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もしも空が飛べるなら

「おはようございます!『ウサギのティースプーン』のお時間です」小さなラジオブースの中で、ウサギはいつものように元気な声で番組を始めた。

「次の質問は、ラジオネーム『もっと本が欲しいカメさん』からです。『ウサギさんは今一番欲しいものはなんですか?』という質問をいただきました」

「欲しいもの、ですか…」ウサギは少し困ったように首をかしげた。「うーん、私はいつも目の前のことに夢中で、欲しいものって特に思いつかないかな」

「今、ぱっと思い浮かぶのは『タケコプター』ですかね。もし手に入るなら、ぜひ使ってみたいです。好きな場所に自由に飛んで行けるなんて、素敵ですよね?」ウサギはリスナーに問いかけた。

「私、先日『藤子・F・不二雄ミュージアム』に行ってきたんです。そこでタケコプターのことをいろいろ知っちゃいました」彼女は少し照れくさそうに笑った。

藤子・F・不二雄ミュージアム

「タケコプターが登場したのは1970年で、最初は『へりとんぼ』という名前だったんです。みなさん、ご存知でしたか?」

「その頃は、頭に付けるだけじゃなく、手に持ったり、お尻に付けて飛んでいたんですよ」彼女は、まるで秘密を打ち明けるように語り続けた。

ウサギの熱い語りに、番組はますます盛り上がり、彼女はリスナーから寄せられた「今一番欲しいもの」を次々と紹介していった。

「素敵な質問をありがとうございました。どうか、私のことを子どもっぽいなんて笑わないでね。それでは、また次回をお楽しみに!」ウサギは笑顔で番組を締めくくった。

放送が終わると、ウサギはしばらくスタジオの静けさに身を任せた。「ああ言ったけど、やっぱり子どもっぽかったかしら」彼女は少し肩をすくめながら呟いた。

それでも、空を飛ぶことや自由に駆け巡る夢は、大人になった今でも捨てきれない。ウサギは、その夢をいつまでも大切にしたいと思っていた。

「カメくんならどう思うかしら?」図書館で待つ彼の顔を思い浮かべた。そして、頭にタケコプターを付けた自分を思い描きながら、軽やかに駆け出していった。

どこでもドアも欲しいわ   by ウサギ

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