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星の王子さまを探しに

遥か宇宙の彼方にある静かな星で、ウサギとカメはひっそりと暮らしていた。毎日同じ景色に囲まれ、ゆったりと流れる時間の中で、ウサギの心は次第に新たな冒険を夢見るようになっていた。

そんなある日、ウサギはその星に古くから伝わる「星の王子さま」の伝説を耳にした。静かな生活から一歩踏み出す決意を固めた彼女は、カメをその夢の旅路に誘った。彼は優しく頷くと慎重に宇宙船の組み立てを始めた。一方、ウサギも手際よく旅の準備を進めていった。星がいつもよりキラリと輝く夜に、二人は故郷の星を後にし、宇宙へと旅立った。

最初に訪れたのは緑が溢れる美しい星であった。そこで二人は木々に語りかける神秘的な少女と出会った。少女の語る物語から、二人は言葉が持つ大切な使命を知った。次に訪れた青く彩られた星の海辺では、終わりなき旋律を奏でる老人に出会った。彼の演奏する不思議な楽器の音色は海の波と溶け合い、二人は音楽の癒しの力を深く心に刻んだ。

こうして二人は数多の星を訪れたが、星の王子さまに出会うことはなかった。「星の王子さまは一体どこにいるのかしらね?」ウサギが首をかしげていると、カメは彼女の隣で、もう一度宇宙船の記憶バンクを調べ始めた。しかし王子さまの手がかりは容易には見つからなかった。

あきらめかけたその時、ウサギは宇宙空間を漂う通信を捕らえた。その通信には「星の王子さま」の名がはっきりと語られていた。ウサギはカメに振り返ると、「見つかったかもしれないわ!」と声を上げた。

カメが通信の発信源を特定すると、宇宙船は新たな目的地に向けて最大加速で疾駆した。

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