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損を放置しないことの大切さ

今はもう消されてしまったのですが、筆者が株式投資の基礎基本を学ぶのにとても参考にしていた「マーケットハックマガジン」というブログがありました。

運営をされていたのは広瀬隆雄さんという方で、人によって好き嫌いがハッキリ分かれるキャラクターの濃い人物です。

筆者は?というと、実際にお会いした事もないので好きでも嫌いでもないのですが、投資や資産形成の基礎基本を書籍やブログで学んだこともあり、彼の知識や経験は利用価値があると思っています。

一時はYouTubeでも配信していましたが、いつの間にか居なくなってしまって残念な限り。

今回は、今は無き「マーケットハックマガジン」に掲載されていた記事を紹介したいと思います。

「損を放置しないことの大事さについて」

ヘッジファンドの世界では月次パフォーマンスでマイナスになることをドローダウンといいます。

ドローダウンをどう管理するか?という問題は、どう勝つか?ということと同じくらい、いや、それ以上に大事です。

これを説明するために、いま「ありえない」例を示します

引用元:旧Market Hackマガジン
引用元:旧Market Hackマガジン

上のグラフは、いま仮にA君、B君、C君という三人の投資家が居たとして、それぞれが元本100からスタートして、毎年、どのような成績を出したかのシミュレーションです。

A君も、B君も、僕は凄いと思います。なぜなら過去50年間のS&P500のトータルリターンは年率ほぼ9.8%(配当込の数字)なので、A君もB君も市場平均の2倍以上のパフォーマンスを、75%の確率(=4年のうち3回)で出しているからです。

それに比べるとC君はS&P500の平均トータルリターンに一度も勝ててないので、凡庸な成績と言えるでしょう。

ところが、同じ結果を%ではなく、金額で示すと下のグラフのようになります。

引用元:旧Market Hackマガジン
引用元:旧Market Hackマガジン

カリスマ的に相場の上手いA君もB君も、4年目までに増えた資産は38%で、凡庸なC君の31%と、それほど大きな差はありません。これでもか! これでもか! というような凄いパフォーマンスを出してきたA君やB君が、結果的にフツーの投資家のC君に大差をつけられなかった理由は、ドローダウンの存在です。

さて、上の例は、絵空事です。言い換えれば「出来過ぎにバラ色」のシナリオです。現実的には大多数の投資家は下のような失敗をしでかします。

引用元:旧Market Hackマガジン
引用元:旧Market Hackマガジン

上の例ではA君もB君も、20%勝った年と20%やられた年が同数あります。大体、個人投資家の多くは「それでも、おれは負けてない!」と主張します。
なるほど、勝った回数と負けた回数が同数だから、負けてないと言えば、まあ負けてないと主張できないこともありません。

しかしそれは「幻覚」です。都合のいい、ミスのすり替えです。現実から目を逸らせているのにほかなりません。

いま同じパフォーマンスを金額ベースで表示しなおすと、下のグラフのようになります。

引用元:旧Market Hackマガジン
引用元:旧Market Hackマガジン

A君も、B君も元本割れしていることがわかります。つまりやられたら、やられた分よりもっとパーセンテージ・ベースで取り返さないと元には戻らない
のです。

もうひとつ興味深い点はC君です。

ひとつ前のグラフでのC君のパフォーマンスを見ると、7%が出ている年が2回、ぜんぜん儲からなかったけど、損も出なかった年が2回あります。

これは既に紹介したS&P500の過去50年間の平均パフォーマンス(=年平均9.8%)からすれば、ぜんぜん満足できない戦績だけど、悪い年にトントンにおさえ、損を出さなかったことが幸いして、A君やB君を尻目に、ちゃんと元本を14%も増やしていることがわかります。

以上はごく単純なシミュレーションですが、ドローダウンをいかに抑えるかという発想の大切さを教えていると思います。

引用元:旧Market Hackマガジン

はい、ここまでを振り返ります。

筆者はこの考え方を知り、自分の投資戦略に合わせた形で不必要なドローダウンを極力回避できるように工夫しています。

そして、直近で分かりやすく結果に繋がった局面が2022年のベアマーケットです。

S&P500
同上期間の証券口座残高推移(筆者)

2022年にS&P500指数は最大で▲20%以上の株価下落を演じていましたが、筆者の証券口座内残高は21年と比べてもヨコヨコです。

もちろん新規入金による純増分もありますが、ドローダウンをうまく抑えられた結果でもあります。

オレンジ色が個別株、紫色が現金になります。簡単に流れを説明すると、21年に利益の乗った個別株(オレンジ)をFRBの利上げの足音と共に利益確定又は損切⇒現金(紫色)にしつつ、22年は下落相場の中でその資金を投資信託(黄色)※1の買い付けに使いました。
※1:投資信託の中身はインデックスファンド

中小型グロース株は金利上昇に弱く、値動きも激しいです。金利の上昇局面(PERの縮小局面)では割高な(PERが高い)それらの銘柄は勢いを失うことは通例となっています。

一方、超長期目線のインデックスファンドはどんな時でもバイ&ホールド、特に株価の下落局面では積極的に買っていきたいと思っています。

つづきです

それでは具体的にドローダウンをどう抑えれば良いのでしょうか?これは皆さんの投資スタイルによって変わってきます。それによりアプローチを変えないといけない点に特に注意してください。

【グロース投資、ないしはモメンタム投資の場合】
グロース投資、あるいはモメンタム投資が好きな人の場合、ドローダウンを限定する方法はひとつしかありません。

それはロスカットの基準を設けることです。たとえば僕の場合、買い値から8%以上、その株が下がったら、どんな理由にせよ損切りします。

これは傷口を大きくしないためです。グロース投資、あるいはモメンタム投資の場合、10回買って、10回儲かるという可能性は限りなくゼロに近いです。だからそういう妄想は捨ててください。

むしろ10回買えば、6勝4敗くらいが自然です。だからその4敗の傷口を小さくし、6勝の利食いを大きくすることを考えないといけないのです。

8%のロスカット基準を自分に課すということは、傷口を小さくするためのディシプリン(規律)なのです。

【バリュー投資の場合】
バリュー投資の場合、上に述べた8%のロスカット基準は使いません。その代り、フェロモンむんむんの、キラキラ女子のような株は、そもそも相手にしません。

つまり買い注文を発注する以前の銘柄選択の段階でディシプリンを働かせるわけです。

そう書くと(オレはちゃんとした銘柄を、しっかり調べて、厳選している!)と自信たっぷりの答えが返ってきます。

僕は、そういう痛いコトを平気で言う人を、心の底で笑っています。ちゃんとした銘柄とは、バリューラインの「収益の予想可能性Earningspredictability」で90%以上、「財務力」でA以上、営業キャッシュフロー・マージンで最低15%以上あるような銘柄です。

そうすると、数はものすごく限られてきます。これはお見合いで言えば、さしずめ「三高」です。

でもここでの「三高」は1.背が高い、2.学歴が高い、3.収入が高いではなく、次のようなポイントになります。1.収益の予想可能性が高いこと2.財務力が高いこと3.営業キャッシュフロー・マージンが高いことその結果、若い女の子がお見合いの相手の履歴書と写真を見た時、デフォルトの反応となっている:いゃだ~ァ、この人。まるで新橋あたりを歩いているオッサンみたいなルックスじゃんというリアクション……これに酷似する、ある種の地味さ、人生の耐え難い退屈さ……そういう物足りない思いを噛みしめながら投資する、、、とまあ、これがバリュー投資の極意になるわけです。

そういう言い方でわからなければ、ジョンソン&ジョンソン(JNJ)、ノバルティス(NVS)、コカコーラ(KO)などの、変わり映えしない「いつもの銘柄」に落ち着く以外に無いのです。姫っ、恐れながら申し上げますが、長期で連れ添える相手たるもの、決してルックスではござらん。というわけです。

つまり「絶対に損切りしない!」と胸を張れる前に、そもそも損切りする必要の全くない、冒頭の例で言えばC君に相当する銘柄をちゃんと選んでいるかを問題にしないといけないのです。

引用元:旧Market Hackマガジン

で、筆者はどうしているのか?です。

筆者の場合、現在【90:10のコア・サテライトポートフォリオ戦略】を採用しており、投資信託は全てコアを構成するインデックスファンドになります。従ってコアに関してはバイ&ホールド。投資商品の入れ替えはしません。

サテライト枠はETF及び個別株に投資していますが、運用スタイルはグロース投資、ないしはモメンタム投資の順張りスタイルです。

基本的にポートフォリオを汚す銘柄(大きく含み損を抱えた銘柄など)を極力間引き、利益の乗った銘柄で構成されるようなトリミングをしています。

外国株口座でもインデックス(VTI)を持っています

損は小さく、利益は伸ばせるだけ伸ばすがモットーです。

現在$ALABは唯一含み損銘柄となっていますね。前回決算(IPO後初の決算)の内容を見て新規買建しましたが、その後あれよあれよと下げてしまい爆損です。

「損は小さく」と書いたのに19%以上もの含み損で一旦ロスカットしないのか?という話なのですがw、上場したてのAI関連小型グロース株になるので値動きが激しい部分は覚悟していたことと、そもそも決算を見て業績を評価し新規買建をしているので、決算をミスするまでは持っていたいと考えています。

また、ここが最大のポイントですが、新規買建に投下している資金を小さくしていますので、損失率は大きくてもポートフォリオ全体でみると実は大した損失ではありません。

「買いはゆっくり、売りは素早く」という投資格言もありますが、基本行動として個別銘柄に投資する際には一気に資金を突っ込みません
※自分自身トレードが下手くそなのを認識しているので

あとはキャッシュポジションでポートフォリオ全体のリスク調整をしていく感じでしょうか。ちなみに筆者の場合、リスク管理にディフェンシブ株や債券を使いません。
※手持ちのドル置き場として超短期債ETF($SHV)は分配金の出るキャッシュポジションとして代用

定性的な話になりますが、濃いカルピスを薄いカルピスで薄めるようなトリッキーなことをするよりも、濃いカルピス(リスク資産)は水(無リスク資産)で薄めれば良いと考えているわけです。

おしまい


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