ルールを決めて 詩の書き写しをする すきな詩(ただし25行以内の改行詩) 詩の書き写しは リラックスやリフレッシュにもいい ノートブックにすきな詩がたまっていけば じぶんだけのアンソロジーが出来上がる いまはデジタルコレクションでも すきな詩を探せる 詩に触れることは癒しにつながる 楽しい夜
いつのまにか こんなふうに椅子に凭れて 束の間を 好むひとになった きょう携えた本は 冊子のような薄いもの 昔あった 古本屋の店主についての 思い出集 関係はないのに 関心があるだけで こんなにも思っていられる ひととなりが じんわりとつたわり いいなあと声が出る どんな巡り合わせで こんなふうに椅子に凭れて 気がつけばこうしているんだろう てばなしで いきてみるには… ふう 来年 束の間も
ただのボートよりスワンのほうがいいな 自転車たくさん漕いでここまできて 今度はスワンを きみと漕いで すでに足が笑っている もう少しで夕暮れの 休日のひとこま きみと僕と 鴨もいて 取り柄のない僕たちが ここでこうして戯れて やっと息継ぎ出来ること あるな あっちのほうまで行ってみようか もっと 遠くのあっち? いいね スワンを選んだ僕たちは 夢中になって ただなかへ あっちだよ 返事のかわりに懸命に
駆け出してしまいそうな そんな気持ちで 古本屋巡りをする まず手にした あぷれ二十四孝 河盛好蔵の 古い本 どんな性格のものかを あとがきが知らせる 親と 子の 関係を明るいものにする その つきあい方についての本 いまの自分に タイムリーな一冊 父親が生まれた頃の本を 親になった自分が むさぼるように 読んでいる この時間が自分を 水を得た魚にしてくれる 幸先が いいなあ 巡ってみなけりゃ 出会えない もうどこまでも泳いでいきたい 気分だ 作家同士の関係
あなたは 絵本にこびりついた カリカリです 暗がりで 映写機がつたえる ほこりです わたしを 咽込ませますが 平気です お菓子の家へいきますか それともブレーメンでしょうか 塵のあなたが ノミなあなたが わたしの粘膜にはりつく そういう おはなしの棚に ならんでいます そのごほんに群がる ちいさなちいさな虫が あなたです 自虐でもなく 過信でもない いやな奴の 咳払いがあなた
とりわけ キリンは面白味が感じられて 一番長く見ていた 動物園へ きみと行った日 見て回ったことより 休憩所でのビール 動物はみんな 寝て食べて鳴いていたけど 僕は酔っていた ポワンとした頭で きみと 一番惹かれたキリンを思う 存在がユニークなのは おんなじだとしても あの動きは真似出来ない 優雅なのか 落ち着かないのか 釈然としないあの右往左往 その キリンの運動のなかに 僕がきみに うまく言えな
詩集『夢にも思わなかった』(七月堂) 四六判・仮フランス装・帯、栞付き 栞文 松下育男 装画 秋山 花 1500円+税 発行 2023年 5月26日 七月堂様と栞文を寄せて下さった松下さん、装画を担当して下さった秋山さんのお力添えにより素敵な一冊を作ることが出来ました!全22編。 暖のとりかた 朝 アパートを出たら こえのほし だらんと妻が 蓋 性 いっこのリンゴ てなぐさみの詩 つくしんぼう ふたしか 日常シャッフル 二俣川 折鶴 古本日記 知らない町 ことばの
『花椿』2021年春夏号(No. 828) ●別冊「花椿文庫」第3回 あなたが選ぶ今月の詩『風』小詩集(全10篇) 佐野豊 挿絵を書いて頂いた秋山花さん、コメントを頂いた高橋源一郎さん、文月悠光さんのお力添えにより、とても素敵な一冊が出来上がりました! 手にしてお読み頂けたら嬉しく思います。
佐野豊、小田原慎治、篠田翔平、森田直による詩の同人誌。