今でも夢に見る一本とは

バーなどで一人飲みも長くなってきて、それなりに色々なお酒を飲んできたけれど、その中でもやはり「忘れられない1本や1杯」はいくつかある。
今日はそんなお話。

20代の頃、一人飲みにもある程度慣れてきて、ウイスキーなどにも少しづつ慣れてきていた時にその一本と出会った。

そのスコッチの名前は「ザ・マッカラン グランレゼレルバ 12年」

そのラベルはいつも見ているマッカランのラベルとは一味違い、濃いめの紫が特別な感じを醸し出していてたくさんのボトルが並ぶバックバーの中にあっても一際存在感を放っていた。

マスターに「そのマッカランって普通のやつと何が違うんですか?」と聞くと「オロロソシェリー樽の熟成だけど、通常のやつとは全く違うよ」言われたので気になり一杯頂くことに・・・

グラスに注がれたそれはバーの明かりでも分かるぐらいに綺麗な赤みがかった茶色をしていて、目の前に置いて頂いた瞬間から漂う華やかな香り。

あまりの華やかさに驚きつつ、一口飲んでみると

シェリー樽特有の甘さや飲みやすさ以上に口の中で一気に広がるさきほど感じた「華やか」という言葉では到底足りないぐらいの香りと味わい。
「口と鼻の中での花畑がグンっ!と広がる」感じと言えば想像できるだろうか。

豊かな樽の香りの中にオレンジやドライフルーツの香り、シナモンなどのスパイシーな香りが一体になって口と鼻を駆け巡る
ひたすら感嘆しつつゆっくりと飲んだのを今でも思い出す。

未だこれ以上の華やかなシングルモルトに出会ったことがないのは本当に凄いシングルモルトだったな。

さて、この「ザ・マッカラン グランレルバ12年」だが、惜しくも終売となっており色々なところでプレミアムな値段がついている・・・
これを飲んだ同じ時期に「グランレゼルバの18年も驚くほど美味しいから見つけたらすぐ飲め」とも言われたこともあったが結局18年と会えることはまだ叶っていない。
どころか12年ですら今はもう目にしたことが無いのが悲しい。

あれからマッカランも色々な特別なエディションを出していて、機会があれば飲んだりもするのだけれど、それでもあのグランレゼルバを越えるものには出会えていない。
多少は「思い出補正」もあるかもしれないがそれでも僕の飲んできた中で「最高の1本」を選ぶ中には入ってくる素晴らしいシングルモルトだ。

もし、万が一の機会があってこれをもう一度飲むことが出来たなら、今の自分がどう味わえるかが非常に気になるところだ。

「どこかに置いているバーは無いものかなぁ~」

と梅雨の空を見上げて思うこの頃である。

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