろうと考えていた僕は死んでしまっていた。
 

つづく 
 
 

 
 
 
 
 

 
 
 

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