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土屋賢二「不要不急の男」

この1年半、グレープフルーツが何故か品薄だ。
ストアーの店員に詰め寄っても、原因不明だ。
コープ宅配にてやっと入手。4玉セット。
ひとりで食べきれるだろうか、と思ったが
1週間で3個食ってしまいました。
非常にうましでした。

土屋賢二氏の「不要不急の男」を買って読む。
文春文庫。私は土屋氏のファンだ。
ウイルス騒動で日本のジジイたち・知識層が軒並み
「傷んで」しまう中、土屋氏は大丈夫か?と
気が気でなかったが、相変わらず、正気だった。
本当によかった。

土屋氏は、専門である哲学の手法を流用して
笑えるエッセイを書くという、
高度にアクロバティックな作家だが、
人物が軽々しいために、その評価も軽々しく
それ込みで面白い。
養老孟司氏も唯一無二だが、
土屋賢二氏だって唯一無二なのに。
(並べて書くだけで、その落差で笑える)

ただ近年はめんどくさくなったのだろう、
哲学の薫り薄く変人のぼやきで終わるものも。
それもまた善し。

正気の変人。希少価値がある。
同じカテゴリに天才・岸本佐知子氏がいる。

「ラグビーの未来」「手間がかかりすぎる」
「春の海の思い出」、死ぬほど笑う。
以下省略。

ウイルス騒動下のことにも触れている。
「卒業式を楽しみにする感覚も理解できない。
卒業式は起立、と言われたら起立し、
歌え、と言われたら歌を歌う儀式だ。」
海より深く共感する。

氏は、奥様と老人用マンションに越したらしい。
この先の展開が愉しみだ。ご長寿を願う。