「待ち」ガイルと「幸せになりたいなぁ」の相関関係をテラスハウスから学ぶ#2
前回の記事では、格闘ゲーム業界を背負って立つ二人のプロゲーマー「ウメハラ」と「ときど」にまつわる因縁を2018年に行われた獣道2の背景を紹介しつつ説明させていただいた。
ここで思い出してほしいのが、これはあくまで二人の人物を紹介するうえで欠かせない試合であったから長く説明していたことだ。
元をただせば、「幸せになりたいなぁ」の相関関係をテラスハウスから学ぶ#1の冒頭で僕はTOPANGAチャンピオンシップについて語ろうとしていたのではないか。
結論から言おう。
2020年3月15日に行われたTOPANGAチャンピオンシップにおいてときどは7-0という圧倒的な数字でウメハラを破った。
ときどの呪縛
獣道2で完敗した後、マイクを向けられたときどは泣きながらこう語る。
「せめてゲームの中でぐらいは(ウメさんに)勝ちたかった」
eスポーツ業界が日の目を浴び始めた当時、ときどは格闘ゲームをメディアにアピールするにはうってつけの人物であったことには間違いない。
東大卒プロゲーマーという異色の経歴を持ち、ゲームを競技として真剣に取り組む様はアスリートそのものである。
ウメハラをして、この業界を引っ張っていってほしいのはときどであると述べている。それはただ単にキャッチーな東大パッケージを持っているということではない。品行方正でゲームに真摯に取り組む様は模範以外の何者でもないからだ。
誰から見ても格闘ゲームに向き合うときどの姿勢は完璧であった。
それでも、ときどはウメハラの残してきた功績やカリスマ性には到底自分が及ぶものではないし、この先も越えられるものではないと捉えていたのだろう。その心の内があるからこそ漏れた言葉である、と僕は解釈していた。
凄まじいときどの努力
完敗してもときどは折れなかった※。それどころか、獣道を終えてからのときどの成績は前年よりもさらに強みを感じさせた。
大会の成績だけでない。長期戦に対する考え方も一日も欠かすことのない日ごろの練習で鍛錬を積んできた。
それが実を結んでTOPANGAチャンピオンシップで圧倒的な優勝を収めた。
※自身の著の中でときどは、負けた悔しさこそあれど、清々しい気持ちであった。壁は高かったがウメハラの背中を追うのはやめて一から出直そう、と語っている。
ときどの心境のの変化や取り組みについては『世界一のプロゲーマーがやっている 努力2.0』にて細かく書かれているので、興味がある方はぜひそちらを拝読してほしい。
それでも努力が結果に繋がることは少ない
TOPANGAチャンピオンシップの勝利者インタビューの中でこう述べる。
「今日ほど格闘ゲームをやってきて嬉しかった日はない」
何度も優勝してきていても、数千万をかけた大会で優勝した時よりも嬉しいと言うのだ。この大会に賭けるときどの想いは強かった。ときどは再び泣いた。獣道で負けて以来の涙だ。これが、ときどの強さだ。
「(努力が)結果に繋がることの方が少ない。(この結果を経て)自分してきた取り組みに自信がついた」
とも語った。そして、今日からも帰ってから練習をするからプレイヤーの皆さんよろしくお願いします、と。これが、ときどの強さだ。
続く