【小説】資産運用the井戸端バトル
ドアノブを回しながら引いて、鍵がかかっている事を確認していると向かいの家から積田手の奥さんが出てくるところだった。
いつもより五分遅い。
ちゃんと出て行くのを確認してから出れば良かった。
ふ、と短く息を吐いてから置いたゴミ袋を持ち上げて、目尻を下げて口角を持ち上げて振り向く。
「あら、積田手の奥さん。おはようございます」
す、の母音を伸ばし過ぎない程度に音の余韻を残しつつ挨拶をかわす。
「あらぁ、傳寺の奥さん。おはようさん、今からお出掛け〜?」
厭味たらしく母音を伸ばして話しかけてくる積田手を横目に、ゴミ袋を急いで集積所に押し込んでカラス避けのネットを被せた。
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