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ソコに互恵はあるんか? カキノハサラサラ 2話
天気の良い日
山の中で一人、俺は薬草をひたすら探し夢中にな っていた、後ろからゴソゴソと音がすることに気付いたのは、お目当てのイタドリを大量に摘み取り両手が塞がっていた無防備なタイミング
「まさか、熊?」
黒い影が俺の背後にす~と寄ってきている
恐怖で足がすくむ すぐさまイタドリを捨て置いて逃げれば助かるかもしれないが、熊は逃げれば追いかけると聞いたことがある
「どうすれば良い?」
後ろからポンと肩を叩かれた
「お前 ソコに 互恵は あるんか?」
あまりの唐突な質問に答えられなかったが、熊でないことに安心して気が緩む 緊張した筋肉が一気に緩み その場にヘタリ座った
「 互恵はあるんか? 」
眼の前には和服姿の女性が立っていた
一目見て誰もが理解しやすい
料亭の女将のような印象 彼女は気品に溢れているが、剣道の師範のような厳しそうな雰囲気もある 返答を間違えたら 大変なことになりそうだ
「あ、すいません 壱木と申します
山へ入る許可は地主さんに取ってあります、
もしかして地主さんですか?」
「質問はこっちが、先です、答えなさい!」
やはりそうだ、素直に応じないとヤバそう
「あ、あの互恵ってなんでしょう?」
「お前のしている行動に、
お互いの恩恵があるのか? その薬草を摘むことで山に対しての配慮はあるのか?と聴いています。」
植物はほったらかして置くと互いに共存しあう植物もあれば、天敵である虫や育ち過ぎた木などは
人間が手を入れる事により おい繁った葉っぱにより遮られてた日光があたり育つ植物も現れる
木を一気に伐採してしまうと土が乾き土砂崩れになるが、程よく森を手入れすれば 人間と森の共存と言える まさに未来へ繋ぐ為の行動と言える
「 互恵 あります 」
俺は真っ直ぐ女将の目を見て語った
「なら、良し 」
女将は表情変えずにそのまま森の中へ消えて行った。 狐につままれた? 不思議な時間だった
俺は子供の頃から大工になりたくて、
高校を出てすぐ地元の建築関連の会社に勤めていた 日々現場を見て図面を確認 進捗状況を報告する 中間管理職をメインに動いていた
ある日社長に呼び出され
「イッキお前に任せたい部門があるんだ、」
俺は社長から名字のイツキをそのまま
イッキと読まれ あだ名のようにイッキと呼ばれている
「はい!どんな部門でしょう?」
「実は士郎が、また地球に優しく人に優しい
テーマに 植物由来の消毒液を販売したら?と
持ってきたんだょ、」
「地球に優しい人に優しいならそれは、やりがいありますね! でも、俺で大丈夫なんですか?建築関係なら長年やってきて理解出来るのですが、」
「大丈夫だ!お前優しいだろ、」
「はい、まぁ、人並みだと思いますが、」
「なんだ、気が進まないのか?」
「いえ、とんでもないです、やらせてもらえるなら、どんどんやってみます!」
管理職としての能力は積み重ねて来たつもり
未知の営業職スキルは少しだけ不安があった
「心配すんな、お前だけに全部おっつけたりしないから、」
社長がそういうとす~とドアが開き
「どうも〜☺
マルチクリエイターの勝彦ですー 」
なんだこの緊張感ない男は?
黒いスーツに真っ赤なマフラー
見るからに胡散臭い印象だ
表情は穏やか 何処か挙動不審で
やたら低姿勢なのになにやら馴れ馴れしい
「イッキ、この人怪しいけど
わりとちゃんとしたアドバイザーだから
色々と相談して 結果だしてほしい 」
謎のマルチクリエイター?勝彦の助言により
主材料となる柿の葉は柿農家さんからもらい
農家さんが、厄介がっている薬草を調べたら
葛根湯の原料 イタドリなど まずは採取して
ゼロ円食堂のように 仕入れコストをかけず
役立つ商品を研究所へ持って行くとこから
始めることになった
勝彦は話するだけで 動く気はないらしく
結果俺だけで山へ行くことになった
続く