【震災と未来展】引き出しから出して、触れて感じて、また丁寧にしまっておく
日本科学未来館の震災と未来展
先週末、日本科学未来館の震災と未来展に行きました。感想を残しておきます。
展示は、震災の映像や報道のアーカイブ、原発事故のまとめ、被災地の様子など、過去から未来の時間軸で震災を振り返るものでした。
「自分が東京で見て感じてきたこと」はもちろん、「"なるほど、そうなっていたのか"と初めて知ること」も多々ありました。
地震発生当時の私
当時、私は中学3年生で、新宿にある予備校の自習室で勉強していました。
午前中で学校のテストが終わったので、翌日のテストに向けて勉強しに行っていました。高層ビルだったので、揺れが大きく感じられ、一緒に同じ学校に通っていた友達と手をつないで、「大丈夫、大丈夫、すぐ止まるから」と小さい声でつぶやいていたのを今でも覚えています。
もちろん首都圏の電車はすべて止まっているし、道路もほぼ動かない状態で、予備校に待機する他ありませんでした。コンビニの食料品もどんどん空になっていく中で、とにかく「不安」という感情におしつぶされそうになりながら、時間だけが過ぎていきました。結局、その日の夜に、なんとか友達の親御さんが予備校まで車で迎えに来てくれて、私を家まで送ってくれました。
帰宅すると、家のテレビには衝撃的な映像が映っていました。
津波で車や家が流れている映像です。
安全な予備校の中で「いつ家に帰れるか」を心配していた自分の状況とは、比べものにならない事態が起きていました。あの映像を初めて見たとき、理解が追いつかなくて思考が停止したまま、ただ、画面から目が話せなくなった感覚を覚えています。
展示会の感想
展示では、NHKのニュースのアーカイブがあり、まさに新宿駅で帰宅困難者があふれている映像があり、まさに自分も当事者の一人であったことを実感しました。
次のブースでは、津波で亡くなったご遺族が亡くなった方に向けた手紙が20人ほど紹介されていました。
30分くらいかかるボリュームですが、どの手紙も目を通さずにはいられず、大粒の涙をこぼしながら、大切に全文読みました。
突然いなくなってしまった家族に対する思いをそれぞれの言葉で綴った手紙は、寂しさ、悔しさ、悲しさ、強さ、温かさ、懐かしさ、感謝に溢れていました。
すべての手紙を読んで、一つ気づいたことがありました。
「亡くなった後は、その人の存在がご遺族の世界から消えてしまうわけではない」ということです。
また会いたい気持ち、その後の人生を共有したかった気持ち、今日嬉しかったことを報告したかった気持ち、恩返ししたかった気持ち、成長を見届けたかった気持ち、寂しくて残念で悔しい気持ち。
そんな気持ちを捧げる相手がいるということ。そう思っている点においては、ご遺族は「1人じゃない」んだと気付きました。
その手紙には、「肌で触れることができなくても心でつながっている人がいる」という温もりがありました。
東京で忙しく暮らしていると、あの出来事を、毎日、思い出すことは難しいけれど、こうして一年に一回は思い出の引き出しから取り出して、その記憶に触れて、感じて、またきれいにたたみ直して、引き出しにしまう行為は、すごく大切だと思います。
入場は完全予約制でなので、空いていて、じっくり見ることができます。
都内にいる方はぜひ行ってみて下さい。
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