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【解説】M-1グランプリ2021「真空ジェシカ」の感想を語らせてくれ【屈折のエリート】

こんにちは、すいっちです。(時間決めんな!)

僕は真空ジェシカが好きだ。

どれくらい好きかというと、Youtubeに上がったM-1の決勝ネタを10回見るくらいには好きだ。

[追記]2022.1.20時点で30回は超えてる

今回のM-1での真空ジェシカを語らせてほしい。

ポイントをまとめたのでどうぞ。

[追記2022.1.20] 何回も決勝のネタを見ていくうちに色々気づいたり、書き加えたほうがいいと感じた部分があったのでポイントを追記しました。

2023年版の感想記事も書きました。


シンプルにボケが強い(大喜利の強さ)

全ボケ面白い。ひとつひとつのボケの精度が恐ろしいほど高い。

「こんな一日市長は嫌だ」大喜利強すぎるでしょ。

努力したところで一生たどり着けないタイプの発想をしてくる。

我々の次元を優に超えてくる。

さらに、そんなボケを「量産」しているのがスゴい。

斜め上の発想どころか、斜め上にジャイロ回転かかってるレベル。

同時進行していくボケ

ボケが同時進行していくので、濃度が非常に濃い漫才。

4分という短いネタ時間をフルに使っている。以下に例を挙げる。

少し長くて複雑なので、飛ばしてくれても構わないです。

ーーーーー

「1日市長のカワマタです」から

「10日副市長」→「2ヶ月会計」→「5秒秘書」という”1日市長の派生ボケ”と、

「知念」→「比嘉」という”沖縄の名前”ボケが同時進行していく。

※ここでさりげなく島人(しまんちゅ)を仕込んでいる

そして、「無期懲役の山田です」→「罪人(つみんちゅ)」というボケとツッコミで”1日市長の派生ボケ”と”沖縄の名前”ボケがひとつに交わる

その後、5秒秘書が帰ることで伏線回収

ガクさんの名字を「具志堅」だと間違えて、”沖縄の名前”ボケが続行

「お詫びして定時制入る」というボケのフリになっている

ーーーーー

ここまでボケが綿密に積み上げられていると、もはや芸術の域。

美しさすら感じる。

数十秒の間にこれだけのボケを複雑に同時進行で組みこめるのは

川北さんがぷよぷよやってるからだと思う。

確信はないけど、おそらくそう。

おろそかにしないつかみ

「言うとしたら僕~」とガクさんが訂正した後、川北さんが「あ~間違えた」と言わんばかりの顔でしっかりうなだれるところが好き。

どんなにやり慣れたつかみでも、おろそかにせずに毎回うなだれるのが好感もてる。

南海キャンディーズの山ちゃんが、スッキリの天の声の”見守り”であり続けているのと同様だと思う。

二進法を漫才に持ち込んでくるセンス

「存在自体は皆知っているけど、そこまで深く考えたことが無い」事柄にフォーカスする感性がエグい。本当に知的好奇心をくすぐってくる。

単純にここは高学歴が生かされているなと思う。

趣味・趣向が多様化してきて、共通の価値観を共有しづらい現代において、必ず通る道である義務教育をベースとしてネタが作られているのは強い。

なぜなら、人が”あるある”で笑うとき、ネタをやる側と見る側で話題を共有できているのが前提になるからだ。

そう考えると、「学校で勉強したのって真空ジェシカで笑うためだったんだな」とさえ思ったりするし、

その感覚を掴んでいる真空ジェシカはやっぱりすごい。

そもそも”二進法”って言葉自体が面白い

漫才に持ち込んでくる事柄のセンスに加えて、チョイスした言葉そのものが面白いという二重の面白さを醸し出している。

ひとつのボケで、面白の波がいくつも押し寄せてくる。

短い時間の中でも、こういった重ね合わせにより、面白がギュッと凝縮されている。

先ほど述べたボケの同時進行での重ね合わせも然り、ひとつのボケに対する意味の重ね合わせも然り、ボケの凝縮度が恐ろしいほどに高められている

ここ最近のM-1の発展により、

「4分という限られた時間でいかにボケ数を増やすか」という”量”に限界が見え始めたからこそ、

”質”の向上にベクトルが向き始めたということなのかもしれない。

緩急つけたツッコミ

ガクさんの「理系のおばあちゃんはじめて見た~」のヌケ感が良い。

ボソっと思わず本音が出てしまったみたいな口調。

この一歩引いたツッコミでも、声を張り上げたときと同様に拍手笑いが起きている。

緩急つけたツッコミで爆笑をとれる技術に脱帽。

唐突なオチ(漫才の裏切り)

急に”すごい酸性雨”が降ってきて、唐突に漫才が終わる。

急にバツンと切れる感じが金属バットの漫才みたいだなと思ったので、これが今のセンス系漫才の流れなのかもしれない。

「同時進行していくボケ」でも書いた通り、ボケを複雑に組んだネタを書ける人なので、オチが思いつかないということはないはず。

ということは「あえて」唐突に終わらせている…?

それは、「漫才は綺麗にオチをつけて終わる」という形式ばった考えに対するアンチテーゼなのかもしれない。

松本人志の「漫才の”定義”を裏切るのが漫才なんですよ」を体現している。

「センスがあって良かったです」(平場の強さ)

審査員のコメントで「センスが良い」と言われていたことに対し、川北さんが「センスがあって良かったです」と返していた。

センスのある返しだな~と思った。

大喜利で培われた瞬発力を活かして、即座に面白コメントを返す平場の強さが光っていた。

敗退コメントで”キングオブコント2本目の待機”

暫定ボックスからの敗退コメントで、赤いマントを身にまとって”キングオブコント2本目を待機する芸人"を模していた。

「敗退コメント大喜利」で、笑いをかっさらっていく真空ジェシカ。

決勝2本目を見たかったのはもちろんなんだけど、敗退したからこそ、このボケが見れたんだよなあとも思う。

「屈折のエリート」というキャッチフレーズ

今大会の各コンビのキャッチフレーズの中で一番好きだ。

「屈折」と「エリート」。

対になるような言葉同士が一つの言葉として共存しているのがなぜか心地良い。

本人たちは「エリート」という言葉が「お笑いでほぼ結果も残していないのに”お笑いのエリート”として捉えられたら困る」と感じていたらしいけど…

<おまけ>ガクさんの色合い

少し前までは、ガクさんは水色のジャケットに茶髪だった。

正直、あまりパッとしないなあと思っていた。

しかし最近は緑のジャケットに金髪になった。

これが本当にしっくり来ている。しっくり来ていることで、ネタにしっかり集中できるので、衣装も大事だなって思った。

<おまけ2>手遊び好きな川北さん

今回、ハンドサインが漫才のクライマックスだったと思う。

これは、2進法を片手で表す”理系のおばあちゃん”の伏線回収になっていた。

さらに、「キムタクのハンバーガー」の持ち方も手遊びに近い。

2020年のM-1予選でやっていた「商店街」のネタでも、結婚指輪を見せるとき薬指だけ立てるというボケをしていた(中指を立てているように見える)。

これだけ手に関するボケを入れてくるってことは川北さんは相当手遊びが好きなんじゃなかろうか?

ちなみに、実際に薬指だけ立てようとすると、めちゃくちゃ難しいので読者の方にもやってみてほしい(どうしても中指が浮く)。

それを軽々と出来ていた川北さんは、やはり手遊びが好きなんだろうなあ(という推察)。

まとめ

・屈折のエリート好き
・シンプルにボケが強い(大喜利の強さ)
・同時進行していくボケ
・二進法を漫才に持ち込んでくるセンス
・そもそも”二進法”って言葉自体が面白い
・緩急つけたツッコミ
・センスと言葉自体の二重の面白さ
・唐突なオチ(漫才の裏切り)
・「センスがあって良かったです」と返せるセンス(平場の強さ)
・敗退コメントでキングオブコント2本目の待機ボケ
・ガクさんの色合い
・手遊びが好きな川北さん(たぶん)


これからテレビで真空ジェシカおよび真空ジェシカのネタが見れると思うと、本当に楽しみ。

真空ジェシカ本当にありがとう!M-1お疲れ様でした!

▶2023年M-1の真空ジェシカの感想はこちら

▶真空ジェシカの用語集はこちら


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