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統合失調症からの社会資源の利用は目的意識を持って

初めまして、あるいは、いつも読んでくださっている方、こんにちは。
私は統合失調症を患った社会福祉士の大橋勇と申します。
ハンドルネームのSWはソーシャルワーカーの頭文字です。
最近は小説家(ストーリーライター、SW)として記事を書くことが多かったのですが、今回は初心に返り、社会福祉士として、文章を書こうと思います。
ターゲットの読者は統合失調症で苦しむ当事者です。あるいは他の精神疾患のある方にも当てはまる内容かも知れません。
 
さて、福祉の世界では、「社会資源」という言葉があります。
これは障害がある方などが利用できる、社会にある人や物、組織などのことです。
精神障害者にとっては具体的に、精神科デイケア、就労支援施設、地域活動支援センター、などを例として挙げればわかりやすいでしょうか。
しかし、社会資源とはそのような福祉的なものばかりではありません。
お住まいの地域の特性も社会資源に含まれます。
例えば、これは私が経験したことですが、私の地元静岡県はお茶の産地です。毎年5月頃になると一番茶を刈るシーズンになります。私は知人に茶農家を紹介され、お茶刈りを手伝いました。主治医は、「それは最高のリハビリだ」などと言っていました。茶農家には私が統合失調症であることは伏せておきました。伏せておくと、周囲の人は普通の人として私を見てくれ会話も普通にしてくれます。それがリハビリとしていいのです。緑の茶畑で農作業をするという環境も良かったと思います。
まあ、これは私の例ですが、みなさんのお住まいの地域にもなにか、福祉に限らない社会資源があるのではないかと思います。
仕事もそうですが、サークル活動なども社会資源と言えると思います。
 
ところで、精神科デイケアにしろ、就労支援施設にしろ、地域活動支援センターにしろ、みなさんは目的意識を持って利用しているでしょうか?
というのは、ただ漫然と利用しているのでは、ただ、時間が過ぎていくだけです。
私の知っている就労継続支援B型の施設ではパンを焼いていました。もちろん、「パン職人になる」という目標はあってもいいと思いますが、リハビリとして、この施設を利用して自分のどこが改善されるだろうか、と考えて利用しているのが大事なことだと思います。その施設でパンを焼いているのはひとりではありませんでした。誰かと共に作業することで共同作業の感覚を身につける、そんなところがこの施設の本当の価値だと私は思いました。つまり、ある程度共同作業ができるようになれば次のステップに進めると思うのです。
また、就労支援施設では就労が目的になりがちなのだと思いますが、私は世の中のもの全部が統合失調症を治すための社会資源と捉えても構わないと思います。
友達でさえ社会資源です。
家族がいればそれも社会資源です。
友達も家族も気楽に喋れる間柄だと思うのでそのお喋りがリハビリには最高に重要なのだと私は思います。
人を利用するというと聞こえは悪いですが、統合失調症を改善したければそのような目的意識を持って、社会資源を利用することが重要だと思います。
また、仕事を選ぶときも、その仕事が精神的なリハビリに役立つか、という視点も大切だと思います。
統合失調症の場合、その回復に長い年月が掛かると思います。
だから、仕事に就くためにリハビリをするというより、仕事自体がリハビリとなって長期間続けることで精神の状態が良くなっていく、そういう発想で仕事を選ぶべきだと思います。
 
統合失調症の方は薬を飲んでいるかと思います。
社会資源も薬のようなものです。
継続して飲み続けることで効果が出てくると思います。
社会資源を利用するのは自分です。責任は自分にあります。
また、その利用の効果を意識するのも自分しかありません。
自分で自分を作り上げていくのです。
誰かの言うとおりにするのではありません。
医師を選び、薬を飲み続け、リハビリ活動をする。
すべて自分で決めるのです。
それが自律だと私は考えています。

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