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誹謗中傷は本当に返ってくるのか?

日本には、「天に向かってつばを吐く」や「因果応報」、「自業自得」といった言葉があります。

悪いことをすれば必ず自分に返ってくるということわざ(教訓)ですが、こういったものは現実世界でも機能しているのでしょうか?それとも道徳にうっかけるだけであって、結局やったもの勝ちとなってしまうのでしょうか?

先日のとある芸能人の悲しいお知らせに触れて、多くの著名人がインターネット上の誹謗中傷について意見を表明しています。
その中で、誹謗中傷の発信を行った人をいさめるような情報発信をした2名の考え方をみて、本当に報いを受けるのか考えたいと思います。

誹謗中傷に際して、著名人の考え

まずは大物声優の緒方恵美さんの発言を取り上げます。その業界の方らしく、センスのある調子で語られています。
緒方さんの意見では、詩的ではありますが、あまり抑止力のある者のようには感じられません。良くも悪くもファンに対して釘を刺したといったところでしょうか?

「アンチコメント(善意のふりをした悪意含む)は声が大きい」と指摘。自身の活動を振り返って、悪意あるコメントが持つ力の大きさを改めて伝えた。
続けて「でも。言葉は『還る』。人にむけた刃は、必ずあなたに。相手を心や身を刺す言葉は、必ずそれ以上の重さ・強さであなたの人生に更に辛く降りかかる。逃げられない」。

声優界のレジェンド緒方恵美 アンチコメントに警鐘「あなたの人生に更に辛く降りかかる」

次いで志らく師匠です。師匠は性悪説より一歩踏み込んで、もはや人間でないといったような論調です。こうなってくると家畜や獣と一緒ですね。
極端な言い方をすると、棒でひっぱたいて痛い思いをさせて、わからせる必要があると説いています。

志らくは「誹謗中傷がまだ100%原因かどうか分かっていない。だけど、それがもし要素としてあるんだったら、大勢の人がもうとにかくやめるべきだってみんな訴えているんだけれども、連中には言葉が届かないんですよ。もうそれが日常になっているし、人の心を見失っているから」と指摘。
 そのうえで「だからシステム上、とにかく早急にアカウントを凍結するというやり方もあるけれども、AIか何かでひどいのはあぶり出して個人を特定して、それであまりにもひどかったら社会的制裁を含めて痛みを与えるということをしないと」と言い、「なぜこういった人たちがどんどん傷ついて亡くなるのか、言葉の暴力というのは刃物持って切りかかってくるのと同じ行動なんですよね。それをなくさないと終わらないですよ、こういうことは」と自身の考えを話した。

立川志らく ryuchellさん急死に…誹謗中傷に言及「ひどいのはあぶり出して個人を特定して…」

そして最後にホリエモンの発言を転載します。ホリエモンは一歩踏み込んでプラットフォームの責任についても語っています。

「(批判を)自分の胸の中にしまっておけ、とは言わない。ストレスかかるんだったら誰かに言え。だけどネットに書くな。陰口っていうのは本来そういうものなんですよ」と繰り返した。
また、「2ちゃんねるみたいなクソなメディアを作ったバカもいるけどさ、ああいうモノを作ったことを自体、それを肯定するような言説も僕は許せない」と、自身と因縁のある「ひろゆき」こと西村博之氏が開設した掲示板サイトも批判した。

堀江貴文氏、ryuchellさん急死に「知らないわけでもないので…」2ちゃんねるも批判

人が環境に流されるのか、環境が人格を作るのか、難しいところではありますが、私も2ちゃんねるといったプラットフォームについては疑問を感じることがあります。
最近では、「Facebookの先駆けになれたのに、出る杭は打たれる的につぶされた」といった紹介もありましたが、やはり行き過ぎた言動を管理しないプラットフォームはすたれるべきだと思います。
あくまでもプラットフォームの運営に関する批判ですので、ひろゆきさん個人の強い資本主義思想(と個人的に感じる)ものを否定するわけでも、2ちゃんねるの存在自体を否定するものでもありません。

人はなぜ誹謗中傷を行ってしまうのか?

誹謗中傷を行ってしまう心理状態をいくつか推察してみました。
おそらく類型としては以下のようなものでしょうか?

  • 著名人に対する嫉妬

  • みんなやっているという負の団結力

  • ストレス発散

これ以外にも挙げればきりがないのでしょうが、おおよそは「誹謗中傷を発信する人」の社会的地位や自己肯定感の低さと、「誹謗中傷を受ける人」の社会的地位等の高さのギャップにより発生しているのではないかと考えています。
このギャップが大きいので、無意識に嫉妬して対処の足を引っ張りたくなるのでしょう。また、誰かが誹謗中傷していれば、その著名人を一緒になって誹謗中傷することでギャップを埋める第三者が表れますので、まさに負のスパイラルとなってしまいます。
これは小学校などで起こるいじめの形態(みんなで一緒にいじめないと自分がいじめられる)とよく似ていて、次々に関係ない第三者が参入してくるのだと思います。

誹謗中傷の加害者が被るダメージ

さて、近年法改正され厳罰化されたといわれる侮辱罪ですが、それでも1年以下の懲役もしくは禁錮もしくは30万円以下の罰金です。
また、慰謝料も50万程度のようで、全く割に合わないようです。
コミックですが、被害者の苦悩が想像しやすいのでぜひ読んでみてください。

結局のところやったもん勝ち・・・

加害者が負うべきペナルティを見てきましたが、誹謗中傷を受けた人が被るダメージに対して、加害者が受けるペナルティが軽すぎるように感じます。
確かに、損害賠償額50万円はインパクトがありますが、それでも誹謗中傷された側の命を絶つほどの苦悩に対しては安すぎます。
立川志らく師匠のコメントではないですが、もっと痛い思いをさせるべきではないかと感じます。

先日読んだ書籍に、日本人は単一民族(人種に近い)文化のため、空気を読んだり忖度するのが習慣化している。言語化する必要のない社会だからもっと言語化していこう、訴訟文化を取り入れていこうと・・・。
出口先生も受験時代には大変お世話になっていたのですが、新型コロナウィルスのワクチンに対する考え方のYOUTUBEを見てちょっと距離感を感じましたね。

ちょっと強引な引っ張り方をしてしまいましたが、誹謗中傷される側ももっと積極的に言い返していいような気がします。
本人が言い返すといよりも、もっと事務所や番組サイドがタレントを守る姿勢を示してほしい(出口先生の言うところの訴訟社会への突入)と思います。

これからはどうあるべきか?

先日の記事でも書きましたが、日本は消費者に配慮しすぎな気がします。
テレビ局のレベルの低下に嘆くこともありますが、クレーマーともっと対峙してもいいと思います。
というよりも理不尽な物言いをする人は、それなりにペナルティを受けるなり、社会から疎外されていくのでもない限り結局声の大きい人だけが得をしてしまうからです。

そういった意味では、志らく師匠のアカウント削除の話や、ホリエモンのプラットフォームの責任論もうなづけます。プラットフォームが適切に対処したうえで、誹謗中傷された側も組織として一丸となって戦う姿勢をしっかり示してほしいと思います。

私は決して加害者の置かれる境遇に寄り添うことはありませんし、社会も寄り添うべきではないと思います。それぞれの事情は、それぞれの土俵で解決すべきであってインターネットの世界で八つ当たりするようなものではありません。
ネットが一般に普及し始めて早くも20年以上たちます。普及当初のような、アングラ的な色はなく一般公衆に対して市民権を獲得したまであります。
匿名の時代からアバターの時代に変わった今、ニックネームを匿名と勘違いした、IPアドレスをただの乱数と勘違いした連中は今どこへ向かっているのでしょうか。


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