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『剣岳、見参!』11、闇の中の迷い、別山山頂での朝食、真砂岳、富士ノ折立、大汝山

翌朝、三時に目覚ましが鳴った。朝食は食べず、三時五十八分に剣山荘を出発した。これから剣沢キャンプ場を通って、別山に登るのである。別山山頂で夕べもらったお弁当を食べるつもりだった。

暗い中の剣岳


暗い中、ヘッドランプひとつを頼りに剣沢キャンプ場ヘ向かった。ハイマツの中に道があったり、大きな石だらけの所を進んだりした。昼間なら見える目印のペンキの丸印が見えなかった。私は足下を見て道でありそうな道を進んだ。しかし、行き止まりになっていたりして、引き返してまた別の道へ行っても行き詰まり、そんなことを三回やった。どこに行ったらいいかわからなくなり、途方に暮れた。上の方を見ると、ヘッドランプがふたつ動いていたので、あっちが道か、と思い、ずいぶん戻ることになった。ようやく正しい道に戻り、剣沢小屋に着いた。しかし、そこも間違いだとわかった。私が行くべきは剣沢キャンプ場である。また、上の方にランプの明かりが見えたのでそちらに行った。結局、五時にキャンプ場に着いた。予定では二十五分で着くところを一時間かかった。三十五分の遅れである。これは極めて深刻な事態で、今回の山行ではこの遅れはどうでもいいのだが、夜中にランプで歩くと、前日も迷ったし、今日も迷った。以前にも別の山で迷い、雨の中一時間立ったまま日の出を待ったことがある。この暗い時間での登山技術を上げない限り、命に関わることになる。今後の課題だ。
で、剣沢キャンプ場を過ぎて私は別山に登った。途中雨がぱらついた。しかし、私はすぐに止むだろうと考えて雨具は装着しなかった。予想通り、別山山頂では晴れて、剣岳の素晴らしい雄姿を見ることができた。
その景色を見ながらの食事は素晴らしい時間だった。

別山山頂の祠
別山からの剣岳
剣山荘の弁当


六時六分に山頂に着いて、食事を終えて出発したのが六時二十分だ。
ここから下山までは素晴らしい景色が続いた。
真砂まさごだけには七時八分に着いた。二十八分の遅れである。しかし、いい写真が撮れた。

七時十一分出発。次の富士ふじ折立おりたては東側の景色が特に良く、後ろ立山連峰に雲が出ていて、それがまた良かった。


富士山が見えた

八時十分に大汝山おおなんじやまに着いた。写真を撮ったらすぐに出発した。

大汝山の標高は3015メートル、剣より高い
黒部湖が見える

次は立山連峰の主峰、雄山である。

山頂に社が建つ雄山

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