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【北欧留学】③生活編:スウェーデン・ウプサラでの院留学(心理学)

Hej, hej!

前回のウプサラ大学での2年間の正規院留学の体験記・第2弾【準備編】に続き、今回は最終回の第3弾【生活編】をお届けします。

私は2023年8月末に念願のスウェーデンで留学生活を始め、2024年5月末に大学院1年生を終えました。そして8月末から大学院2年生として、スウェーデン生活の2年目が始まります。
今回の記事では、私がこれまでのスウェーデンでの学業や生活で感じた、大変なことや楽しいこと等について書きたいと思います。

特にスウェーデンやヨーロッパの大学院、心理学の修士課程、海外生活などに興味がある人には特におすすめな記事です!


学校生活

スウェーデン渡航まで(4-8月)

私はスウェーデンのウプサラ大学に、2年間のMaster's Programme in Psychology(心理学の修士課程)で通っています。

前回の記事出願準備や合格発表までの過程を詳しく紹介させて頂きましたが、2023年3月30日にスウェーデンの大学の手続きを一括管理している国の機関から選考結果の通知メールが届きました。
その後数カ月にわたり、ウプサラ大学やスウェーデン大使館など関連機関から今後の流れに関するメールが色々届いたので、記載されていたPDFやURLを全て確認し、学費の納入や寮・居住許可証の申し込みをしたり、ウェビナーや対面イベントに参加したりしました。

例えば、5月15日には東京のスウェーデン大使館にて、スウェーデンの大学への留学が決定した日本人学生(交換・正規留学問わず)向けのイベントに参加しました。私は個人で海外の大学に出願し留学する“free mover”だったので、そのイベントで初めてスウェーデンに留学する多くの学生達と会い、嬉しい気持ちと安心感を覚えました。また、大学毎に分かれたテーブルでウプサラ大学を卒業したスウェーデン人の方やこれから同時期にウプサラ大学に留学する学生たちとお話しできたりして、楽しく、心強かったです。

大使館職員や留学経験者による、今後の手続きや留学生活などに関するプレゼンテーション
Fika(フィーカ:甘いものを食べながらコーヒーやお茶を飲むスウェーデンの習慣)も振る舞われた

スウェーデン渡航後(8月)

授業の開始日は学部学科・プログラム毎に多少違うようでしたが、私の授業初日は8月28日(月)でした。それまでの期間に、寮の鍵の受取や、新入生向けの色々なイベント(交換・正規留学関係なく任意参加、対面・オンライン)があり、私は8月22日(火)にウプサラに到着しました。

寮の自分の部屋には、ベッド(寝具、タオル類、Wifiルーターは現地の知人から頂きました)、棚、机、ランプくらいしか備わっていませんでした。また、到着当初から想像以上に気温が低く、雨も時々降り、寒かったです。そして、スウェーデン第4の都市と言っても、私の体感だと中心地の半径は徒歩20分程度のウプサラでは、自転車があるとバスよりもお金をかけずに移動がぐっと楽になります。そのため、特に最初の1週間は、収納用具や食料品、洗面用具、トイレ用品、カーテン、食料品自転車秋冬服・雨用の服・靴(セカンドハンドショップやアウトレット)などの買い物に追われていました。
慣れないところをあちこち移動するのは疲れましたが、スーパーや雑貨品を見たり、街歩きが出来て楽しかったです。

最初に買った食料品たち
中古自転車のマーケット:サドルの位置が高い自転車ばかりで、唯一見つけたサドルの位置が低い自転車を1200sek(約17000円)で購入
街歩きの途中に撮影(ウプサラ大聖堂)


同時に、8月23(水),24(木),25日(金)は一日に4-6個くらいのイベントがあり、私は行けたら行くのスタンスで参加していました。
特に行って良かったなと思ったイベントは、大学本館で行われた1時間ほどの新入留学生向けの歓迎イベント(“welcome reception for new international students”)です。学長・教授のスピーチウプサラでの学生生活に役立つ情報を紹介する寸劇などを楽しみました。また、歴史あるウプサラ大学の本館は、特別なイベント等がある時しか入る機会がなく、とても美しい建物でした。
公式の入学式はなかったので、このイベントが自分の中では入学式のような区切りになって、ワクワクする気持ちになりました。

大学本館の外部
ホール内での小オーケストラ演奏
イベント終了後、本館内ではブースごとに学生団体の呼び込み等していました

授業、テスト

私の参加している2年間のプログラムでは、1年目は心理学の主要な分野(認知、知覚、生物、心理測定、統計・分析、発達心理学、臨床心理学、ジェンダー等)を、講義セミナー(プレゼンテーション、少人数ディスカッション)を中心に学びました。
2年目は、最初の半年(1学期目)に授業2つ分の代わりにインターンシップというコースを選ぶことができ、自分が興味のある研究室を選び、指導教員(学生)と共に研究の基礎を実践的に学びます。後半の半年(2学期目)には、修士論文の研究と執筆に集中します。

約1ヶ月毎に授業1つを終えていくという進め方が特徴で、1年目は8つの授業を修了しました。詳しい授業内容などが気になる方は、プログラム・授業のウェブページをご覧ください。

典型的な授業スケジュールは、朝9時15分に授業が始まり、10時と11時頃に休憩を挟み、12時に授業が終了というものです。10時15分に始まったり、13時15分に始まったり、12-13時のお昼休憩を挟んで午前と午後に1回ずつ授業を受けたりもしました。

基本的に授業は週1-3日で、学部時代・日本の大学と比べると、拘束時間がかなり短いと思います。その分、授業外に個人やグループで、リーディングやプレゼンテーション・レポート作成、授業の復習、テスト勉強などに計画的に取組むことが必要で、主体性・自主性などに重きが置かれていると感じます。

また、成績評価のための試験は、普段授業で使わないキャンパスや、ウプサラ市内で大学が設営しているテストセンター(スーパー隣接など)で受け、4時間与えられます。入口のロッカーに貴重品や携帯電話などを預け、テスト会場に持ち込めるのは飲食物、身分証、羽織もののみです。テスト会場の入り口で名前と学部を伝え、指定された番号の席につき、机にしまわれているパソコンを好きな高さまで上げ、自分の大学アカウントでログインして、試験開始を待ちます。
私は日本の学部時代では、心理学の授業の成績評価はレポートの事が多かった上、試験はあったとしてもそこまで細かい暗記は求められない約1時間の対面/オンラインの試験でした。一方、この修士課程では、理論や歴史的背景、薬や脳の部位、神経の名前や役割など、英語での細かい暗記や深い理解が求められました。また、○○心理学という枠にとらわれずに、例えば「感情」というテーマで横断的に心理学を学ぶのは初めてで、面白いです。

そのため、課題〆切やテスト当日までに時間をどのように使うのか、どのような方法で勉強したり自分の理解を確かめたりするのかなど、自分に合った方法を探すべく試行錯誤を繰り返して、少しずつ上手になっていったような気がします。
ちなみに、今年の1月のSweäters公式インスタグラムの投稿では、私の印象的だった「感情と生物心理学」の授業の様子を細かく紹介しているので、気になる方は是非ご覧ください!

クラスの雰囲気、クラスメイト

私たちのプログラムのクラスメイトは約35人で、体感だと一番多いのはスウェーデン人、次にドイツ人で、その他スペイン人、イラン人、カナダ人、トルコ人、ブラジル人、アメリカ人、スリランカ人などがいます。東アジア人は意外に日本人の私1人で、少し心細い…心理学では、文化比較の話が良く出てくるので、アジアや日本の話がでてくると、クラス内では「その地域・文化の代表者」のように見られる気がして、誇らしいような恥ずかしいような少し複雑な気持ちになります笑

当時22歳の私はクラスメイトの中ではおそらく最年少で、一番多そうな年齢層は20代後半、後は約5年ブラジルで心理カウンセラーとして働いていた2,30代のクラスメイトや、仕事をしながら通っている20代の既婚者の人、中年で母親のクラスメイトも3人程います。

私は日本の修士以降とスウェーデンの学士以前には行ったことがないので、文化の違いなのか学士以前・修士以降の違いなのか分からないのですが、日本の学部よりもこの修士の方が良くも悪くもドライで、クラスメイトというコミュニティをあまり重視していない気がします。皆それぞれの人生を忙しく楽しく過ごしているというような感じで、授業が終わったらすぐに帰る人が多いです。また、同じ国籍・文化同士で固まりがちで、小グループを超えた全体での交流はそんなにありません
私は最初、そんな雰囲気が少し残念で寂しかったのですが、大学外での友達との交流が増えたり、ここでの自分時間も楽しめるようになってくると、そのくらいのゆるい繋がりのコミュニティも悪くないと思えるようになりました。

寮生活

ウプサラ大学では、Flogstaという寮が最大規模で、一番有名です。自分の部屋にシャワーがついており、最安値で、国際的なネットワークを築きたい!賑やかな学生生活を楽しみたい!という学生に人気です。
ですが、私は最大12人の学生とキッチンを共有することや、心理学科のキャンパスから一番近くないこと、建物のうす暗い雰囲気が好みではなかったので、Rackarbergsgatanという寮を選びました。
最大5人でキッチンとシャワーを共有し、心理学科のキャンパスから徒歩10分で、自分の部屋は小さいけれどトイレと洗面台もついていて窓が広く、明るくきれいな雰囲気が気に入っています。

自分の部屋からの景色

大変なこと

個人的に大変だなと思うのは、スウェーデンの社会でマイノリティとして生きる寂しさや、英語力の差に対する自分のコンプレックスを克服することです。

スウェーデンに住んでいるのは白人だけでなく、実は多くの移民がいます。しかし中東系やアフリカ系の移民の割合と比べると、アジア人は少ないなという印象を受けます。
自分の言語や文化を理解する人が全然いないからこそ人の目を気にせず気楽に生きれるとも感じますが、多数派の住民たちと見た目がかなり離れていて、スウェーデン語の表示やアナウンスも理解しきれないままでは、社会に馴染み切れないともどかしく感じています。

また、スウェーデン人の大半は英語がとても流暢で、クラスメイトやコリドーメイト(同じコリドー(廊下)を共有する「同居人」)など普段よく交流するヨーロッパ人や西洋人も英語が上手な人ばかりです。そのため、日本では「英語が得意」な私でも、ここではどうしても皆と同じように自由に素早く自分の想いを表現できないもどかしさや恥ずかしさを感じて、英語をあまり話したくないと思う事が増えてしまいました。
これに関しては、英語でコミュニケーションを取り続け、大丈夫だと自信を持てるまで経験を重ねるしかないと思っています。

楽しいこと

第1弾【きっかけ編】で特に詳しく書きましたが、私は幼少期から「スウェーデンオタク」なので、豊かな自然、デザイン、食べ物、文化など、スウェーデンっぽいものを感じるだけでとてもワクワクします。
なので、毎日の生活の中で、スーパーでスウェーデンのお菓子や食料品を見ること、自然を感じたり赤い小屋や放牧された動物たちを電車の車窓から発見するだけで楽しいです!笑

ウプサラ市内のショッピングモールの隣にある平和な牧場

あとは、日本人の留学生たちとウプサラやストックホルムで遊んだり、国籍問わず皆でホームパーティを開いたり、友達同士でスキーに行ってみたり、カフェを巡ってシナモンロールやカルダモンロール、チョコレートボール、プリンセスケーキなどスウェーデンのfikaを楽しむことが楽しいです。

そして、今年度の2年目からは、インターンシップという、研究室に所属するコースや、修士論文・研究などで、私がスウェーデンのウプサラで一番学びたかった自然の心理的効果について、やっと深堀していけるのがとても楽しみです。

まとめ

今回まで3回にわたり、ウプサラ大学での大学院・2年間の正規留学の体験記をお届けしてきました。普段のSweätersのnoteより長めでしたが、読んでくれた方、ありがとうございます。留学や海外生活で悩んでいる人や、情報収集をしたい人の役に立ちたいということはもちろん、スウェーデンの魅力や豊かさのヒントが少しでも伝わっていれば幸いです。

次回もお楽しみに!tack!


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