主役が餃子なら…
まるで夏のような熱気が、涼しい風に変わる夕刻に、ウサギとカメは駒澤大学駅にそっと降り立った。駒沢オリンピック公園へと続く小道では、賑やかな声が響き渡り、人々が楽しそうに行き交っていた。二人が目指している CRAFT GYOZA FESの会場に到着すると、そこは餃子を堪能する人々で溢れ、さらなる賑わいを見せていた。
「今日は暑かったから、この時間に混んでいるのかしら?混雑が予想された昼間は避けてきたのにね。それにしても、若いカップルや女の子同士が目を引くわね」ウサギはそう言いながら、ふと記憶を遡った。「そういえば、学生の頃、私は餃子のためだけに宇都宮へと旅したことがあったの。その店の十種類の餃子を全て制覇したことが、なぜか切ない記憶として心に残っているわ」
カメは、ちょっと驚いたように彼女を見ながら、「とある調査によると、人気の食べ物で、餃子は第7位なんだ。1位はお寿司、2位は焼肉、3位はラーメンなんだって」と、話し始めた。「つまり、餃子はみんなに愛されているのね」と、ウサギは小さく笑った。
「お寿司と焼肉を同時に食べる人は少ないかもしれないけど、3位のラーメンと7位の餃子の組み合わせは定番よね。私はいつも一緒に食べるもの」と、ウサギは胸を張った。
「こんなに餃子が目の前にあると、ふとラーメンも恋しくなるのよね。餃子を味わい尽くした後で、ささやかなデザート代わりにラーメンを食べに行きたいわ」と、ウサギは真顔でカメに提案した。彼の腕を優しく引きながら、ウサギの脳裏にははっきりと次のご馳走が浮かんでいた。