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天然素材がいいとは限らない!?「指標」と「数字」で知るエコ

石油産業について二番目に環境負荷が高いと言われいるアパレル産業。お気に入りの服やブランドが地球にどんな影響を与えているのか、気になりますよね。

そうはいっても、環境へ全く負荷をかけずに生きていくということは現代の生活では難しい。ギチギチとエコを追求するだけでは生活の楽しみがなくなってしまうし、すべての人に修行僧のようなストイックな生活を強いる世界なんて窮屈です。

だから、自分の消費活動が与える影響を把握した上で、無理のない範囲で減らせるように生きていく。そんなサステナブルな消費スタイルができるように、自社の商品の生産や消費が与える環境へのインパクトについて、情報開示をするアパレルブランドが増えてきています。鍵になるのは、透明性です。

CO2の排出量から自社の取り分まで公開

たとえば、シリコンバレーのスタートアップ関係者はハリウッドセレブにも愛用者が多いニュージーランド発のスニーカーブランドAllbirdsは、独自のライフサイクルアセスメント(プロダクトが作られて消費されるまでにもたらす環境負荷の定量評価)ツールを開発。素材調達から生産、廃棄までのプロダクトの「一生」のCO2排出量を明示しています。

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またラディカル・トランスペアレンシー(徹底した透明性)を掲げるサンフランシスコ発のEverlaneは、衣服の生産工程にかかるコストを開示。自社の取り分まで開示することで、文字通りの徹底した透明性を売りにしています。

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みんなが使える指標として開発されたHIGG

AllbirdsやEverlaneが採用しているのはオリジナルの指標ですが、ブランドやサプライチェーンを超えて、共通の指標を使おうという動きもあります。中でも最も信用されているもののひとつがHIGGインデックスというというツール。プロダクト、生産設備、そしてブランド全体という3つの側面からの環境へのインパクトを細かく測定し、数値化することができるんです。

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たとえばプロダクトツールのなかの「マテリアル・サステナビリティ・インデックス」は、素材に特化した指標。80以上の素材のデータベースを使い、環境負荷を「温暖化」「水質汚染」「水不足問題」「化学燃料の枯渇」「科学物質の使用」という異なる視点から数値化します。

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このデータベースはNikeが作成したMaterial Sustainability Indexをベースにしているということで、同じ素材でも、例えばコットンなら来型のコットン、オーガニック・コットン、リサイクル・コットンなど生産方法によって細かく細部化されています。

有害なのでは?というイメージが強い印象の化学繊維が、生産工程に限っては意外と負荷が低かったり、エコなイメージのある自然素材が水を沢山使うために意外とダメージを与えていたりなど、数値化されることで、一般的なイメージとは異なる事実も見えてきます

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HIGGインデックスを開発したのはサステナブルアパレル連合(SAC)という国際的な独立団体で、アディダス、バーバリー、Kerings、Nike、パタゴニア、LVMHなどの名だたるファッションブランドやディズニーやデュポンなど、アパレルや周辺産業に関わる様々なすステークホルダーが参加しています。
2009年にウォルマートとパタゴニアが共同で、アパレル業化全体に呼びかけて発足したのが始まりです。

日本の企業では、ユニクロのファストリテイリングや東レ、アシックス、帝人などがメンバーですが、HIGGインデックスの知名度はまだまだ。日本でも、「透明性」が常識になる日は来るのでしょうか。

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