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たいていの道は 初めての道

その日、ウサギとカメは元町・中華街駅に降り立ち、港が見える丘公園へと続く階段を一歩ずつ登っていた。公園の展望台を通り過ぎ、やがて小さな橋を渡る。そして、二人は目的地にたどり着いた。

県立神奈川近代文学館

二人は「古田足日のぼうけん」の世界にそっと足を踏み入れた。「どうしても、ここに来たかったんだ」カメが静かにそう呟くと、ウサギはその声に引かれるように彼の方を振り向いた。

「見て、ロボットカミイだわ!」ウサギの目が輝いた。「この絵本、子どもの頃からずっと大好きなの。カミイが友だちだったら、どんなに楽しいだろうって、今でも思ってるんだ」彼女は少し照れくさそうに笑った。

ロボットカミイ

「僕、『おしいれのぼうけん』が好きだった友だちのこと、まだ覚えているよ。怖がりながらも、一緒に夢中になって読んでたんだよね」カメは懐かしそうに微笑んだ。

「おしいれのぼうけん」50周年

「古田足日さんって、子どもの心をとても巧みに描いているんだよね。だから、彼の物語は今でも子どもたちに愛されてるんだ」と、カメは静かに語り続けた。

「子どもでいられる時間って、本当にあっという間だわ。でも、子どもの頃に出会った本は一生心に残るのよ。大人になっても、その本がずっと力をくれるんだから」と、ウサギはじっと展示を見つめながら呟いた。

「実はね、僕、古田足日さんにお会いしたことがあるんだ。お宅にお邪魔したことがあってね。本当に優しい方で、書庫にはびっくりするくらい本がたくさんあったのを覚えてるよ」と、カメは懐かしそうに語った。

「それで、また会いたかったのね?」ウサギは彼の瞳をじっと見つめた。「その時、書いてもらった色紙、ずっと僕の宝物なんだよ」カメは静かに彼女の目を見つめ返した。

文学館を後にし、再び港が見える丘公園へ戻ると、あちこちで子どもたちが楽しそうに遊んでいた。二人は、かつてダンボールでロボットカミイを作った頃を思い出し、そっと優しい笑顔を浮かべた。

港が見える丘公園からの眺め

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