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原人wifeライフに至るまで[6]命をいただく

確かに都会に住んでいると生き物との距離が離れ過ぎていて、「命を頂く」という感覚は忘れ去られているかも知れない。

姉はその感覚を大切にしたいと言う。都会暮らしで、日々の生活に追われ精神的にも体力的にも疲弊して行くなかで、本能的に危機感を感じ回帰することを求めたのかも知れない。

冗談か、本気か、姉が「履歴書の特技に、『鶏捌き』って書ける位までになりたい」と言い出した時は、完全にタガが外れてしまった感があった。

私は以前は豚飼いを職業としていたし、海外で生活していた時は自家用に豚やガチョウを育てていたので、命をいただく事の重さを知っている。

だから少し気が重かったが、

友人にお願いして、鶏の捌き方を一から教えてもらう事になった。

当日、他にもう一人習いに来たので、姉と私とその男性で20羽の鶏を絞める事になった。

友人が先ず1羽の鶏を絞め、その後の工程を教えてくれた。

絞めた後の流れも手早く進めなくちゃいけない。

先ずは姉が・・・。

彼女はやっぱり強かった。

心が決まっていた。

可愛いそうと言う感情は、手の力がゆるみかえって苦しみを長びかせてしまう。

姉はニワトリに与える苦しみをなるべく短くする事に集中していた。

もう一人一緒に作業をした男性は、途中何度か手こずり苦戦。

私はと言うと、友人が工程を教えてくれている段階から空を仰いでいた・・・

結局、姉が一手に引き受け、私はその後の工程に徹する事になった。

産卵用に飼われていた鶏なので、それほど肉は付いていなかったが、

モモやムネ肉に分けて捌いて行く。慣れていないせいも有り随分時間がかかってしまった。

昼食には何と何と、鳥肉の刺身をご馳走になる。

新鮮な鶏肉でしか食べられない!(生で食すならかなり気をつけた方が良い)

結局一日仕事となり、ヘトヘトになりながらも燻製用に鶏肉に塩をすり込む。

二人の共同作業だったから出来たけれど、一人では絶対やら無い・・・

一人で生きて行くために必要な経験だったかはまだ分からない。

ただ、人生の経験値は確実に上がった。

命をいただき、生かされる。感謝






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