橋浦 邦義

仙台の洋菓子店「九二四四」の代表。

橋浦 邦義

仙台の洋菓子店「九二四四」の代表。

最近の記事

ラストマイル

「合理的な判断」が得意な人と得意ではない人がいる。 と仮定する。 もし、人間がどちらかでカテゴリー分けされるとしたら、もちろん僕は得意ではない方のチームのゼッケンを付けることになるだろう。 小さいながらも会社を経営している身としては、この特性はあまり望ましいものではないと感じることがよくある。 資本主義というゲームにおいては、間違いなく、合理的な判断ができる人たちのチームが勝ち残る。 このゲームのルールが適用されているうちは、自分にはなかなか勝ち目がないなぁ、などと

    • 私の2022年

      44年生きてきて、今年は精神的に一番キツい年だった。 あと2週間あるが、この圧迫感はまだ残りそうだ。 肉体的に一番キツかったのは、間違いなく5年前に心臓の手術を受けた年だ。 だが、不思議なもので、キツかったという記憶は残っているが、程度は時間と共に忘れかけている。 決して比べるものではないのは分かっているが、精神的なダメージはいつまでも残るという点でもタチが悪いと感じる。 子供の頃から自他共に認めるほど自己中心性が強かったので、どんな壁にぶつかっても、苛立ったり、知

      • グラデーション

        コロナ禍、なんて呼ばれる期間を今も過ごしているけれど、今から約2年2ヶ月くらい前までの自分と、今の自分は同じ人間なのか。 震災があった11年2ヶ月前までの自分と、今の自分は同じ人間なのか。 同じといえば同じ。 違うといえば違う。 エントロピーは増大し、物事も人も、変わっていくことの方が自然だ。 経験が増すごとに、あらゆることの「常ならず」を知る。 言葉があるからアレとコレは切り分けられ、らしさという個性を与えられる。 アレとコレは元々は同じものだったかもしれない

        • 復旧の見通し立たず

          心と体は、言葉にしてしまえば別のもののようだけど、おそらくそうではないなと日々感じるのです。 捉え方の一つとして、人間という器に対してのアプローチの方法の違い、とも言えるのではないかと。 例えば、体を鍛える・休める・労わる・復元する等々の方法で心を整える。 または、心を癒す・潤す・高揚させる・和ませるといったことで体の安定を図る。 どちらがどうではなく、どちらも同。 3月から、僕は完全にそのバランスを崩していました。 毎年1年で1番忙しい1ヶ月なので、仕事は予想通

          ごく抹茶、そして不知火③

          「ごく抹茶、そして不知火」 ケーキ屋でこんな名前のケーキはなかなか見ないと思う。 でも、自分を知ってくださってる方々からすれば「アイツならやりそう」の範囲内ではないかと思う。 素材の組み合わせとして、濃い抹茶に酸味の少ない柑橘を合わせたいというのが先行して頭にあった。 どういう意味を持たせて構築しようか、という根本の土台の部分は、前回・前々回の投稿で書いた、様々な「文脈」がありきで、ごく個人的な流れとして「1〜3月はとにかく柑橘」というのは浮かんでいた。 定番の「柚

          ごく抹茶、そして不知火③

          ごく抹茶、そして不知火②

          ケーキの組み立ての話しより先に、今回掲載していただいたS-styleについて書いておきたい。 せんだいタウン情報誌S-styleさんには、お店単体としてオープン当初から何度も取り上げていただいた。 もちろんそれはいつでもありがたいと思っているのだけど、今までで一番嬉しかったのは、仲間と立ち上げたSweet Action SENDAIをチームとして取り上げて掲載していただいたことだ。 2017年だったので、もう5年前になる。 あれは本当に嬉しかった。 「春一番」という

          ごく抹茶、そして不知火②

          ごく抹茶、そして不知火①

          すごく久しぶりになってしまったけれど、新作が販売開始になったのでそのケーキについて書いておく。 おそらくここ1年半〜2年くらい、季節の新商品の開発は全部雅貴と正昂に任せて、自分はイベント商品や以前出した商品の微調整くらいしかしてこなかった。 仕事の中でも特に楽しい部分でもあるから、スタッフの人数が増えたら作業はみんなに任せて、自分はひたすら商品開発、というやり方もアリだとは思う。 うちのお店でも以前は、ほぼ100%自分で創作して、ごくたまに雅貴のアイディアも商品にする、

          ごく抹茶、そして不知火①

          ルールと信じられる自分

          コレって、やることになってるからやるけど、なんか意味あるのかな? やらないと誰かに迷惑かかったり損したりするのかな? というようなことが世の中にはちょいちょいある。 「法律」とまではいかないし、罰則規定のないような「ルール」みたいなもの。 学校や会社のような「組織」にはそんな小さいルールがたくさんある。 僕は学生の時も社会人になってからも、それらの決まり事のほとんどが「面倒だなぁ」「無駄じゃね?」と本気で思っていたタイプだった。 だけど、時間を経て今となっては会社と

          ルールと信じられる自分

          結果

          売上や利益などの数字をしっかり計画的に生み出す、という経営の基本作業が不得手なので、経営者という立場が自分には重い。 数年前まで、正直やっててシンドいと思うことばかりで、精神的にいっぱいいっぱいの状態が長いこと続いてた。 自分の小さい器からいろんなものが溢れてしまうのを恐れて、何かに怯えながら、日々更新されていく様々な結果の数字に気を取られていた。 どこかで流れを変えたかった。 自分自身を変えるきっかけが欲しかった。 それで俺は、今から約4年前に、突然訪れた心臓の手

          例え話しと思春期

          〈例え話し〉 スタッフや後輩などに自分の考えを伝える際に、よく例えを用いる。 ちゃんとオジさんだから、やたらと野球が多めだけど笑、それ以外には木や航海で例え話しをすることも多い気がする。 今日の朝のミーティングは、少し厳しいことを言った。 実は昨日から考えていて、果たしてどう伝えるべきか、いろんな言葉を何度も頭の中で浮かべては消し浮かべは消しを繰り返して、ただの言いたいだけの説教にならないようにひたすらセルフ校正をしていたら眠れなくなってしまっていた。 それくらい慎重

          例え話しと思春期

          緩やかに繋がっていく①

          「あれから10年」 と、振り返っていろんなことを思い出しながらこれからのことをさらに伝えていく、そんな年になると思っていた矢先に、10年前の余震と言われる特大のやつがやってきた。 今日はそれから丸3日目。 43年生きてきて、頭の中でいろんなものが混雑していたのだけれど、コロナがあって少し冷静に考える時間が増えて、ものの見方も少し変わって、そしたら最近少しずつだけど、その混沌としていたいろんなものが、緩やかに繋がっていく感覚を得ている。 言葉でうまくまとまる様子はないの

          緩やかに繋がっていく①

          ただ自分のために、書いておく

          何年か前から、いろんなテナントに声をかけていただいていたので、自分の中にももちろん「いよいよ2店舗目の展開の時期なのかな」という考えは頭にあった 小さくても、芯のある強いお店を作りたい、という信念でこれまで10年続けてきたけれど、反面、ここまで周りに求めていただけるなら、思い切って多店舗展開に踏み出すことでいろんな人のためになるのかも、という意識も少し出てきていた だけど、コロナがここまで世界全体の人間の心を不安にさせ、生活の在り方を一変させてしまうとは思ってもみなかった

          ただ自分のために、書いておく

          1月の改装工事に寄せて

          年明け1月4日から、17日までの2週間、店舗と厨房の改装を行うため、お店を休業いたします。 昨日お店のInstagramとFacebookでは簡単なご案内をしたのですが、今回改装をしようと考えた経緯や思いなどを、オーナーである自分の言葉で書き残しておきたいと思いました。 普段はnoteに書いた文をFacebookでシェアしていますが、今回は逆に先にFacebookに書いてそれを以下に添付します。 ↓ 10年目の今年は、昨年導入したショックフリーザーやテンパリングマシン

          1月の改装工事に寄せて

          夢と憧れと強いチーム

          日本シリーズの試合について、いろんな記事でセ・リーグの実力不足という論調のものがあちこちに出ている。 詳しい野球論は詳しい人たちで繰り広げればいい。 時代の流れとともに在り方も変わっていったっていい。 昨日はチームの一体感という面がすごく気になったのでそれだけFacebookに書いておいたけど、一晩経って思い返してもう一つ書いておきたいと思ったのでnoteに書くことにした。 7回に入る前と、試合終了直後にコメントを求められた川崎宗則さんの言葉がすごく良かった。 劣勢

          夢と憧れと強いチーム

          努力と根性と諦めのバランス

          諦めないで何かをやり遂げることの大事さと、上手に諦めて生き延びることの大事さとは、正反対ではないものだけれど、どちらもバランスよく必要だと思う。 「諦めないで」の反対が「無理しなくていいんだよ」だとする。 僕は今42歳なので、受けてきた教育や指導としては「諦めるな!」という色がなかり強い。 どこかで線を引いて区別したり、一括りにして世代のギャップを論じたい訳ではないけれど、今の10代20代には、かなり拮抗した割合でこの「諦めるな」と「無理しなくていいんだよ」が混在して投

          努力と根性と諦めのバランス

          新しい当たり前

          もっともっとメディアは何度も取り上げて、こんな当たり前のことはとっくの前から当然だと訴えている知識人や有名人の声もたくさん広めてほしい。 そうでもしないとなかなか本当には変わっていかない。 変えていかなければいけないことを、未だに意識できない人が残念ながらまだまだたくさん存在する限り、もっと多くの人たちで流れを変えていくしかない。 新しい内閣が発足してからの、河野行政改革担当大臣の発言のことです。 大臣就任直後の会見の在り方に関して「前例主義、既得権、権威主義の最たる

          新しい当たり前